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エデン  作者: ko-da
6章 エリア・オズ編

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ネクロマンサー

「ジエルさん!」

ドロイの声が、室内に鋭く響く。

「撤退してください!」

珍しく強い口調だった。冷静なドロイが、ここまではっきり危険を訴えるのは珍しい。だが。

「はぁ!?」

ジエルは振り返る。怒りに染まった目。

「ここで逃げろってのか!?」

雷が身体から漏れ続ける。感情が、完全に前に出ている。エイリワスを前にして、引くという選択肢が頭にない。

「攻撃が通らないんですよ!」

ドロイも声を荒げる。

「このままでは――」

ドロイの視界の奥で、亜爆は外へ駆け出している。吹き飛ばされた鬼爆の様子を確認するためだ。民家の外では、崩れた壁の向こうから煙が立ち上っている。一方、ポトスは周囲を見ながら小さく呟いた。

「これはまずいね~」

その瞬間だった。屋根が破壊される。

「!?」

上から、巨大な影が落ちてきた。エイリ星人の死体。しかも一体ではない。弾丸のような勢いで降ってくる。ポトスは即座に反応した。

停止(ストップ)

手をかざす。落下してきた死体が、空中で停止する。しかし──

「っ!」

横の死角からもう一体。エイリワスが投げたエイリ星人の死体が、凄まじい速度で飛来する。回避が間に合わないず、ポトスに直撃する。ポトスの身体が壁へ叩きつけられる。木材が砕け、壁がひしゃげた。

「……っ!」

ドロイの表情が変わる。今まで以上に、切迫した声で叫んだ。

「ジエルさん!! 本気で言っています!!」

鉄を生成しながら、前へ出る。

「ここは撤退です!!」

その言葉。その必死さで――ようやく。ジエルの頭が少し冷える。

「……っ」

怒りで見えていなかった現実が、一気に押し寄せる。攻撃は当たらない。ポトスは壁にたたきつけられ、Sランクの鬼爆でさえも吹き飛ばされている。このままでは、本当に全滅する。ジエルは歯を食いしばりながら、ポトスの元へ駆け寄った。

「大丈夫か、支部長!」

壁際。崩れた木材の中で、ポトスがゆっくり身体を起こす。口元には少し血が滲んでいた。

「ボクは大丈夫さ~」

いつもの調子で笑う。無理をしているのが分かる笑顔。

「それより、今はここから撤退しよう」

ポトスの視線が、エイリワスへ向く。

「攻撃が当たらないんじゃ、どうにもできない」

冷静な判断だった。悔しさはあった。だが、ここで無理をすれば終わる。ジエルは拳を握る。悔しい。逃げたくない。それでも――

「……くそっ」

撤退を受け入れるしかなかった。その様子を。エイリワスは静かに見ていた。まるで観察結果を整理するように。

「逃げるつもりか……」

低い声。そして、わずかに笑う。

「まぁ、いいだろう……」

目が細くなる。

「いいデータが取れた」

その言葉に、ジエルの怒りがまた揺れる。だが、今は戦えない。ジエルはポトスを支え、ドロイと共に家の外へ出る。外には、鬼爆と亜爆がいた。鬼爆は頭を押さえながら立ち上がっている。

「いや~びっくりした」

普通に生きている。亜爆は呆れたようにため息をついた。

「本当に丈夫なんですね……」

だが、その空気も一瞬だった。民家の中から。エイリワスの声が響く。

「ただで逃がすとは、言っていないがね……」

嫌な予感が走る。次の瞬間。

「──ネクロマンサー」

空気が変わった。巨大な影が、ジエル達の前へ現れる。

「……は?」

ジエルの目が見開かれる。蜘蛛のような八本脚。異形の身体。見間違えるはずがない。

「……エイリプラ……?」

さっき。確かに倒したはず。核も破壊したはずなのに、エイリプラは、傷だらけの身体を引きずりながら、再び立っていた。

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