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ネテリア  作者: Netheria
13/44

このチャンスを逃すな

ディランはあてどもなく歩いた。ただ時間が過ぎるのを待っていた。




 太陽は空を上り続けながら彼に寄り添っているようだった。




 アルカノーヴァの鐘が二度鳴り、最初の授業の終わりを告げた。




 生徒たちが教室から出て、少しずつ新しい日課に馴染んでいった。




 棟の一つで、会話が突然止まった。




 指揮官が確かな足取りで廊下を歩いていた。生徒たちは黙って学院の敬礼を取り、視線を逸らさずに北へ向かう彼女を見送った。




 建物を出ると安堵のため息が聞こえ、それが唇に小さな微笑みを引き出した。




 訓練室へと歩みを続けた。




 近づくと、入口の近くで待っている学生が見えた。




「ダウンフォール」つぶやいた。




「授業まで二十分あります」指揮官が言った。




 カインは振り返り、学院の敬礼を取った。「他にやることがないので」




 マエナは彼の横を通り過ぎ、扉に着いた。




「何かやることを与えましょう」扉を開けながら言った。「準備を手伝って」




「はい、指揮官」カインは続いて入った。




 中に入った瞬間、驚いた。場所全体は他の訓練室より質素でシンプルだった。壁は黒い石で作られ、鋼鉄で強化されていた。床も同様だった。




 実戦に特化したエリアだと感じ取れた。目的はただ一つ — 立ち続けること。




「倉庫にある的を持ってきてください、ダウンフォール」マエナが扉を指差しながら命じた。




 カインは頷き、部屋へ向かった。中にはアルドリックの授業で見慣れたデザインのものがあったが、素材が違った。




 底から掴もうとかがんで、持ち上げようとしたとき……そのままの姿勢で止まった。




(何でこんなに重いんだ!?)何度か試みながら心の中で思った。もっと力を込めた。




 手をマナで包んで掴み、背中を強化して持ち上げ、脚を強化して歩いた。




 マエナには事故が繰り返されているように聞こえ、倉庫の扉を振り返った。一歩ごとに足をバタつかせながら的を運ぶカインが見えた。




「やめなさい、間違えた」マエナは彼のほうへ歩きながら言った。




 カインはそのアーティファクトを落とした。落下は埃を舞い上がらせたが、アーティファクトにダメージはなかった。




 マエナは息を切らしたカインの横に立った。「中にあるのが木の的です」




 カインはエラーラに向けるような顔で彼女を見た。(どの的を持ってくるか言ってくれなかった)




