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エデン  作者: ko-da
6章 エリア・オズ編

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当たらない攻撃

ジエルが再び飛び出す。雷を纏った拳を、怒りのままに何度もエイリワスへ叩き込もうとする。雷撃が走り、刃が閃く。だが。そのすべてが通り抜ける。当たらない。感触すらない。

「くそっ!!」

ジエルが歯を食いしばる。あり得ない。目の前にいる。存在している。見えている。それなのに、触れられない。亜爆も横から爆弾を投げ込む。炎と煙が室内に広がる。しかし、その中から現れるエイリワスは無傷。

「……っ」

亜爆の表情が険しくなる。ドロイも攻撃を続けていた。鉄の槍。鉄塊。刃。次々と生成し、射出する。だが結果は同じ。全部、すり抜ける。

「……」

ドロイの思考だけが高速で回転していた。

(エイリ星人はラベジニウムの持つ身体への負荷を強く受けるため、ラベジニウムを使うことができない。エイリワスがラベジニウムの能力を使用出来ているのは、人間の体を介してラベジニウムを装着しているからか?……)

もしそうならば。

(必ず、インターフェースがある。それを破壊すれば……)

能力は止まる。少なくとも、弱体化はできる。だが、そもそも攻撃が当たらない。破壊以前の問題。さらに。

(見当たらない……)

視線を走らせる。首。腕。胸部。頭部。どこにもインターフェースらしきものがない。服の中に隠している可能性もあるが、それらしき膨らみもなく、ドロイは困惑する。

その間にも、エイリワスは攻撃を避けようともしない。ただ立っている。そしてジエルを見る。

「……速度は以前より上昇」

静かな声。

「出力も増している……」

視線が、ジエルの雷へ向く。

「だが、まだ不安定だ」

分析。評価。戦っているというより、“観察”している。その態度が、ジエルの怒りをさらに煽る。

「エイリワス!!」

雷の刃を振るう。だが、また抜ける。

その時、鬼爆が、また石を拾い、軽く放る。

鬼爆が投げた石が、エイリワスのすぐ横で炸裂する。轟音が鳴る。民家全体が揺れる。床板が砕け、木片が宙を舞った。爆風が室内を荒れ狂い、壁に新たな亀裂を刻んでいく。ジエルは腕で顔を庇う。亜爆も思わず目を細める。だが、その爆炎の中心。エイリワスだけは、変わらずそこに立っていた。揺らぎもしない。まるで爆風そのものが存在していないかのように。静かに煙の中から姿を現す。

「……観察に、邪魔だな」

落ち着いた声だった。怒鳴りもしない。感情を荒げもしない。ただ、“鬱陶しい”と言うように。そして。エイリワスが、ゆっくりと片手を振るった。その瞬間。何かが、空気を裂いた。

「……っ!?」

ジエルの視界を、影が高速で横切る。速すぎる。何が飛んだのか、一瞬分からなかった。次の瞬間。

「おっと――」

鬼爆の声。避け切れずにぶつかる。凄まじい衝突音が起き、鬼爆の身体が、“何か”に叩きつけられる。そのまま一直線に吹き飛んだ。壁をぶち抜く。民家の外壁が粉砕され、鬼爆ごと外へ消える。土煙が舞い上がる。

「…な!?」

亜爆が反射的に叫ぶ。ドロイの視線が、飛んできた“それ”へ向く。エイリ星人が床に転がっていた。死んでいる。しかし、崩壊していない。

「……あの進化個体と同じ?」

ドロイの声に、わずかな驚きが混じる。エイリワスの死体操作はエイリ星人も操ることが出来る。だが、エイリワスは、単純な操り人形としてではなく。“武器”として扱っている。エイリワスは静かに鬼爆が吹き飛んだ穴を見つめる。

「騒がしい者から排除するべきだったか」

まるで、本当に研究の邪魔をされた研究者のような口調。そこに怒りはない。あるのは、冷たい合理性だけ。ジエルの雷が、さらに激しく弾ける。

「てめぇ……!」

ジエルの怒りが増幅していく。

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