未来を変える条件
区長室の空気は静まり返っていた。
エデン、ジエル、亜爆の三人は
ホワイトの言葉を黙って聞いている。
ホワイトはゆっくりと続けた。
「私が見た未来は」
窓の外に視線を向ける。
「決して良いものではなかった」
その声は落ち着いているが、どこか重い。
「ある存在によって、世界が混乱に陥る未来だ」
ジエルが眉をひそめる。
「世界が?」
ホワイトは頷く。
「そう。都市や地区の問題ではない」
「世界規模の混乱だ」
エデンが小さく息を呑む。
ホワイトはさらに言った。
「その原因は」
少し間を置く。
「あるエイリ星人」
エデンの脳裏に、白衣の男の姿が浮かぶ。
(エイリワス……?)
ケイの声が頭の中で響く。
『可能性は高いな』
ホワイトは続ける。
「その未来の中で世界は混乱し、多くの人が危険にさらされる」
亜爆が静かに尋ねる。
「そして、それを止める方法も見えたということですか?」
ホワイトは首を振る。
「見えた、というより聞いたという方がいいだろうね」
ホワイトは机の上の手を軽く握る
「今回、私の頭に浮かんだ言葉は」
三人を見る。
「こうだった」
ゆっくりと一言ずつ言う。
「今年現れた新人のECO隊員が、混乱を止める鍵となる」
ジエルが呆れたように言う。
「ちょっと待て、それって俺らじゃない可能性もあるんじゃ」
ホワイトは静かに頷いた。
「たしかにそうだ。しかし現在その可能性が一番高いのが君たちなんだ。」
エデンは言葉を失う。
亜爆もわずかに目を細める。
ホワイトは苦笑する。
「私も最初は信じられなかった」
「だが、未来視はこれまで一度も外れたことがない」
そして三人を真剣に見る。
亜爆は静かに考える。
「そのあるエイリ星人については何か言葉は浮かびましたか?」
ホワイトはゆっくり首を振る。
「どういう個体かは分からないが」
少しだけ声が低くなる。
「非常に強い存在だということだけは感じた」
その言葉を聞いて、エデンの頭の中でケイが静かに言った。
『エイリワスの可能性が高い』
エデンは心の中で答える。
(やっぱりそう思う?)
エデンは小さく息を吐く。その動きにジエルが気づく。
「どうした?」
エデンは少し迷ったが言った。
「……もしかしたらそのエイリ星人、俺たちがもう会ってるかもしれないです」
ホワイトの目が少し鋭くなる。
「それは、どういう意味かな?」
エデンは静かに言った。
「エイリワスっていうエイリ星人です」
その名前が、区長室の空気をわずかに変えた。




