目的
エイリワスに首を掴まれたまま、エデンは動けない。
呼吸も苦しくなってきていた。
エイリワスは静かにエデンを見つめる。
まるで研究対象を観察するように。
そして口を開いた。
「君に一つ質問をしよう」
「君の目的は何だ?」
エデンの目が揺れる。
「……目的?」
エイリワスは淡々と続ける。
「君は私にインターフェースを埋め込まれた」
「そして」
「ECOの隊員になった」
その声には感情がない。ただ事実を並べているだけだった。
「だが」
エイリワスの目が鋭くなる。
「君は」
「自分で率先してその道を選んだわけではない」
エデンの呼吸が止まる。
「……!」
エイリワスは続ける。
「力を与えられ、組織に所属し、敵と戦う」
そして静かに言った。
研究室に重い沈黙が落ちる。
エイリワスはエデンを見つめたまま言う。
「君はただ」
「降りかかってきた事実に流されてきただけだろう」
エデンの瞳が揺れる。
言葉が出ない。
その様子を見て、
エイリワスはわずかに笑った。
「なるほど、図星か」
その瞬間。
ドンッ!!
大きな音が研究室に響いた。
ジエルだった。
拳を強く握り、怒りで震えている。
「……てめぇ」
声が低い。だが怒りがはっきりと滲んでいた。ジエルが一歩踏み出す。
「黙れよ」
エイリワスはちらりとジエルを見る。
ジエルの目は完全に怒りに燃えていた。
「今さっきから好き勝手に言いやがって!」
「お前にエデンの何が分かるんだよ!」
「発電機」
研究室に怒声が響く。
怒雷刃を構える
しかし――
エイリワスはその怒りにも動じない。
むしろ
静かに二人を見つめていた。
そして突然。
パッ
エイリワスの手がエデンの首から離れる。
「……!」
エデンの体が床に落ち、咳き込む。
「ごほっ……!」
ジエルが驚く。
「……何?」
エイリワスはゆっくりと二人を見渡した。
そして穏やかに言う。
「私は、君たちを殺したいわけではない」
「君たちの進化を見たいんだ」
エデンとジエルが顔を上げる。
エイリワスは続ける。
「エデン」
「君が私の埋め込んだインターフェースによってどこまで成長するのか」
そして視線をジエルに向ける。
「もちろん」
「ジエル・レート。君もだ」
ジエルが眉をひそめる。
「……なんで俺」
その瞬間。
エイリワスの姿が消えた。
「え――」
ドッ
エデンの首筋に鋭い衝撃が走る。
「……っ」
視界が揺れる。
次の瞬間。
バシッ
ジエルの首にも手刀が叩き込まれた。
「ぐっ……」
二人の体が同時に崩れ落ちる。
視界が暗くなっていく。
エデンの意識が途切れる直前、
ぼんやりとエイリワスの姿が見えた。
エイリワスは静かに言う。
「今はまだ」
「未完成だ」
そして背を向ける。
「だがいずれ」
「私の研究にふさわしい進化を見せてくれるだろう」
エネルギー研究室の扉が開く。
「その時には、私も次のステージに行ける」
エイリワスは振り返ることなく歩き出した。
そのまま
研究室を後にする。
床には
気絶したエデンとジエルだけが残された。




