表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデン  作者: ko-da
5章 エリア・アスタロス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/90

守れない

地面に転がる核が、かすかに脈動する。不気味な鼓動。その中心からじわり、と何かが伸び始めた。肉のような組織が、形を持つ。細く、長く。やがてそれは、はっきりとした“尻尾”へと変わっていく。

(……再生してる……!)

エデンの瞳が見開かれる。終わっていない。いや、ここからが本当の脅威だった。動かなければ。今のうちに、完全に破壊しなければ。そう頭では理解している。だが、身体が動かない。

「……っ」

足と腕に力を込める。だが、まるで他人の体のように反応しない。エデンはその場に崩れる。膝が折れ、地面に手をつく。

「うそ……だろ……」

声が震える。

「動けない……」

呼吸が乱れる。身体の奥から、何かが抜けていく感覚。限界を超えた反動。無理やり引き出した力の代償。頭の中で、必死に叫ぶ。

(動け)


(動け、動け……!)

だが、応えはない。その間にも。再生は進む。尻尾だけではない。肉が盛り上がり、骨格が形成され、外殻が再び形を持つ。やがて。完全な姿が、そこに立っていた。エイリポル。無傷ではない。だが、確かに“復活”している。

「……あひゃ」

歪んだ笑み。ゆっくりとエデンを見下ろす。

「もう動けないのかぁ?」

楽しそうに、首を傾ける。

「さっきまであんなにイキってたのにぃ?」

嘲り。その声が、耳に刺さる。エデンは歯を食いしばる。それでも、身体は動かない。カイトとリナも同じだった。毒。そして、ダメージ。三人とも、戦闘不能に近い状態。エイリポルはゆっくりと口を開く。

「あーあ」

つまらなそうに呟く。

「じゃあさ」

その目が、細く歪む。

「お仲間達と一緒に――あの世に行きなぁ!」

その瞬間。口内が膨らむ。無数の棘が、生成される。狙いは――三人。一斉に、放たれる。一直線に迫る死。エデンは、それを見ていた。


動けないまま。


避けられないまま。

(……ここで、終わりか)

そんな考えが、よぎる。視界の端に、カイトとリナの姿。二人も動けない。守れない。

「……ごめん」

小さく呟く。声が、震える。

「ごめん、カイト……リナ……」

瞳に、涙が浮かぶ。悔しさ。無力さ。後悔。そのすべてが、胸を締め付ける。棘が、迫る。


その瞬間――


「――大地防壁テラウォール


低く、力強い声が響いた。直後。地面が、隆起する。轟音と共に土と岩がせり上がり、三人の前に巨大な壁を形成した。棘が、防壁に突き刺さる。鈍い衝撃音が連続する。だが、貫通はしない。全て、受け止められた。

「――エデン!」

聞き慣れた声。

「二人も、大丈夫か!」

防壁の向こうから、駆け寄ってくる足音。エデンは、ゆっくりと顔を上げた。そこにいたのは大山。その背後には。熔煉亜炭。風黒幕人。ジエル。そして、ドロイ。援軍。間違いなく、最悪の状況を覆す存在。エイリポルが、大きく目を見開く。

「なんだ!おまえら!」

苛立ちと驚愕が混じった叫び。だが風黒は、いつもの調子で一歩前に出る。状況を一瞬で把握した目。軽く周囲を見渡し、即座に判断を下す。

「ジエル君、ドロイ君」

穏やかな声。だが、迷いはない。

「君たちは負傷者を頼みます」

視線がエデンたちへ向く。

「外には救急隊が待機していますので、そこまで運んでください」

的確な指示。無駄がない。そして。ゆっくりと、エイリポルへと視線を移す。その目が、わずかに細められる。

「この進化個体は――」

一歩、踏み出す。

大山と、熔煉も並ぶ。

「私たち三人で処理しましょう」

軽い口調。だが。その場の空気が、一気に変わる。絶望だったはずの戦場に。

確かな“逆転の気配”が満ちていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