 指揮官の目と視線が合った瞬間、すぐに表情を変えた。




「このアーティファクトの目的はマナの訓練です」マエナはアーティファクトを指差しながら説明した。「ずっと頑丈で、マナで操作するのも簡単ではありません」




 マエナは近づき、両手でアーティファクトを持ち上げた。子供を持つかのように。




「これが持ち上げられたのは驚きです」独り言を言った。




「時間を無駄にしないで正しい的を持ってきなさい」アーティファクトをしまいながら続けた。




「はい」カインは息を整えながら言った。




「はい?」マエナはまだアーティファクトを手に持ちながら聞いた。




「はい、指揮官!」




 カインはマエナと一緒に倉庫へ戻った。正しい的を出し、訓練室に設置した。




 一歩後ろへ引いた。




「早く終わったわね、ありがとう」マエナは部屋の端へ向かいながら言った。




 マントを脱いでベンチに置いた。




「授業まで十分。武器を取って一緒にウォームアップをして」




 カインは微笑んだ、体が震えた。速足で奥へ向かった。あらゆる種類の武器が壁に埋め込まれていた。




 最も気に入ったものを選び、腰のサーベルを外して蹴り一発で壁に立てかけた。




「思った通り」カインを見ながらつぶやいた。




 カインは指揮官から十分な距離を取って立った。




「構えて」マエナは長剣を抜きながら言った。




 カインはアルドリックと使った同じ構えを取った。選んだ大剣は柄を含めると自分の背丈とほぼ同じだった。




 刃の幅が体の右半分と顔の右側を覆った。




「遠慮するな」指揮官は自信に満ちたトーンで言った。「もし何かあれば、私自身が医務室に連れていく」




 カインは迷わなかった。指揮官が話し終えた瞬間、足の下でマナを爆発させ、激しく接近した。




 マエナは目を見開き、後方へ跳んだ。




 その反応に気づき、カインは微笑みながら地面を力強く蹴り、指揮官の左側へ斜めに踏み込んだ。




 マエナはカインの速さについて向きを変えたが、終わった時には彼はすでに再び地面を蹴り、彼女の隣で空中に立っていた。




 速さがあっても、マエナはカインが右側からの斬撃を準備しているのに気づき、剣を振り彼の剣に当てた。




「そこまでして単純な一撃」マエナはつぶやいた。




 彼女が予期していた衝撃は来なかった。




 カインは空中でマナを爆発させて静止していた。




 続いてのひらめきで大剣を一瞬で逆側に回し、もう一つのひらめきで突然加速した斬撃を放った。




 マエナは攻撃が当たらなかった瞬間に姿勢を崩していたため、腕甲をマナで包み、力強く攻撃を受け止めた。




 衝撃で大剣がカインの手からほとんど飛んでいった。




 指揮官は力を使いすぎたかと思ったが、それは長くは続かなかった。




 カインは武器を強く掴み直し、マエナの激しいはじき返しを利用し、体を回転させて剣の重さを使った。




 態勢を整え終えると、もう一つの爆発を使い、全ての力をマエナへ向けて落とした。




 指揮官は経験だけで剣をマナで包んで持ち上げた。




 両刃がぶつかり合い、空気とマエナの体を揺らした。風圧が髪を押しのけ、顔があらわになった。




 カインはまっすぐ自分を見つめる指揮官の驚いた目が見えた。




 マエナは力強い動きで応じ、指揮官が剣からマナを放出しながらカインを押し返した。




 カインの視線は指揮官からまったく離れなかった。まだ元の場所から動いていない。




「攻撃の仕方が素晴らしい」剣を目の高さまで持ち上げながら言った。振動しているように見えた。




「では防御に移りましょう」




 マエナが一瞬で距離を詰めた。




 指揮官が生み出したプレッシャーがカインをその場に縫い付けた。構えを取ることしかできなかった。




 マエナは単純な斬撃を繰り出し始めた。カインは大剣を盾として使うことで防ぐしかなかった。




 一撃ごとの重さは大剣のように感じられた。




 マエナはリズムを保ちながら、カインの反応を注意深く分析した。斜め斬りを放つと、彼の姿勢の変化に気づいた。




 指揮官の剣がわずかに跳ね返り、その連打が止まった。




 マエナは攻撃を続けた。予想していなかったのは攻撃が反撃され始めたことで、そのためリズムを上げた。複雑さは上げなかった。




 カインが大剣の重さに体でついていくのを観察した。目の中では武器と踊っているように見えた。




「よし……攻撃だけでなく防御もできる」




 指揮官は攻撃する角度を変えてみた。カインが単に一連の動作を覚えただけでないかを確かめるために。




 戦闘が奇妙な感覚を帯び始めた。少しずつ彼は力と速さを増していった。




 両剣の衝突がより力強くなっていった。




 マエナはカインに何か変わったものを感じた。「お前……」




 計算された動きで、マエナはカインの手首を掴み、急停止させた。




 完全に不意をつかれ、その目は完全に混乱していた。




「休んでいなさい、授業がもうすぐ始まるから」マエナは大剣を取り上げながら言った。




「はい、指揮官」カインは深く息を吸いながら答え、迷わずロッカー室へ歩いていった。




 マエナは大剣の柄に残る薄い血の跡を見た。




「気のせいじゃなかった、マナを使い果たしていた」




「痛みをマナで無視していたの?」




 指揮官は部屋の奥へつぶやきながら歩いた。




「いや……脚が疲れているようだった」




 大剣を壁に立てかけた。




「ダウンフォール。授業が終わったら……」




 カインがロッカー室に入ると、足取りがどんどん重くなり、急いで息を切らし始めた。




 天井を見ながら、汗が額と背中を流れ始めるのを感じた。




(マナを使いすぎた、なんて馬鹿なんだ)




 家具に手をついて体を支えようとしたとき、制御を失って崩れ落ち、床に叩きつけられた。




 床を転がって仰向けになり、右腕を見た。




(そうだ……お前と一緒では何も感じない)




 持ち上げようとしたら、ただ手がゆっくりと震えながら上がるのを見るだけだった。




「チッ」舌打ちをした。「手のひらが出血していたことに気づかなかった……だから指揮官は止めたんだ」




 視線が天井に戻り、作るのが辛かった笑みを浮かべてつぶやいた。「少なくとも俺のマナ容量は以前の半分まで戻った」




……




(三十分以内に出られない。指揮官に何か言われたら、お腹が痛かったと言えばいい)




(選抜に影響しないといいな)




