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エデン  作者: ko-da
6章 エリア・オズ編

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強さの格差

ジエル達が山道を抜けた先――視界がひらける。そこにあったのは、レインダ村だった。

「……レインダ村」

ジエルの足が、わずかに止まる。見覚えのある景色。家々の配置、道の形、遠くに見える海の気配。

だが――

「……なんか、おかしくねぇか」

ぽつりと漏れる。荒らされているわけではなかった。建物は崩れていない上に、焼け跡も、破壊の痕跡もない。ただ一つ。

「人が生活出来る施設は残っているようですが……」

ドロイが静かに言う。その通りだった。生活の気配は残っているのに、そこに“人”だけがいない。扉は閉じられ、物はそのまま。まるで、ある瞬間に全員が消えたかのような不自然さ。

そして何より――

「静かすぎる……」

亜爆の低い声。エイリ星人が大量にいる気配もない。だが、安全とも思えない。普通すぎる。それが逆に、異様だった。ジエル達は警戒を強めながら、村の中へと足を踏み入れる。

その瞬間だった。物陰から、影が飛び出す。エイリ星人。

「来たか!」

ジエルが即座に構える。だが、今回は一体ではない。もう一体、別方向から現れる。

「二体……!」

ドロイが短く告げる。その瞬間、鬼爆が軽く手を挙げた。

「じゃ、片方もらうね」

軽い調子。まるで取り分を決めるような口ぶりだった。ポトスも一歩前に出る。

「じゃあ、もう一体はボクがやるよ~」

その声も穏やかだ。だが――

「いや、待て」

ジエルが前に出る。ドロイと亜爆も、それに続いた。

「俺らもやる」

その一言に、ポトスは少しだけ目を細める。

「……いいの~?」

試すような声音。ジエルは拳を握った。

「当たり前だろ」

ジエルがここで引く理由はない。戦うために来たのだから。ドロイも頷く。

「戦力分散は可能。問題ありません」

亜爆は無言のまま、手の中に小さな爆弾を生成していた。その意思は明確だった。ポトスは小さく笑う。

「……じゃあ、お願いしようかな~」

その言葉と同時に――三人が動いた。ジエルが地面を蹴る。一気に距離を詰める。

「はぁっ!」

拳を振り抜く。鈍い手応え。

だが――

「……っ、硬ぇ!」

効いていない。確かな手応えはあるのに、ダメージが浅い。

エイリ星人が腕を振り上げる。反撃。その瞬間。

「支援します」

ドロイの声。空間に鉄の塊が生成される。それをそのまま投げつける。直撃。だが――

「威力不足」

冷静な分析。体勢は崩れたが、致命打には程遠い。

「下がってください」

亜爆の声が響く。ジエルとドロイが一瞬で後退。その間に、亜爆の手の中に生まれる爆弾。投げる。爆発し、衝撃と煙が起きる。エイリ星人の体が、わずかによろめく。

「……効いた!」

ジエルの目が鋭くなる。その瞬間、体内の電流が一気に加速する。電気が拳へと集中していく。

「行くぜ……!発電機(ジェネレーター)

新しい感覚。溜めた電気を、一点に叩き込む。

「新技!」

踏み込み。拳を振り抜く。

雷打(ライダー)!!」

殴打と同時に、電流が一気に放出される。閃光。衝撃。空気が震える。

「……やったか?」

息を吐くジエル。

「まだです」

ドロイの声。煙の中から、エイリ星人がゆっくりと動く。

「まずいな……」

ジエルの背筋に冷たいものが走る。その時だった。

「はいはい~」

間延びした声と共に、ポトスがすっと前に出る。そして、エイリ星人に触れた。

停止(ストップ)

その一言。次の瞬間。エイリ星人の体が灰色へと変色する。動きが――止まった。完全に。

「……は?」

ジエルが思わず声を漏らす。さっきまで動いていた存在が、まるで時間ごと切り取られたように静止している。ポトスはいつもの調子で振り返る。

「ボクの力さ~。触った物体の動きを、数秒だけ止められるんだ~」

あまりにもあっさりした説明。だが、その効果は絶大だった。

「……なんだそれ」

理解が追いつかない。その時。

「あ、ジエル君。そこ危ないよ~」

ポトスが軽く言う。そして、自分はさっと後ろへ下がる。

「……あ?」

ジエルは反応が一瞬遅れた。何が危ないのか分からない。周囲を見る。その瞬間。

「うおっ!?」

視界の端から、何かが高速で飛んでくる。エイリ星人。もう一体の方だ。

「アブねぇ!」

反射的に身体を捻る。ギリギリで回避。地面を転がるようにして距離を取る。その直後。とんでもない規模の爆発が、村の一角を飲み込む。さっきまで三人が戦っていたエイリ星人も、ポトスが止めていた個体も――まとめて、吹き飛んだ。衝撃波が襲う。土が舞い、視界が白くなる。数秒遅れて、静寂が戻る。

「……っはぁ……」

ジエルが息を整える。目の前には、巨大なクレーター。何も残っていない。エイリ星人の影すら。

「……今の……」

ドロイも、珍しく言葉を失っていた。亜爆も無言のまま、その光景を見ている。その中心で、鬼爆が軽く肩を回していた。

「いやー、まとめてやった方が早いじゃん?」

いつも通りの軽さ。その一言で片付けるには、あまりにも規格外だった。ジエルは、乾いた笑いを漏らす。

「……めちゃくちゃだろ」

だが、その“めちゃくちゃ”が、今は頼もしくもあった。レインダ村。その静けさの裏にあるもの。それは、まだほんの一端に過ぎない。

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