研究対象
ジエルの目が鋭く光る。
怒雷刃を振り上げる。
「エイリ星人なら話は早ぇ!」
雷をまとった刃がエイリワスへと炸裂する。
しかし――
エイリワスは体をわずかに動かしてよ避けた。
雷撃は空を切る。
ジエルが舌打ちする。
「チッ」
エデンも前に出た。
「今度は俺が!」
拳を握り、エイリワスへ飛び込む。
「はあっ!」
拳が一直線に放たれる。
だが――
エイリワスはその腕を軽く払った。
「甘い」
エデンの体勢が崩される。
そのまま横へ流され、攻撃は完全にいなされた。エデンはすぐに体勢を立て直すが、表情は驚いていた。
その時、エデンの頭にケイの声が響く。
『……エデン』
『この個体は危険だ』
エデンが心の中で返す。
(どういうこと?)
ケイの声は冷静だった。
『今まで戦ってきたエイリ星人とは違う』
『この個体は明らかに一線を画している』
エデンは前を見る。エイリワスは微動だにせず立っている。まるで二人の攻撃が遊びだったかのように。
アデルが続ける。
『無理に戦うべきではない』
『戦力差が大きい』
エデンはポケットから通信機を取り出す。
(時輪さん達に連絡を──)
しかし、通信機はノイズを発するだけ。それを見てエイリワスは笑う。
「その程度の抵抗は予測している」
(噓だ.....そんな)
ケイの言うようにエイリワスは只者ではない。圧倒的な実力差がある可能性が高い。
(……逃げられないなら)
エデンはエイリワスを睨む。
「俺は……戦う!」
そして――
再び走り出した。
一直線にエイリワスへ向かう。
「うおおお!」
その瞬間。
エイリワスの姿が消えた。
「え――」
次の瞬間。
ガシッ
エデンの首が掴まれる。
「ぐっ……!」
気づいたときには、エイリワスの手がエデンの喉を握っていた。エデンの体がそのまま持ち上げられる。
ジエルが叫ぶ。
「エデン!!」
エイリワスは静かに言った。
「それは無謀だ」
その目は冷たい。
「勇気と無謀は違う」
エデンの首を掴んだまま、まるで標本を観察するように見つめる。
そして静かに言う。
「そうだ」
「君にひとつ教えてあげよう」
エデンの目が揺れる。
「……何を」
その瞬間。
ジエルが飛び出した。
「エデンを離せ!!」
拳を振り上げ、エイリワスに殴りかかる。
だが――
エイリワスは振り向きもしない。
空いている片手を軽く振るった。
「がっ!」
ジエルの体が横へ吹き飛ぶ。壁に叩きつけられ、床を転がった。
「くっ……!」
それでもジエルはすぐに起き上がる。
エイリワスはエデンを見る。
そして、静かに言った。
「君の体に埋め込まれているもの」
「インターフェース」
エデンの目が見開かれる。
「……!」
エイリワスの口元がわずかに歪む。
「君は知らなかっただろう」
そして淡々と告げた。
「君のそのインターフェースを埋め込んだのは私だ」
研究室の空気が凍る。
エデンの思考が止まる。ジエルも動きを止めた。
「……は?」
エイリワスは平然と続ける。
「人間の体に異星エネルギーを適応させる技術」
「それは私の研究の一部だ」
エデンの声が震える。
「じゃあ……」
「俺は……」
エイリワスは静かに答えた。
「そう」
「君は」
「私の実験体のひとつだ」




