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エデン  作者: ko-da
4章 死神事件編

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53/90

二つの能力

エデンたちは病院を飛び出し、

全速力でアモリス中央公園へ向かった。


夕方の公園。


少し暗い、街。

その奥には――

濃い霧が広がっていた。


エデンが立ち止まる。

「……あれだ」


霧の中から


ドォン!!


激しい音が響いた。


次の瞬間、人が吹き飛ばされる。

「きゃあああ!!」


逃げ惑う一般人。倒れて怪我を負っている警察。そして霧の奥からゆっくり歩いてくる影。黒い外套。影に隠れた顔。死神だった。


エデンが言う。

「……あいつだ」


しかし、今までの事件とは様子が違った。死神は潜んでいない。


むしろ――

暴れている。


霧の中で腕を振るい、ベンチを破壊し、逃げ遅れた人間を襲おうとしている。


リナの目が大きく開く。

「……!」


公園の入口で、子どもをかばう母親が転んだ。死神が母親にゆっくり近づく。霧の中で腕が持ち上がる。


その一撃が落ちれば――


エデンが叫ぶ。

「まずい!」


しかしその瞬間、リナが前に出た。

「……止めないと」


足を一歩踏み出す。


そして小さく言った。


疾歩疾走(ステップスプリント)

リナの足が地面を踏む。


タッ


もう一歩。


タッ


その瞬間、体が前に加速する。


エデンが驚く。

「速い」

(早くなる能力か、)


リナはさらに踏む。


タッ タッ タッ


ステップを踏むたび、スピードが上がる。地面を蹴るたびに加速していく。人間の速度を超えていく。


数秒で、リナは霧の中へ突っ込んだ。


死神の腕が母親へ振り下ろされる――


ドン!


霧が晴れると、リナは死神の攻撃から母親を抱えてよけていた。


母親をおろし、息を切らしながら言う。

「逃げて!」


「こっちだ!」

アグレスは母親を支えて、そばの子どもを抱え、逃げていく。

「皆!私は周りの人に避難を促してくる!おそらくすぐに警察の救援が来るから、それまで耐えていて!」


死神の視線がリナに向いた。また死神の周りに霧が発生する。


エデンたちは霧の中へ入る。

「リナ!」


カイトが低く言う。

「……無茶をするな」


リナは死神から距離をとり、言う。

「エデン!カイト!救援が来るまで、逃がさず耐えるよ!」


エデンが拳を握る。

「分かってる」


霧の奥で死神が動く。黒い外套が揺れる。


そして――

今さっきよりも濃い霧が噴き出した。


エデンが驚く。

「霧がもっと濃く!」


霧の中で死神の姿が消えた。


リナが周囲を見回す。

「……見えない」


エデンも警戒する。

「さっきまでここに――」


その瞬間。


ドン!!


エデンの横の木が吹き飛んだ。


リナが驚く。

「えっ!?」


しかし、そこには誰もいない。


カイトが冷静に判断する。

「奇襲されてる。一旦、霧から出たほうがいい」


しかし、霧は既に広範囲に広がっていた。エデンが歯を食いしばる。

「クソ、霧が多すぎる....」


その時だった。


カイトが一歩前に出る。

「……任せろ」


エデンが振り向く。

「カイト?」


カイトは静かに言った。

「能力を使う」


行動先読(アヘッドリーダー)


カイトの視線が鋭くなる。


霧の奥を見据える。


まるで何かを見ているように。


数秒後――


カイトが突然叫んだ。

「エデン!右だ!」


エデンが反射的に振り向く。


次の瞬間。


霧の中から死神の拳が飛び出す。


ガン!!


視覚外からの攻撃、エデンは視認出来なかった。しかし、エデンはすでにリミットナイトを発動し、右側を腕で防御した。拳は鎧により防がれる。


「どうして分かったの?」

エデンがカイトに聞く。


カイトは静かに答える。

「俺のラベジニウムの能力は次の動きが見える」


カイトの方を見ているエデン。

「……次は後ろだ!」


エデンがすぐに振り向く。今度は視認が出来た。

死神が霧から飛び出すが、それもまた防ぐ。


(..?)

その攻撃は、今さっきの攻撃よりも威力が段違いに弱かった。


霧の中。


死神がゆっくり距離を取る。


どうやら、攻撃が当たらないことに気づき始めたようだった。


エデンが拳を握る。

「よし」


「これなら戦える」


しかしその時。


カイトの目がわずかに細くなる。


「……?」


エデンが聞く。


「どうした?」


カイトが低く言った。


「おかしい」


リナが聞く。


「何が?」


カイトは霧の奥を見つめたまま言う。

「さっきから」


「こいつ」


「同じ動きしかしない」


エデンが眉をひそめる。


「同じ?」


カイトは小さく頷く。


「殴って、離れて、霧を出す」


「また殴る」


「……それだけだ」


エデンは霧を見つめて言う。

「決まった行動を繰り返してる?」


その瞬間。


霧の奥で死神がゆっくり首を傾けた。


そして──

死神の体が震え始めた。

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