 考えに続いて鐘の音が聞こえた。ロッカー室に弱く届いた。




 その後、他の四人の選抜者が訓練室に入ってくるのが感じ取れた。




「始めましょう!」マエナの声が権威を持って迎えた。「それぞれ的に向かってウォームアップを始めて」




 生徒たちは的へ走った。




 全員がサーベルを抜いた。指揮官が遮った。




「規定のサーベルは使いません。奥へ行って、一番慣れた武器を取りなさい」




 全員が無言で壁に埋め込まれた棚へ向かった。




 ディランは槍を掴んだ。




 セラは二本の剣を選んだ。




 トリンは大きなメイスを壁から取った。




 エルドレンは盾を取り、すでに持っていたサーベルのままにした。




「何を待っているの?」マエナは言い、全員すぐにウォームアップを始めた。




 的の周りを動きながら単純な攻撃から始めた。




 指揮官がそのうちの一人に近づいた。「そのメイスはお前の技術には大きすぎる、もっと小さいものに変えなさい」




 トリンが走って武器を取り替えに行く間、マエナは他の者たちへ続いた。




 少しの後、指揮官がまた指示を出した。「リズムを上げて。モンスターと戦うつもりで動きを見せて」




 セラとディランは武器をマナで包んだ。トリンは体全体を包んだ。エルドレンは盾を強化することにした。




「私が命じるまで止まらないこと」マエナは声を上げた。




 五分間黙って観察し、二人のリズムが落ちているのに気づいた。




「ノックスとブレイズフォール、止まらないで。マナを使い果たすギリギリまで使いなさい」




「でも……マナが切れると体が危険になります」セラが彼女を見ながら言った。




「限界を超える前に私が止めます」指揮官は目を合わせながら答えた。




 セラは目に戻し、その視線に感じた恐れを隠した。




 時間が経つにつれ、打撃は不格好になり、マナのコントロールが乱れていった。




「止まりなさい、バックヴェイル」マエナは全員から視線を離さないまま言った。




 エルドレンは素早く呼吸しながら地面に倒れ込んだ。




 数分後、セラとトリンも止めた。




 視線がディランだけに固定された。「もっとマナを使って、今使っている少量ではダメージを与えられない」




「はい、指揮官」穂先だけでなく槍全体を包みながら答えた。




 指揮官は訂正しようとしたが、止まった。




 ディランはより強く的を攻撃し始めた。その指摘が影響しているのは明らかだった。




 それまでのコントロールは消えていた。衝動だけが感じ取れた。




 その熱狂は長くは続かなかった。指揮官が彼に向かった。




「十分よ、ラストライト」




 言葉はかろうじてディランに届いたため、マエナが止めた。




 マエナが離れると、ディランは前傾みになって脚に手をつき、額の汗を落とした。




 マエナは疲れてあえぐ生徒たちのほうへゆっくりと歩いた。




「よし、これでやっと訓練に入れます」彼女は生徒たちの前に立ちながら言った。




「えっ……」セラは思わず答えた。




 目を開き、口を塞いだ。「指揮官」声はほとんど聞こえなかった。




 マエナは腕を組み、まだ地面に転がっている生徒たちを見下ろした。




「成長する時間は少ない。だから安全でいるために、そしてアルカノーヴァの名を担うために最も重要なことを訓練します」




「マナのコントロールです」




 マエナは特定の生徒に視線を向けた。「バックヴェイル、盾をずっと強化し続けていた。マナを無駄遣いしています」




「ブレイズフォール、お前の間違いは体全体を強化すること。体を不必要に消耗させているだけです」




「ノックス、お前の間違いも似ている。攻撃に多すぎるマナを使っている。もっとまばらに、特定のポイントに使うことを学ばなければなりません」




 指揮官はディランのほうへ向いた。「ラストライト、お前のマナ使用の精度は消耗への恐れを表している」




 ディランは視線を落とし、ただ拳を握った。




「だからこの一週間、全てのトレーニングはほぼ全てのマナを消費した後で行います」




 トリンが手を上げ、指揮官が頷くのを待った。




「目的は何ですか、指揮官?休んでマナ回復に集中すれば、一時間で半分近く回復できます」




「では戦闘の中で休めると思う?」マエナは聞いた。




 腕を離し、真剣なトーンで続けた。「忘れないで、ネテリアへの旅は帰るまで終わらない。その前にマナを使い切ることは死への道を歩むことです」




「マナの残量がない時に使うことは、生死に関わる瞬間のみ許されます。少しずつ生命力を破壊します」




「適切に使えないなら、この職業を続けることは愚かです」




 ゆっくりと一度まばたきした。




「他に質問がなければ、今すぐ立ちなさい」




 全員がメッセージを理解した。ただ立つ速さは人それぞれだった。




 ディランはカインがロッカー室から出てくるのを見た。指揮官もその視線を追った。




「三分あります」彼女は言い、カインへ向かった。




 権威を放ちながら近づいてくるのを見て、カインはこれから言おうとしていた嘘を疑いだした。




 それでも、ただ微笑んだ。




 指揮官はカインの前に立った。




「なぜそんなに時間がかかったの?」マエナが聞いた。




「申し訳ありません、指揮官」カインは学院の敬礼を取りながら答えた。「お腹が痛くて早く出られませんでした」




 マエナは二歩踏み出した。「嘘をつけないなら、黙っていなさいと言ったはずです」




「訓練が終わったら、あなたは残りなさい」




 カインは答えられなかった。指揮官はすでに向きを変えていた。




「他の人たちのところへ行って準備しなさい」




「マナをこれ以上消費する必要がないことはわかっています」マエナは囁いた。




 カインは指揮官の言葉が理解できなかった。




 それでも、離れない冷たい抱擁を感じた。



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