私はただの重荷?
カインの足音が少しずつ消えていった。空の光が力を失い、赤みを帯びた色に染まっていった。
淡い光の筋がディランを囲む空き地を染めようとしていた。
振り返る気になったとき、友人はもういなかった。
もう少しその場に立ち続け、衝動的に動いたのかどうか自問した。
「このままじゃいけない」ディランはつぶやき、メインの道のほうへ歩き始めた。
北東棟はすでに空になっていた。ほとんどの生徒が正門をくぐっていた。
その中で、茶色い髪の女の子がグループから離れてベンチで待っていた。
座ってため息をついた。「なんて重い一日」
全員が前を通り過ぎるのを見上げていると、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「エラーラ!」
微笑みながら振り返ったが、誰が呼んでいるかを見て眉をひそめ、ベンチから立ち上がって向きを変えた。
「待ってくれ、これは大事なことだ」ルカンが息を切らしながら叫んだ。
近づいてくる足音を聞いてエラーラは緊張した。
「本当に、はあはあ、言いたいことがある」
ルカンは息を弾ませながら後ろで止まった。
エラーラは振り返った。
「疲れないの、ルカン?カインは何もしていない」
「お前のことだ、俺のことじゃない」ルカンは答えた。
エラーラは彼のほうへ一歩踏み出しながら反論した。
「私のこと?自分で決めたと明確に伝えたでしょ。本当に今日もう怒らせたんだから、やめて」
ルカンは小さく一歩引いた。
「これ以上カインの話をしてほしくない」エラーラは髪を直しながら背を向けて答えた。
ルカンはその名前をまた聞いて口から舌打ちを漏らした。
「あの二人はお前に嘘をついている」しゃがれて絞り出すような声が出た。
エラーラはぴたりと止まった。「やめてって言ったでしょ」
「信じないなら、何か大事なことがあったか二人に聞いてみろ」
ルカンは向き直り、感じている怒りを隠そうとした。
「東側の入口で待っている、何を隠しているか知りたければ。そこにいる」
力強く走り去り、エラーラを一人残していった。
カバンの紐を握り締め、体を強張らせた。
メインの道を歩く生徒たちの会話の音の中に、コメントが聞こえてきた。
「見た?まるであのベンチの飾りみたい」
「エラーラ……大丈夫か?」
素早く振り返った。「もう言ったでしょ、私は……」
カインを見て止まった。
「ごめん、声がわからなかった」縄を放しながら言った。
「授業のことを……考えてた」
落ち着いてから周りを見た。
「ディランは?」エラーラが聞いた。
カインはベンチの横にある木を見た。「喧嘩して、先に出た」
「今朝と同じことで?」エラーラはカインのほうへ一歩踏み出しながら聞いた。
彼は目を閉じて答えた。「うん、同じことで」
「何があったか話せる」エラーラの声は柔らかかった。
「ただのくだらないことだよ。明日には元通りになる」
エラーラの目が少し悲しそうになり、二歩後ろへ引いた。
二人は黙ったまま、どう話し続けるかわからなかった。
エラーラは縄を再び握った。今度はより強く。
二人の間の沈黙を破った。「今日起きた何かと関係ある?」
「何か大事なことが?」
カインは右目に手を当てた。気づいたとき、答えながら目をこすり始めた。
「うん、授業であったことと関係ある」
「少し落ち着かせる必要があるだけだ」
エラーラは口を開いてため息を吐いた。しかし何かを聞く前に、カインが遮った。
「これ以上話さなくていい、エラーラ」
「ごめん、疲れた」
エラーラは口を結び、その行動のパターンを認識した。
「そうね。重い一日だったから」
エラーラは東のほうへ顔を向けた。
話し始めてから二人の視線は一度も交わっていなかった。
カインは校門に向かって歩き始めた。「行こう?」
エラーラは学院の中央棟に向かって歩いた。
「ごめん、帰る前に先生に話しかけなきゃいけない」
「わかった……あまり遅くならないようにね」エラーラの背中を見ながらカインは言った。
エラーラは手を上げて別れを告げた。「心配しないで、暗くなる前には出る」
「それは心配してない、無理しすぎないように」
エラーラは手を下ろし、カバンを握った。感じた悲しさを見せないようにした。
