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エターナル・コネクト 〜陰キャの俺がゲーム世界に転生したら〜  作者: K
第2章 レーンの街編

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第16話 初心者街道にイレギュラー出現

いつも『エターナル・コネクト』を読んでいただきありがとうございます!


C級昇級試験の道中、絶体絶命のピンチになります。


お楽しみください!


 街道に現れる低級の魔物を難なく討伐しながら、順調にウルドの街へと歩みを進める四人。

現在の隊列は、前衛としてハンズとソフィが先頭を歩き、そこから少し距離を置いた後方をケイとハルが歩くという形になっていた。

なぜこのような歪な布陣になっているのかといえば、理由は至極簡単である。昨晩の一件ですっかりハンズと意気投合してしまったケイに対し、ハルが猛烈に嫉妬してへそを曲げているからだ。


「だから、そういった事情があったんだよ」


前を歩く二人に聞こえないよう声を潜め、ケイはハンズが心を入れ替えた理由――彼の母親が倒れて危険な状態にあること――をハルに説明していた。

これは、ケイ自身がハンズと仲良くなった理由を弁明すると同時に、ハンズを毛嫌いしているハルに少しでも考えを改めてもらおうという、ケイなりの気遣いだった。


「じ、事情はわかったけど……あいつがハルたちにギルドで何をしたのか忘れたの?」


ハルも今更態度を引き返せないのか、事情を知って少しトーンダウンしつつも、なおもハンズへの文句を口にする。

そんな他愛のない話をしていると――。


「きゃあああああっ!!」


はるか前方を歩いていたソフィの、悲鳴のような絶叫が木霊した。

ケイたちが話に夢中になっている間に、先頭の二人とはかなり距離が開いてしまっていたようだ。


「何事なの!?」

「行ってみよう!」


ケイとハルは顔を見合わせ、急いでソフィたちの元へと駆け出した。

二人が向かった先に立ちはだかっていたのは、一つ目の醜悪な顔と、丸太のような巨大な棍棒を持った一つ目巨人――『サイクロプス』だった。それも、二体もいる。


「あれは……サイクロプス? なんであんな高レベルの魔物が、こんな初心者用の街道に?」


ハルが信じられないといった様子で声を上げる。

サイクロプスは、通常ならレベル70前後の冒険者が束になって挑むような凶悪な魔物だ。ハルの言う通り、本来このような浅い階層や街道に出現するはずがないイレギュラーである。

現在レベル6のハンズとソフィでは、あの棍棒の一撃でも掠れば間違いなく即死だろう。


絶望的な戦力差を悟ったハンズとソフィは、お互い正反対の方向へと必死に逃げ出していた。二体のサイクロプスは、獲物を逃さじとそれぞれを追いかけ始める。


「まずい! ケイ、助けるよ!」

「う、うん!」


ケイはソフィが逃げた方向へ、ハルはハンズが逃げた方向へと、それぞれ二手に分かれて救出に向かった。


     * * *


「いやっ、いやあああっ!」


ソフィは恐怖で涙を流しながら必死で走るが、サイクロプスはその鈍重そうな巨体に似合わず足が速い。ズシン、ズシンと地響きを立てながら、確実にソフィとの距離を詰めてくる。


「『水生成ウォーター・クリエイト』!」


追いついたケイが生活魔法を発動させると、サイクロプスの巨大な顔面をすっぽりと覆い尽くすほどの大量の水球が空中に現れた。


「ふぎゃっ!?」


水は重力に従ってすぐに地面へと落ちてしまったが、いきなり顔面を大量の水で塞がれたサイクロプスは、パニックを起こして悲鳴を上げ、その場に立ち止まって目を擦った。

直接倒すことはできないが、目眩ましとしては十分すぎる効果だ。


「ソフィさん、大丈夫ですか!?」


ケイはすぐさまソフィの元へと駆け寄る。


「う、うん……」


ソフィは力なく頷いたが、とても大丈夫な状態ではなかった。顔は恐怖と絶望で涙まみれになっており、腰が抜けたのか地面にへたり込んでいる。さらに、極度の恐怖により失禁してしまったようで、ローブの下半身はずぶ濡れになっていた。

だが、今は彼女の涙を拭う時間も、着替えを用意してやる余裕もない。

顔の水を拭い終えたサイクロプスが、すぐさま平常心を取り戻し、怒り狂ってこちらへ向かってきたからだ。


「ちょっと待っててくださいね。すぐに片付けますから」


ケイはソフィに優しくそう告げると、踵を返して巨大なサイクロプスを見据えた。


「『点火(イグニッション)』」


静かな詠唱の瞬間、サイクロプスの足元から巨大な火柱が立ち上り、その巨体を一瞬にして包み込んだ。


「グギャアアアアッ!!」


熱さのあまり悲鳴を上げ、サイクロプスはのたうち回りながら棍棒を振り回す。

そして数十秒後、断末魔と共に光の粒子となって消滅し、後には大きな魔石だけがコロンと残された。


 サイクロプスの巨体が光の粒子となって消え去り、ソフィはただ一人、呆然と立ち尽くしていた。その視線は、いまだ微かに熱を帯びているケイの指先に釘付けになっている。


 「……え? あ、あの……ケイ君、今のは……」


 信じられないものを見た、と言いたげにソフィが声を震わせる。


 無理もない話だった。先ほどケイが放ったのは、誰もが知る生活魔法『点火(イグニッション)』だ。本来であれば焚き火に火を点けたり、暗闇で小さな明かりを灯したりするためのものであり、間違っても巨大な魔物を一撃で焼き払うような代物ではない。


