コミカライズで透明化する原作(者)
八月も後半にさしかかり、夜に虫の音も聞こえてきた今日この頃。
あれ?
エッセイ、今月一本も書いてない?
いや、むしろ先月が書き過ぎというか。
反動なのか、どうにも気が乗らずに、気がついたらここまで来てしまったという。
まあ言い訳はこのくらいで。
どうしてこれを書こうと思ったか。
書店で「ツンリゼ」の新しいコミカライズを見たから。
そう。
以前、角川がわざわざコミカライズ終了の声明を出していた、アレ。
ほほう。
出版社を変え、作画を変え、リブートした、と。
自分は旧版というか、逆木ルミヲさん版は全部持っている。
とにかく漫画として出来が良い。
絵が上手い。
話もわかりやすい。
コミカライズとしては大当たりの部類だと思う。
なのに。
アニメ化までこぎつけて、これからもっと売れそう、というところで終了。
編集サイドが謝罪してたけれど、原作と作画の間で方向性に関する行き違いが発生。
最後までのネームを一気に寄越せと無茶振りのあげく、どっちも体調不良(という建前?)で終わったと。
うーん。
出ている情報からすると、ネームを最終回まで先に寄越せ、ということは?→漫画家の裁量でやっていた部分が原作と乖離していっていた?→原作者が強く監修・修正をかけようとしていた? と推測。
まあ、なんにせよ修復不可能レベルで揉めたんだろう。
小説と漫画って、当たり前だけれど表現方法が違う。
コミカライズって単に話に沿って絵を描く、ということではない。
ページ数の都合もあるし、話の筋は守りつつも何かを削り、何かを膨らませながら漫画的表現に落とし込んでいくものだと思う。前提として原作準拠ではあるけど、何から何まで同じにするのは難しいだろうな、と。
原作者次第なところもある。
原作厳守、という人もいれば「大筋に沿っていればあとは自由に描いていいです」みたいな人もいるだろう。どちらがいい悪い、という話ではない。
けれど。
残念。すっごーく残念。できれば逆木さんで最後まで読みたかった。
で、リブート版ツンリゼのサンプルを読んでみた。
リーゼ、ずいぶん乳が強調されてるな? 顔より目がいくぞ? 乳が半分出ている破廉恥な衣装で学校行っていいのか?
王子、なんかフツメン寄りというか、地味になったね?
遠藤くんと小林さんはまあイメージ通り? 小林さんは前より可愛いな?
でもパースというか人の縮尺が変だな? キャラ同士の体格差も変だな? その手はどうなってんだ?
……うん。
逆木版と常に比較されて大変だろうけど、頑張ってください。
それはともかく、気がついたのは、
コミカライズから入ると、原作小説をわざわざ(買ってまで)読まないな?
ということ。
まあ自分の場合は、だけれど。
コミカライズの出来がいいと満足感が高いせいか、原作(者)が透明化してしまうのか。
作者ブランドが確立する前にコミカライズが成功してしまうとこうなるのか。
ツンリゼの場合、角川の声明が出るまで、自分は原作者の名前すら認識していなかった。
以前、コミカライズすれば原作小説も(漫画ほどでなくても)つられて売れるのでは? と推測したけれど、必ずしもそうではないのかもしれない。
作品のファン≠原作者のファン
だから。




