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エデン  作者: ko-da
4章 死神事件編

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死神

霧の奥で――


コツ……


小さな足音が響いた。


エデンたち全員が霧の奥を見る。


しかし何も見えない。


白い霧が視界を遮っている。


コツ……


コツ……


ゆっくりとした足音が近づいてくる。


アグレスが銃を構える。

「止まりなさい!」


返事はない。


代わりに――


霧の中から黒い影が浮かび上がった。ゆっくりと霧を押し分けるようにして現れる。長い黒い外套のような服。全身を覆う黒い布。顔は深く影に隠れていて、表情がまったく見えない。


その人物は、不気味なほど静かな動きで歩いてくる。

霧の中で揺れるその姿はまるで、死神のシルエットだった。


リナが小さく呟く。

「……なに、あれ」


カイトが低く言う。

「……人間か?」


ドロイの装置が突然反応する。


ピッ……ピッ……ピッ……


ドロイが画面を見る。

「強いエネルギー反応……あの人物からです」


霧の中の人物は止まった。


そしてゆっくりとエデンたちの方を向く。


しかし顔は影のまま。何も見えない。


不気味な沈黙が流れる。

次の瞬間――


ズッ……


その人物の背後で霧が大きく揺れた。


アグレスが鋭く言う。

「気をつけて!」


「ただの人間じゃない!」


エデンは拳を握る。

霧の中に立つその存在を見つめながら言う。


「……あんたが」


「死神事件の犯人か」


次の瞬間。


ブシュッ……


死神の周囲からさらに濃い霧が噴き出した。白い霧が一気に広がり、路地全体を覆っていく。


エデンが叫ぶ。

「くそっ、視界が!」


リナも辺りを見回す。

「どこにいるの!?」


しかし霧はどんどん濃くなる。


死神はその霧の中を、ゆっくりとエデンたちに向かって歩き出した。


アグレスが銃を向ける。


「止まれ!」


だが――

死神は何も答えない。


その瞬間。


ズンッ!!


突然、黒い影が霧の中から飛び出した。


「ッ!」


ドロイが反応するより早く、


ドンッ!!


強烈な一撃がドロイに叩き込まれた。


ドロイの体が吹き飛ぶ。


ガンッ!!


そのまま壁に激突した。


リナが叫ぶ。

「ドロイ!!」


ドロイの体が壁にもたれかかる。


「……っ」


動きは止まっていないが、衝撃は大きかった。


霧の中から、


ゆっくりと死神が歩いてくる。


コツ……


コツ……


静かな足音。


やがて死神は


倒れたドロイのすぐ近くまで来た。


ドロイが顔を上げる。


死神は何も言わない。


ただ――


じっとドロイを見つめていた。顔は影で見えず、何を考えているのかも分からない。


数秒の沈黙。


エデンが叫ぶ。

「やめろ!!」


しかしその瞬間、


死神はふっと視線を外した。


そして何もせず、ゆっくりと霧の奥へ歩き出す。


アグレスが驚く。

「……え?」


霧の中で黒い外套が揺れる。


そのまま死神の姿は白い霧の奥へ消えていった。


路地には静寂だけが残る。


エデンが歯を食いしばる。

「くそ……」


リナがドロイの元へ駆け寄る。

「ドロイ!大丈夫!?」


ドロイはゆっくり体を起こした。

「……問題ありません」

しかし装置の画面を見ながら言う。

「ですが今の人物」


少し間を置く。

「普通ではありません」


エデンが霧の消えかけた路地を見る。

「何なんだあいつ......」



死神が霧の奥へ消えてから数分後。


路地にはようやく静けさが戻っていた。

さっきまで濃かった霧も、ゆっくりと薄れていく。


リナはまだ警戒しながら辺りを見回している。

「……もういないよね」


アグレスが頷く。

「少なくとも今はね」


エデンは拳を握ったまま、死神が消えた路地の奥を見ていた。


「……あいつ」


カイトが短く言う。

「死神」


エデンが振り向く。

「間違いないよね、死神事件の犯人」


アグレスも頷いた。

「ええ、霧が出ていた場所の記録と一致する」


「恐らくあれが“死神”」


リナが腕を抱える。

「でも……」


「霧を出すって、どういうこと?」


エデンも同じ疑問を口にする。

「普通の人間じゃできないことだ」


カイトが静かに言う。

「ECOの隊員?」


エデンは別の可能性を言う。

「もしかして……」


「機械とか?」


リナが振り向く。

「ロボットってこと?」


エデンが頷く。

「だってさ、霧を出す装置とかなら作れるかもしれないし」


アグレスが腕を組む。

「確かに可能性はある」


「でもそうなると――」


「誰が作ったのかって話になる」


カイトが低く言う。

「目的も不明」


エデンも考え込む。

「なんで人を襲うんだ」


「しかも……」


視線がドロイに向く。

「さっきはなんでドロイを仕留めなかった?」


リナも頷く。

「そう!普通ならトドメ刺すよね」


アグレスも眉をひそめる。

「確かに」


「完全に無防備だった」


ドロイは壁にもたれ、腕を見つめながら言う。

「……そうですね」


そして静かに続けた。

「確かに人間ではなさそうです」


エデンが聞く。

「やっぱり?」


ドロイは頷く。

「はい」


「ですが」


装置を取り出す。


ピッ……


画面に先ほどの反応が表示される。

「死神が出していたエネルギー」


「これを解析すれば」


少し間を置く。

「正体に近づけるかもしれません」


アグレスが身を乗り出す。

「分かるの?」


ドロイは答える。

「完全な特定は難しいでしょう。ですが、既知のエネルギーかどうかは判別できます」


エデンが言う。

「エイリ星人とか?」


ドロイは首を振る。

「現時点ではエイリ星人の反応とは一致していません」


リナが驚く。

「えっ、じゃあ本当に別物?」


ドロイは装置を操作しながら言う。

「解析には少し時間が必要です」


カイトが言う。

「……拠点でやるべきだ」


アグレスも頷く。

「確かに」


エデンは拳を握る。

「この事件。思ったより危険だ」


その言葉を聞きながら、ドロイの装置の画面では

先ほどの霧のエネルギー波形が静かに記録され続けていた。

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