「なぜそんなふうなの?遅くなるのが心配なんじゃなくて、迎えに来てくれるってわかってる」
エラーラのつぶやきは正門へ歩きながらかろうじて口から出た。
カインは彼女の姿が遠ざかり、霞んでいくのを感じた。
中に入って姿が消えると、向き直って正門へまっすぐ歩いた。
本館の中でエラーラは少しの間迷った。
一歩踏み出すたびに引き返したくなった。向き直り、正門へと向かい始めた。
そのとき何かがおかしいと感じた。カインがディランと喧嘩したことは今まで一度もなかった。
記憶、思い出。一つの約束が方向を変えさせ、出口へと向かわせた。歩くたびに足が速くなった。
同じエリアにいたディランは彼女を見たような気がした。しかし気が散り、明日どうするか考えていた。
エラーラは各棟をつなぐ廊下を素早く移動した。
その広大な学院を数秒で横断したように感じ、ようやく別の出口に到着した。
ゆっくりと近づいた。足は疲れていたが確かだった。
ルカンの横を通り過ぎると、彼はついてきた。二人は小道を沈黙のまま離れていった。
太陽が完全に沈み、学院を夜のとばりが覆っていった。
廊下と庭が順番に灯りともしていった。
学院の紋章の下、マエナの執務室が窓を通して光を放っていた。
三人の教官が再び集まっていた。
全員が黙って立ち、マエナが会議を始めるのを待っていた。
指揮官は執務机に肘をつき、指を組んで、ちょうど視線の真下に置いた。
「始めて、コルヴィン」
教官が一歩前に出た。
「指揮官……なぜその五人の学生を選抜したのか聞いてもよろしいですか?」
「なぜ聞くの?」マエナは目だけ動かして見ながら聞いた。
「理由が理解できないので」眼鏡を直しながら答えた。「私が最も勧めない三人の生徒がいます」
ミラがジャンプして前に出た。「そうそうそう。私が推薦しなかった生徒が二人います」
マエナはアルドリックを見た。彼は不満を抑えて動かずに立っていた。
「理由は理解できると思うけど、コルヴィン」マエナはアルドリックを見続けながら言った。
「率直に話してもよろしいですか」
「どうぞ」指揮官が答えた。
コルヴィンが一歩前に出た。
「わかります、あなたのアプローチは。征河道との合同ミッションを完遂させたい。そのために三人の最も有望な生徒を選んだ」
「私のレポートで最後尾にいる三人です」
「わからないのはそこに上位の二人を組み合わせた理由です」
「率直に言います。計画に欠陥があります」
マエナは椅子にもたれかかった。「なぜそう思う?」
「二人の生徒、エルドレン・バックヴェイルとトリン・ブレイズフォールは、Aクラスで最も代替えのきく生徒だからです」
「彼らを失っても、残りの三人の潜在性を失うよりダメージが少ない」
アルドリックはついに堪えきれず声を上げた。「マエナ、なぜこのサイコパスに意見を言わせるんだ?」
指揮官は椅子から立ち上がった。「アルドリック、平静を保てないなら退室させる」
「それと、ここでは指揮官と呼びなさい」
ミラが爪先立ちになって口を開けたとき、マエナが遮った。「あなたも指揮官と呼んで」
ミラの顔に苛立ちが表れた。
「コルヴィン、あなたが立てた計画は、ミッションが私たちだけで行われるなら正しい」
「そして帰ってくることを期待しないならね」
マエナは教官たちのほうへ歩き始めた。「アルカノーヴァのレベルを示せない五人の生徒を送るわけにはいかない」
「ミッションを完遂することは、シンワ王国が危険な潜在性を隠していると思わないために不可欠です。学生ネタリは案内役だけではないことを忘れないで」
「評価者でもあるの」
指揮官は彼らの前で立ち止まった。
「最高の生徒だけを送るわけにはいかないという必要性もある。ネテリアの学生より明らかに優れた姿を見せるわけにもいかない」
「あの三人だけでミッションを完遂してしまう可能性がある」
ミラが手を上げた。「指揮官、指揮官、指揮官、二人を過大評価しています」
「そうかしら、アルドリック?」マエナの体が彼の方向に向き、腰に手を当てた。
「いや……黒髪を数に入れれば。彼はグループ全体の弱点を補えるはずだ。緑髪の守備スタイル。ピンクツインテールの攻撃スタイルを補完できる」
