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エターナル・コネクト 〜陰キャの俺がゲーム世界に転生したら〜  作者: K
第2章 レーンの街編

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20/22

第20話 眠れる美少年の秘密

ギルドマスター・ライオットから『グルナの迷宮』の調査を依頼されたケイとハル。


第20話、開幕です。



「もう、いやぁぁぁ! 死の弾丸(デス・バレット)!」


 ハルの叫びと共に放たれた魔力の弾が、緑色の醜悪な肌を貫いた。

 断末魔の叫びを上げることも許されず、ゴブリンは黒い霧となって霧散し、足元には小さな魔石だけが残される。


「……そんなに嫌わなくてもいいじゃないか。いつものハルらしくないよ」


 苦笑いしながら魔石を拾い上げるケイに、ハルは般若のような顔で振り返った。


「無理よ、絶対に無理! あいつら、服を着てないじゃない! あんな、人間そっくりのアレをぶら下げたまま襲ってくるなんて、生理的に受け付けないわよ!」


 ハルにとって、新緑の森は屈辱の地獄道だった。

 ゴブリン。低能で、欲望に忠実な人型の魔物。彼らには恥じらいという概念がなく、ハルが最も忌避する「視覚的暴力」を股間に携えている。その一点において、彼らはハルにとって最強の天敵だった。


 しかし、森の奥深くへと進むにつれ、その不快な影は姿を消していった。

 代わりに現れ始めたのは、鋭い牙を持つレッドウルフや、猛毒を滴らせるポイズンスネークといった、より高レベルで危険な魔物たちだ。


「あ、ちょっと、ケイ!」


 急に声を上げたハルが、茂みの奥へと駆け出していく。

 ケイも慌ててその後に続いた。木々をかき分けた先、陽光がわずかに差し込む小さな広場に、ハルは立ち止まっていた。


「やっぱり……誰か倒れてる」


 ハルの視線の先。柔らかな草の上に、一人の少年が横たわっていた。

 青い髪を無造作に伸ばした、驚くほど整った顔立ちの少年だ。年齢は十七か十八。ケイやハルの「中身」と同じくらいの年頃だろう。

 少年の傍らには、食べかけのキノコが転がっていた。それは紫色の笠に毒々しい斑点が浮き出た、見るからに禍々しい代物だった。


解析(スキャン)


 ケイが鑑定スキルを発動させると、少年の胸元にウィンドウが浮かび上がる。


【眠りダケ】

毒キノコ。摂取すると強力な睡魔に襲われる。身体への毒性は低いが、効果時間は極めて長い。


「……毒キノコを食べて寝ちゃったみたいだね。このお腹の鳴り方からすると、相当空腹だったのかな」


「馬鹿じゃないの? あんな毒々しいの、普通食べる前に気づくでしょ……。でも、ここで放置したら魔物たちの餌食になるね」


 二人は相談し、少年が目を覚ますまで周辺を警戒することにした。

 数時間後、何度か襲来した魔物を片付け終えた頃、ようやく少年が「ん、んんっ……」と身じろぎを始めた。


「ここは……?」


「あんたが毒キノコを食べて爆睡してたから、ハルたちが守ってあげてたのよ。お礼くらい言いなさいよね」


 腰に手を当てて言い放つハルに、少年は寝ぼけ眼をこすりながら、やがて状況を理解したのか顔を赤くして頭を下げた。


「あ、ありがとう! ボク、お腹が空きすぎて、どうしても我慢できなくて……。ボクの名前はルカ。君たちは?」


 少年の名は、ルカ。

 話を聞けば、彼は十七歳のC級冒険者だという。ギルドからの依頼を受け、ケイたちと同じ『グルナの迷宮』の調査に向かっていたらしい。

 目的が同じということもあり、三人はパーティーを組んで進むことに決めた。


「バックスタブ!」


 ルカの動きは鮮やかだった。背後から音もなく忍び寄り、二本の短剣で魔物の急所を瞬時に貫く。

 彼は冒険者ギルドの正統な訓練とは異なる、独自のルートで『探索術』や『短剣術』を習得したのだという。罠の解除や隠し通路の発見を得意とする彼の存在は、これからの迷宮攻略において大きな力になるはずだ。


 やがて、一行は水のせせらぎが聞こえる開けた場所に出た。

 切り株がちょうど三つ、誂えたように並んでいる。


「二人とも、小さいのに本当に強いね。驚いたよ」


 休憩中、ルカが感心したように呟いた。

 ケイとハルは、もはや実力を隠すことを半分放棄していた。ライオットたち上層部にはバレているのだ。今の二人は『点火(イグニッション)』や『死の弾丸(デス・バレット)』を惜しみなく使い、積極的に魔物を狩っていた。


「ルカもなかなかやるわね。その年で短剣術をそこまで使いこなせるなんて、すごいよ!」


 ハルの言葉に、ルカは少しだけ寂しげに笑った。

 ケイたちにとって、自分たちより「年上」のルカには敬語を使うべきだろう。しかし精神年齢は対等なのだからか、二人ともルカに敬語を使う気にはなれなかった。ルカも全く気にしていない様子なので、二人とも敬語は使わずに話していた。


「……ボク、ちょっと体を洗ってくるよ。汗をかいちゃって」


 ルカはそう言って立ち上がると、水の音が響く方へと歩いていった。


「ケイ、あなたも汚れが目立つわよ。今のうちに洗ってきたら?」


「うん、そうだね。じゃあ、ちょっと行ってくるよ」


 ハルに促され、ケイもルカの後を追うように水場へと向かった。

 しばらく歩くと、木の枝にルカの服がかけられているのが見えた。どうやら、この奥に水浴びに適した場所があるらしい。


 ケイは自分も服を脱ぎ捨て、全裸のまま水場へと踏み出した。


「ルカ、僕も来たよ」


 岩陰で水に浸かっていたルカが、驚いたようにこちらを振り向いた。


「え?」


 水面に反射する陽光の中、ケイの目は釘付けになった。

 そこには——あるはずのものが、なかった。

 代わりにあったのは、雪のように白く、柔らかな曲線を描く胸元。


 ルカの顔が、瞬時に沸騰したかのように真っ赤に染まる。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 森の静寂を切り裂くような、高く鋭い悲鳴。

 ケイは呆然と立ち尽くした。

 目の前にいる「美少年」ルカは、紛れもなく、女の子だった。


第20話をお読みいただきありがとうございます!


新キャラクター、17歳のC級冒険者「ルカ」が登場しました。

短剣使いとしての腕は確かですが、どこか抜けているような……?

そしてラストシーン、ルカは「女の子」でした。


「続きが気になる!」「ルカちゃん可愛いかも?」と思っていただけたら、

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