新技
警報が鳴り響き続けるアモリス支部の廊下。
煙の中で、エイリトスの刃の身体がゆっくりと動いた。
「斬ル」
「斬ル!」
刃の腕が増殖するように伸びていく。
天記が眉をひそめる。
「……嫌な予感がするね」
次の瞬間。
エイリトスの全身の刃が一斉に動く。
「斬ル!」
「斬ル!!」
「斬ル斬ル斬ル斬ル!!」
ブワァァァッ!!
刃の嵐が放たれた。無数の斬撃が廊下を埋め尽くす。
「うおっ!?」
ジエルが地面を蹴る。
バチッ!
電気をまとった身体が高速で動き、斬撃の間を縫うように回避していく。
「こんなの当たるかよ!」
一方――
天記は動かない。
静かに銃を構える。
「落ち着いて……」
引き金を引く。弾丸が飛び、飛来する刃と正面衝突した。刃が弾き飛ばされる。
その横では亜爆が爆弾を作り出していた。
「まとめて処理します」
足元に投げる。
「爆撃手」
爆風が刃を吹き飛ばす。
しかし――
数本の刃がエデンへ向かっていた。
「くっ……!」
エデンは歯を食いしばる。
「リミットナイト!!」
黒いエネルギーが溢れ、エデンの身体を黒い鎧が覆った。刃が鎧に突き刺さる。
衝撃で床が割れる。
「ぐっ……!!」
それでもエデンは倒れない。
腕で防御を取り、必死に耐える。刃の嵐が止んだとき。廊下はボロボロだった。
ジエルが肩で息をする。
「はぁ……はぁ……」
消耗している四人とは対照的に、エイリトスは笑っていた。
「マダ」
「マダ」
「足リナイ」
狂気の笑顔で刃を振り回し、再び暴れ始める。床を切り裂き、壁を斬り裂き、
狂ったように突進する。
ジエルが舌打ちした。
「ちっ……」
そして小さく笑う。
「ま、ちょうどいい」
手に電気を集中させる。雷が刃の形を作っていく。
エデンが驚く。
「それ……!」
ジエルが手を見る。
「ここ数日で考えた新技だ」
雷の刃が完成する。
「名前は――」
エイリトスが突進する。
「斬殺!!」
ジエルが腕を振り抜いた。「怒雷刃!!」
バチィィィン!!
雷でできた刃が一直線に飛ぶ。
エイリトスの腕へ――
ザンッ!!
一瞬だった。
刃の腕が宙を舞い、エイリトスが止まる。切断された腕が床に落ちる。
ドサッ
ジエルがニヤリと笑う。
「どうよ」
「雷の刃ってのも悪くねぇだろ?」
エイリトスは腕の断面を見つめる。そして。ゆっくり顔を上げた。
「イイ」
「イイ!!」
狂気の笑み。
「モット」
「モット!!」
刃が再び伸び始める。
「斬殺だァァ!!」
天記が小さく息を吐いた。
「……本当にしぶといね」
エデンが拳を握る。
(まだ終わらない……!)
支部の奥のモニター室──
その戦闘を静かに監視する。
「……素晴らしい」
声は低く、落ち着いている。
「ジエル・レート」「エミット・エデン」
モニターに映る四人。
「やはり……価値がある」
影が、わずかに笑った。