 「えっと、どうかしましたか?」


 不思議そうに首を傾げるケイに、ソフィは弾かれたように詰め寄った。


 「どうかしたも何もないわよ! 今の……『点火(イグニッション)』よね? どうしてあんな威力が出るのよ!?」


 「ああ……ええと。僕、生まれつき魔力が高いみたいで。普通に使っているつもりなんですけど、どうしても出力が上がっちゃうんです」


 ケイは困ったように頬を掻きながら、至極当然のことのように答えた。


 実際、転生前のレベル200のステータスを半分引き継いでいる彼にとって、これは「普通」だ。しかし、この世界の常識の中で生きるソフィにとって、その光景は既存の魔法理論を根底から覆すほどの衝撃であった。


 「そ、そんなの……『高い』なんてレベルじゃないわよ……」


 ケイの規格外な力に、ソフィはただただ圧倒されるしかなかった。


     * * *


その頃、ハルはハンズに迫るサイクロプスの背後から攻撃を仕掛けていた。


「『死の弾丸(デス・バレット)』!」


頭上の種子が弾丸となってサイクロプス目掛けて飛んでいく。

パチンッ!

しかし、ゴブリンやウルフを瞬殺してきた種子の魔法も、レベル70の強靭な肉体を持つサイクロプスには重さが足りなかったのか、分厚い皮膚に当たって簡単に弾き返されてしまった。

それでも、被弾の衝撃でわずかに動きを鈍らせることはできる。ハルは何度も『死の弾丸』を連射してサイクロプスの足止めを行い、ようやく追いついてハンズの前に割って入った。


「何やってるのよ! さっさと逃げなさいよ!」


へたり込んでいるハンズに向かって、ハルが怒鳴りつける。


「そ、それがな……情けねぇが、腰が抜けちまって動けねぇんだ……。それより、お嬢ちゃん、早く逃げろよ! お前が強いのは知ってるけどさ、流石にサイクロプスなんかに勝てるわけないだろ!」


自分が動けない状態でありながら、ハンズは必死にハルを逃がそうとしていた。


「俺の事、嫌いなんだろ!? いいから行け!!」

「も、もうっ! 仕方ないわね! ハルはあんたの事なんて大嫌いなんだからね! でも……あんたの身に何かあったら、お母さんはどうなるのよ! ケイだって悲しむでしょ!」


ハルは顔を真っ赤にして叫ぶと、覚悟を決めたようにサイクロプスの方へと向き直った。


「『光の剣(ライト・サーベル)』!!」


こんな絶体絶命の状況でも、ハルはブレることなく自身が考案した厨二病全開の技名を叫ぶ。

すると、ハルの頭上を飛び交っていた五つの種子が一つに纏まり、まばゆい光を放つ一本の剣へと形を変え、ハルの小さな手元へと収まった。


「悪いけど……手加減できないよ!」


ハルはサイクロプスに向けて、光の剣を正眼に構えた。

その構えには、重心のブレが一切ない。剣先は真っ直ぐにサイクロプスの急所を捉えて離さず、一分の隙も存在しなかった。

ハルは日本にいた頃、剣道の全国大会で優勝するほどの圧倒的な猛者だったのだ。長年の血の滲むような鍛錬の賜物であるその構えは、見る者を魅了するほどの洗練された美しさがあり、死の恐怖に直面しているハンズでさえ、思わずその姿に見惚れてしまうほどだった。


「フガァァァッ!」


サイクロプスも本能的な危険を察知したのか、威嚇の声を上げて巨大な棍棒を全力で振り下ろした。

しかし、ハルは焦ることもなく最小限の動きでステップを踏み、大木のような棍棒を紙一重でかわす。


「突き! 突き! 突きィッ!!」


踏み込みと同時に放たれたのは、目にも止まらぬ神速の三連撃。

光の剣の鋭い突きが、分厚い皮膚を容易く貫き、サイクロプスの急所を正確に穿った。


サイクロプスは断末魔の声を上げることもできず、その巨体を揺らして崩れ落ち、魔石を残して消滅した。


第16話まで読んでいただき、ありがとうございました!


今回はケイとハルが大活躍する回でした。

ハルの「突き! 突き! 突きィッ!!」の三連撃、いかがでしたでしょうか?


そして、ケイがさらっと放った生活魔法「点火」の威力……。

ソフィじゃなくても「生活魔法って何だっけ?」とツッコミたくなりますね。


少しでも「面白い!」「ハルかっこいい!」と思っていただけたら、

【ブックマーク】や下の【☆☆☆☆☆】から評価をいただけると、執筆の大きな励みになります!


引き続き、応援よろしくお願いします。


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