死神との決着
濃い霧の中で、死神がゆっくりとエデン達に向け、歩き出す。
路地一帯が白い霧に包まれ、視界が完全に奪われる。
「視界が……!」
リナが周囲を見回す。
アグレスが構える。
「来る!」
だが、どこから来るか分からない。
その時。
カイトの目が鋭く光る。
「……見えた」
行動先読によって、死神の行動を先読みする。
カイトが叫ぶ。
「エデン!上だ!」
瞬間――
霧の中から死神が飛び出す。
振り下ろされる一撃。
だが。
「ハァ!」
バチィィン!!
エデンが拳で受け止める。衝撃が霧を吹き飛ばす。
死神の腕が止まる。エデンがその姿をしっかりと視認する。
「やっぱり、今さっきよりも威力が弱い」
一撃を弾き返す。死神が後ろに跳ぶ。
エデンは皆に伝える。
「皆、死神の攻撃は多分、視認さえ出来ればそんな強くない」
霧の中で、ケイの声が響く。
『その通りだ』
低く、荘厳な声。
『おそらくその死神の能力は――』
『視認されていない状態での、攻撃の威力増加』
エデンがうなずく。
「やっぱりそうか、ケイ」
リナがエデンに聞く。
「どういうこと?」
エデンは死神から目を離さずに言う。
「多分、視認出来てない時に強くなる能力だと思う」
霧の中で死神が動く。
エデンが続ける。
ドロイが理解する。
「つまり、先ほどの能力と連動している」
アグレスが言う。
「霧で見えなくして、強くなるってことね」
エデンがうなずく。
その瞬間。
カイトが動いた。
「なら、今がチャンス!」
地面を蹴る。
一直線に死神へ突っ込む。
拳を振り抜く。
「はぁぁぁ!!」
だが――
ガキィィン!!
金属のような音が響く。
「なっ……!?」
死神の体を、骨のような装甲が覆っていた。
白い外骨格。
カイトの拳が止められる。
死神がゆっくりと顔を上げる。
ギシギシと骨が軋む音。
「……」
アグレスが低く言う。
「……防いだ?」
リナの顔が強張る。
「うそ……」
ドロイが静かに分析する。
「新たな能力を確認」
エデンが呟く。
「三つ目の......能力?」
死神の全身を覆う骨の鎧。霧の中で、不気味に立っている。
その圧に、全員が息を呑む。
カイトが後ろに下がる。
「……厄介すぎる」
エデンが拳を握る。
死神がゆっくりと構える。
そこから数分、エデン達は攻撃を続けた。
ガキィン!
ドゴン!
バキィン!!
しかし、攻撃が通らない。
――すべて骨の鎧に弾かれる。
死神の体を覆う白い外骨格は、まるで鉄壁のようだった。
「くっ……硬すぎる!」
アグレスが歯を食いしばる。
刑事としての冷静さを保ちながらも、状況の厳しさを理解している。
カイトが後ろに跳ぶ。
「このままじゃ削りきれない……!」
リナも顔に焦りが見える。
死神が霧の中でゆっくりと動き、骨の鎧がギシギシと音を立てる。
エデンが拳を握る。
「……このままじゃ倒せない」
静かに言う。
「リミットフォースの威力を上げる、ケイ」
アデルの声が響く。
『反動は大きいぞ』
「分かってる」
力が拳に集まり、空気が震える。
エデンが全員を見る。
「一瞬でいい!隙を作って欲しい!作ってくれれば、一撃で倒す!」
アグレスが深く息を吐く。
「エデン君……それは危険だ」
そして拳銃を構える。
「でも、やるしかないか」
刑事としての覚悟が宿る。
「市民を守るのが私の仕事。エデン君には触れさせない」
カイトがうなずく。
「行くぞ」
リナも構える。
「任せて!」
ドロイが前に出る。
「なら、俺も能力を使います」
「鉄鋼製作」
鉄の棒が生成される。
ドロイが動く。
「カイトさん、先読みを」
「右に動く!次は左!」
行動先読が死神の動きを読む。
リナが疾走する。
「はぁっ!」
疾歩疾走。
一瞬で背後へ回る。
アグレスが銃を撃つ。銃弾が死神の動きを制限し、正面から圧をかける。
ドロイが鉄の棒を壁に打ち込む。
ガン!!
もう一本。
ガン!!
死神の体を路地の壁に押さえつける。
完全に動きを封じる。
ドロイが叫ぶ。
「今です!」
「エデンさん!!」
エデンが跳ぶ。
「リミットフォース――最大出力!!」
ドロイが横へ回避する。
一撃が叩き込まれる。
ドゴォォォォォォン!!!
死神の体が壁にめり込み、路地が大きく削れる。
骨の鎧が砕け、死神が崩れ落ちる。
沈黙。
「……撃破確認」
ドロイが言う。
エデンが膝をつく。
「はぁ……」
カイトやリナも安心し、腰を下ろす。
アグレスも銃を下げ。
「これで事件も――」
その時。
ピクリ。
死神が動く。
ドロイの目が反応する。
「エデンさん!」
死神が跳ね起きる。
一直線にエデンへ。
その瞬間。
ドロイが前に出る。
ザシュッ。
死神の腕が、ドロイの胸を貫く。
「……っ」
エデンが叫ぶ。
「ドロイさん!!」
死神がそのまま崩れ落ち、完全に停止する。
ドロイが膝をつく。
リナが駆け寄る。
「ドロイ!」
カイトも支える。
「しっかりしろ!」
アグレスもすぐに駆け寄り、刑事として状況を確認する。
「貫通してる……!救急車を」
エデンが叫ぶ。
「心臓をやられてる!」
ドロイは静かに言う。
「問題ありません」
アグレスが言う。
「そんな傷で無事なわけないでしょ!」
ドロイはゆっくりと顔を上げる。
「大丈夫ですよ」
そして言う。
「俺は――」
一瞬の沈黙。
「半分機械のサイボーグですから」
全員が固まる。
「……は?」
カイトが驚き、リナも目を見開く。
「サイボーグ……?」
アグレスも言葉を失う。
「……本当?」
ドロイがうなずく。
「はい」
胸の傷口から機械部品が見える。
「重要器官は機械で代替されています」
ドロイは静かに立ち上がる。
「多少の傷なら、問題ありません」
エデンは、驚いたままドロイを見つめていた。




