逃亡
霧の中で――
死神の体が震え始めた。黒い外套の下で、体が不自然に揺れている。
エデンが構える。
「……?」
リナも警戒する。
「なんか変だよ」
カイトが低く言う。
「様子が違う」
死神は突然、頭を押さえるような仕草をした。
ゴキ……ゴキ……
骨が軋むような音。
そして、ピタッと止まる。
数秒の沈黙。
次の瞬間、死神が急に霧の奥へ向かって歩き出した。
エデンが叫ぶ。
「待て!」
しかし死神は振り向かない。
まるで何かを思い出したように
どこかへ向かっている。
リナが言う。
「逃げる気!?」
カイトが言う。
「追うべきだ」
エデンが走り出そうとしたその時
ウゥゥゥゥゥ!!
サイレンの音が響いた。
公園の入口にパトカーが何台も止まる。
アグレスが来る。
「皆!救援を呼んできたよ!」
警察の救援部隊が到着した。
「全員!」
「一般人の避難は終わった!死神を制圧する!」
警察官たちが公園へ突入してくる。死神はその動きを見て止まった。そしてゆっくり振り向く。
霧の中で黒い外套が揺れる。
次の瞬間――
ドォン!!
死神が地面を蹴った。
警察官に向かって突進する。
「撃て!」
その言葉と共に、銃声が響く。
しかし、弾は霧の中で弾かれる。
「効かない!?」
死神が腕を振るう。
ドン!!
警察官が吹き飛ばされる。
アグレスが叫ぶ。
「下がって!」
エデンも飛び出す。
「こっちだ!」
リナが加速し、カイトが先読みし、ドロイが防御に入る。
数分の応戦。
死神は霧を大量に噴き出し、周りを攪乱する
ブシュゥゥゥ!!
視界が完全に白くなる。
エデンが叫ぶ。
「見えない!」
カイトが言う。
「位置が――」
その瞬間、気配が消えた。
霧がゆっくり晴れていく。
そこには――
誰もいなかった。
リナが悔しそうに言う。
「……逃げられた」
アグレスが歯を食いしばる。
「くそ……!」
警察官が報告する。
「刑事!」
「死神の追跡を開始しますか?」
アグレスはすぐに指示を出す。
「いや、逃げ遅れた市民がまだいるかもしれないから、パトロールを続けて、死神は私達がどうにかする」
警察は公園周辺へ散っていく。
エデンは霧が消えた公園を見つめる。
「……また逃げられた」
カイトが言う。
「追跡するぞ」
リナも頷く。
「うん」
その時だった。
後ろから声がした。
「エデンさん」
振り向くとドロイが立っていた。
エデンが言う。
「ドロイさん!もしかして、何か分かったんですか?」
ドロイは落ち着いた声で答える。
「……分かったことがあります」
アグレスも振り向く。
「何が分かったの?」
ドロイは静かに続ける。
「死神の行動には理由があるかもしれません」
エデンが真剣な顔になる。
「理由?」
ドロイは霧が消えた空を見ながら言った。
「恐らく死神は.....」
霧が消えた公園の中で、
エデンたちは次の言葉を待っていた。




