制圧
時輪の冷静な声が戦場に響く。
「ジエル、左だ。動きを止めろ」
「言われなくても!」
ジエルが地面を蹴る。体に電気をまといながらエイリトスへ突っ込む。
「はあっ!」
バチィッ!!
雷をまとった蹴りがエイリトスの横腹に叩き込まれる。
エイリトスは体の刃を振り回し反撃する。
だが――
バンッ!バンッ!
天記の銃弾が正確に刃の根本を撃ち抜いた。
「今だよ!」
刃の軌道がわずかにズレる。その隙を時輪は見逃さない。
「倍速」
その瞬間、時輪の体は加速し、次の瞬間にはエイリトスの背後にいた。
「遅い」
鋭い蹴りがエイリトスの背中に叩き込まれ、体が大きく前に崩れる。
亜爆はすかさず生成した爆弾をエイリトスに投げる。
「失礼します」
ドォォン!!
爆発。
瓦礫が崩れ、エイリトスに当たる。
「ググ……斬ル!」
エイリワスは完全に囲まれていた。
時輪が冷静に状況を見る。
「いい流れだ」
エデンは前に立ち、黒い鎧――
リミットナイトを維持している。
エイリトスが刃を振るうが、エデンが腕で受け止める。
衝撃で床がひび割れる。
(重い……!)
それでもエデンは踏みとどまる。
「ここは通さない!」
時輪が小さく頷く。
そして左手のインターフェースが光る。
「時限強化」
ジエルの肩に手を置く。
「10秒強化」
ジエルの体に光が走る。
「おっ……!」
「力が……!」
時輪が言う。
「その10秒で胸部を切り裂け」
ジエルが笑う。
「任せろ!」
体にまとった電気が強くなる。
「怒雷刃!」
雷で作られた刃を作り出す。
そして――
「ぶった斬る!」
バシュッ!!
雷の刃がエイリトスの体を深く切り裂いた。
エイリトス
「斬……殺……!」
その傷から――
黒い光が見える。天記が目を見開く。
「見えた!」
時輪が短く言う。
「全員、次で終わらせろ」
追い詰められたエイリトスが笑う。
「斬殺……」
体中から刃が生え始める。
「斬殺斬殺斬殺斬殺!!」
狂ったように刃が増殖していく。
天記が呟く。
「……まずいね」
時輪の目が鋭くなる。
「最後の抵抗か」
そして静かに言う。
「だが――」
「遅い」
エイリトスの体から、無数の刃が伸びていく。狂ったように叫びながら、体中の刃を回転させる。
刃の嵐。
その暴風のような斬撃が、エデン達へ向かって放たれる。
瞬間。
時輪の体が五倍速で動く。
目にも止まらぬ速度で戦場を走り回り、刃の軌道を見切る。
「ジエル」
「お前はあの核を破壊しろ」
「分かってる!」
「だがそのままでは届かない」
次に視線をエデンへ向ける。
「エデン」
「お前が道を作れ」
エデンは頷く。
胸の奥でケイの声が響く。
『リミットナイトでは突破出来ない』
『使うなら.....』
エデン
「分かってる!」
黒い鎧が砕ける。
リミットナイト解除。
そして――
エデンの拳にエネルギーが集中する。
「リミットフォース……!」
体中の力を、拳へ。
エデンは叫ぶ。
「ジエル!」
ジエルが答える。
「行くぞ!」
エイリトスが刃を振り下ろす。
「斬殺!!」
エデンが踏み込む。
「うおおおおお!!」
拳に限界を超えた力を込める。
リミットフォース。
そして――
拳が目の前の刃に叩き込まれる。
衝撃で刃が吹き飛び、胸部の核が見える。
核が完全に露出した。
ジエルが叫ぶ。
「見えた!!」
電気が体中に走る。
強化された身体能力。
最大出力の雷。
「怒雷刃!!」
雷の刃を生成。
そして――
全力で投げる。
雷刃が一直線に飛ぶ。
エイリトス
「斬――」
ドンッ!!
雷の刃が核に直撃。
次の瞬間。
バキィィン!!!
核が砕けた。
エイリトスの体が止まる。
刃が一斉に崩れ落ちる。
「……斬……」
体が崩れ始める。
「殺……」
黒い粒子となり、消滅していく。
静寂。
数秒後。
ジエルが大きく息を吐く。
「……終わったな」
天記も銃を下ろす。
「なんとかね……」
エデンは膝をつく。
「はぁ……はぁ……」
体の力が抜ける。
時輪が腕を組んで立っている。
「悪くない」
そしてエデンを見る。
「新人にしては上出来だ」
その時、支部の警報が止まり、放送が流れる。
『アモリス支部のエイリ星人は全て制圧されました』
『隊員は状況確認を行ってください』
天記がほっとしたように言う。
「やっと終わったね」
「まだだ」
時輪は周りを見渡しながらそう言う。
「え?」
エデンは困惑する。
アモリス支部襲撃から30分経過──
まだ事件は終わっていない。
時輪鐘鳴のもう一つの能力 時限強化 時間制限を指定し、その時間内の間対象の身体能力、能力の出力などが強化される。その強化幅は時間制限が少ないほど大きくなる。しかし、再発動には数十分のインターバルが必要となる