コルヴィンは少し苛立ちながら向き直った。「だからこそ彼を最後尾に置いたのです。ここ数年の彼の軌跡には前例がない」
「このミッションは非常に危険で、アンブラルナイトが一人行方不明になっています」
マエナは彼を見た。「だからこそ三人の最優秀な生徒を送らなければならない。学生は私たちのが五人でネテリアのが五人だけです」
変装したヴォイドストライダーたちはアルドリックとライゼンの調査に続きます。
「それは疑惑を呼びます、こういうことは今まで一度もしたことがない」コルヴィンが反論した。
「彼らはいつも五人を送る。私たちは十人になる」
マエナは腕を組んだ。「わかってる、だからライゼンが説得力のある言い訳をしてくれることを信じるしかない」
「銀色の怪物たちがネタリの武器だったらどうするんですか?」コルヴィンが声を上げながら聞いた。
「ライゼンはすでに合同ミッションの中断を命じている。送ってくる学生は四年次の者たちになる。彼らは彼に忠実だと保証してくれた」
コルヴィンは視線を下げ、机の上の手紙を見た。
「それは非常に危険な賭けです。全てうまくいかなければ、多くの資源を失います」
マエナは天井を見上げ、再び考えをまとめようとした。
「あの老人を信頼している、彼にとって私たちが維持してきた平和には大きな重みがある」
誰も彼女の言葉を遮ろうとしなかった。
「そうそうそう。私も行くべきよ」ミラが沈黙を破った。
「もう一人のアンブラルナイトは送れない」マエナは答え、唇にわずかな微笑みが浮かんだ。
アルドリックが一歩前に出た。「ミッションを完遂します、マエナ」
指揮官は彼の目を見た。
「命令よ」
アルドリックは頷いた。
遠くから執務室の窓に映る影が見えた。
その動きは夜の進みとともに続いていた。
最後の生徒たちと職員がアルカノーヴァを出ていった。
逆方向へ、一人の黒髪を束ねた学生が学院に入っていった。
灯りを消していく棟を確認しながら歩いた。風が石を冷やし、その探索に寄り添った。
学院の端々を確認した後、中央棟に戻り、まだ開いていた扉から入った。
扉が閉まる音だけが聞こえた。鎧の鳴る音を伴って。
静かに微笑んだ。
(指揮官だけが残っている。エラーラはもう家に帰ったということだ)
正門へと歩き始めた。
マエナはアルドリックと一緒に階段を下りてきた。
外に出ると、アルカノーヴァから最後に出ていく学生の姿に気づいた。
「ダウンフォール」マエナはアルドリックが本館の扉を閉める中、囁いた。
夜がその最も冷たい瞬間に達した。星空がカインの帰り道に寄り添っていた。
地平線の色が明るくなると夜は終わりを迎えた。
朝の温かさが全ての近所に命をもたらした。家族が揃ってそれぞれの日課を始めた。
様々な朝食の香りが、家々をつなぐ通りを覆った。
緑の髪の若者が家から出て、母親の見送りを受けた。
「良い一日を、ディラン」窓から母親の声が聞こえた。
「ありがとう、お母さん」微笑みながら答え、歩き始めた。
朝はまだとても若く、ディランにとって近所が最も遠いため活用しなければならないことだった。
その足取りに合わせ、太陽が背後から上がっていった。
より多くの近所をつなぐ小道に近づいた。他の学生の音が増えてきた。
ディランは考え込みながら歩き、空に視線を固定していた。
交差点に着くと視線を下げ、小道の端にエラーラがいることに気づいた。
「エラーラ」ディランは彼女に歩み寄りながら声をかけた。
エラーラは答えなかった、ただ道を見つめたまま立っていた。
「俺より先に来るとは思わなかった」ディランが言った。
近づくにつれ、何か様子がおかしいと感じた。
「大丈夫か、エラー……?」
「いつ知ったの?」エラーラが遮った。
その質問はディランを混乱させた。背筋に冷たいものが走った。
「何を知った?」
エラーラは頭を上げ、視線を真っすぐ向けた。
目の下に隈があった。
「あなたとカインが一週間後にネテリアへ行くことを知ってた。いつ知ったの?」
ディランは目を開きながら一歩後ろへ引いた。
「今日言うつもりだったの?」エラーラはディランのほうへ決然と近づいた。
「それとも、私はただの重荷なの?」




