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第24話:悪役令嬢、最高の「ホワイト労働」へ

 アウグスト王国が「アウグスト州」として正式に帝国の版図はんとに加えられた翌日。

 国境線の検問所では、かつてないほど「事務的」で「冷徹」な整理整頓が行われていました。


「セシリア。……これで、貴様を苦しめた連中は、すべて私の囚人となった。……どうしたい? 望むなら、今すぐあのドブネズミ(王子)とその愛妾を、北の鉱山へ送ってもいいが」


 レオンハルト陛下が、私の隣で、連行されていくルイス王子とマリアベルを顎で指しました。

 二人は今、帝国の重装歩兵に両脇を抱えられ、泥だらけの情けない格好で、地面を引きずられながら去っていくところでした。


「いえ、陛下。……鉱山は、帝国の貴重な資源を産み出す、誇り高い労働の場です。……あのような、努力の尊さを知らぬ連中に、そんな神聖な仕事ミッションを与えるのは……もったいないわ」


「ほう? ……ならば、どうする」


 私は、手元の一枚の「人事配置案」を陛下に差し出しました。

 それは、昨夜私が(陛下が寝ている間にこっそり)作成した、最高に合理的で、かつ慈悲のない『矯正プログラム』でした。


「彼らには、私が整備した『帝国開拓地・下水清掃課(最下層部門)』で、一生物理的なゴミ拾いに励んでいただきましょう。……仕事内容は至極単純。王宮から流れてくる、彼らが排泄した贅沢のツケを、自分たちの手で汲み取る。……最高にロジカルな、因果応報ではありませんか?」


「…………。セシリア。貴様、やはり最高に……性格が良いな」


「あら。効率を求めたら、ここに辿り着いただけですわ」


 私は、微笑んで付け加えました。


「もちろん、就業規則は『ブラック時代の私』が受けていた条件をそのまま適用します。……休憩なし、残業代ゼロ、……そして、いかに成果を上げても、上司(私)からは一言の労いの言葉もない。……彼らにとっては、これ以上の地獄はないはずですわ」


 陛下の背後で、その内容を聞いていたクリス様が「ひっ、……女の怒りは、帝国の冬よりも恐ろしい……」と呟いて震えていましたが、私は気にしません。


 連行されていくルイス王子が、最後に私を振り返り、叫びました。


「セシリア! こんなの、間違っている! 君、君は僕に跪いて謝るべきなんだ! 悪役令嬢らしく、最後は僕に縋って……!」


「……あいにくですが、殿下。……悪役令嬢わたしのスケジュールは、これからの帝国のホワイトな未来を描くことで、向こう百二十年先まで埋まっておりますの。……あなたの哀れな叫びを査定する時間は、一秒たりとも残っておりませんわ」


 私の決定的な決別。

 その瞬間、王子の絶叫は、帝国の圧倒的な歓声の中に虚しく消えていきました。


「……さて、陛下。事務的な片付けは終わりましたわ。……ここからは、私たち(・ ・ ・)の仕事の時間ですわね」


 私は、陛下の腕に自分の手を回しました。

 陛下は、満足そうに私の腰を引き寄せ、その紅い瞳に私への深い愛を灯しました。


「ああ、そうだ。……これからは、不純なノイズを気にせず……貴様を、世界一ホワイトな環境で、一生分甘やかしてやろう」


 こうして、泥沼の過去は精算され。

 有能すぎた悪役令嬢は、最強の皇帝という「最高の上司」を得て、真の意味で自分の価値を振るえる、新しい人生の契約を交わしたのでした。

第24話、お読みいただきありがとうございました!

ヴィラン二人への「下水清掃(自業自得)」という名の、事務的なざまぁが完了しました。


「悪役令嬢のスケジュールは埋まっている」という拒絶……。過去の男に一ミリも未練を残さない徹底したプロ意識が、セシリアらしさを引き立てていますわね。


次回、第25話「王国の終わりと、帝国の夜祝い」。

王国の正式な併合式典と、セシリアの「公的な評価」が最大化される、第一部フィナーレ直前回ですの!最後まで爽快なハッピーエンドにお付き合いください!


もし「下水清掃の刑に納得した」と思ったら、最後にブックマーク(有給申請)や評価(ボーナス支給)をお願いいたしますわ。

皆様の評価ボーナスが、セシリアと陛下の「ホワイトな未来」への活力になりますわ!

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