襲撃開始
その頃――
アモリス支部の地下研究区画。
薄暗い部屋で、一人の研究者がモニターを見つめていた。
画面には先日の戦闘記録。
エデン。
ジエル。
天記。
そして――進化個体 エイリガフ。
研究者は静かに呟いた。
「……素晴らしい」
「これほどとは」
モニターの光が顔を照らす。
その瞳は、人間のものとは思えないほど冷たかった。
「面白い.....」
研究者は通信端末を操作し、ボタンを押す。
「これならどうかな.....」
アモリス支部の各所で警報が鳴り響いた。
ビーッ!!ビーッ!!
「緊急警報!緊急警報!」
「アモリス支部にて生命反応多数確認!」
「エイリ星人発生!!」
通路を隊員たちが走り出す。
「数は!?」
「複数!Cランク相当!」
その時、壁が破壊され、エイリ星人がなだれ込んでくる。黒い外骨格。
異形の腕。
人間の数倍ある体躯。
「ギギギギッ!!」
「グアアア!!」
鳴き声を出しながら近づく。
「来たぞ!!」
「迎撃!!」
ECO隊員たちが戦闘態勢に入る。
その頃。
アモリス支部の廊下。
エデン達の端末が同時に鳴った。
「緊急任務」
「エイリ星人襲撃」
ジエルが顔をしかめる。
「マジかよ……」
天記は端末を見つめ、静かに言う。
「来ちゃったね」
亜爆は少し驚いたように目を細めた。
「本当に来るとは……」
エデンは右手を握る。
インターフェースが淡く光った。
(エイリ星人……)
その時だった。
支部中のスピーカーから――
ザザッ ザ──
とノイズが走る。
「……?」
ジエルが天井を見る。
「放送?」
次の瞬間。
不気味な声が支部中に響いた。
「ザァ……」
「きこエるか」
「ニンげんども」
声は異様に歪んでいた。
機械のようでもあり、獣のようでもある。
そして――
笑った。
「ケケケ」
「おレは」
「エイリトス」
短い沈黙。
そして突然、叫ぶ。
「きサマら!」
「斬殺する!!斬殺する!!」
放送が支部中に響き渡る。
エデン達が息を呑む。
「進化個体……」
天記が低く言った。
その瞬間。
支部の天井を――
ズガァァン!!!
巨大な何かが突き破った。
粉塵の中から現れたのは、
人型だが――
全身が刃のように変形している異形。
腕は巨大なブレード。
脚も刃。
背中からも刃が生えている。
エイリトスは首をカクカクと動かし、
エデン達を見た。
そして口を裂くように笑う。
「ミつケた」
「ミつケた!!」
「斬殺」
「斬殺!!」
刃の腕がゆっくりと構えられた。
エイリトスが刃の腕を構える。
「斬殺」
「斬殺!!」
次の瞬間――
ドンッ!!
床が砕けるほどの勢いでエイリトスが突進した。
「速っ!」
エデンが驚いた瞬間、
その前に飛び出したのは――ジエルだった。
「相手は俺だ!!」
ジエルの身体が光る。
能力――
発電機
全身の筋肉が一気に強化される。
「うらぁ!!」
バチィッ!!
電気をまとった拳がエイリトスの刃の側面を殴り、刃を逸らす
ガギィン!!
金属同士のような音が廊下に響く。
「ケケケ」
エイリトスの腕が変形する。
刃がさらに伸びた。
「斬ル」
「斬ル!!」
ブンッ!!
横薙ぎの斬撃がジエルに飛ぶ。
ジエルはとっさに跳んで避ける。
「ちっ……!」
その瞬間。
天記が銃を構え、冷静に狙いをつけて撃つ。
弾丸は正確にエイリトスの関節へ。しかし、銃弾はめり込まない。
「……硬いね」
天記が小さく言う。
「でも動きは止まる」
天記の言う通り、弾丸の衝撃でエイリトスの動きが一瞬止まる。
ジエルが笑う。
「ナイス天記さん!」
そしてエイリトスに向かい走りながら電撃を溜める。
「くらえ!!」
バチィィィン!!
強烈な電撃拳。
エイリトスの身体が吹き飛び――
かけた瞬間。
「ケケケ」
「甘イ」
エイリトスの脚が刃へと変形した。
ザンッ!!
床を切り裂きながら急加速。
一瞬でジエルの横をすり抜けた。
「なっ!?」
そして。
その刃の視線は――
エデンへ向いていた。
「弱イやつ」
「斬殺!」
エデンが目を見開く。
(速い――)
避けられない。
その瞬間。
「――そこまでですよ」
静かな声。
次の瞬間。
エデンの前に――
黒い球体が2つ落ちた。コロン。コロン。
エイリトスが首を傾げる。
「?」
そして。
亜爆が静かに言った。
「ボンバー」
ドォォォン!!!
爆発。
凄まじい衝撃波が廊下を吹き抜けた。
エイリトスの身体が爆風で弾き飛ばされる。
壁に叩きつけられた。
ドガァン!!
瓦礫が崩れる。
煙が立ちこめる中、
亜爆がタバコをくわえ直した。
「新人を狙うのは感心しない」
ジエルが振り返る。
「おお!?すげぇ!」
エデンも驚く。
「今のが……爆撃手...」
煙の向こうから――
ギィィィ…
刃が擦れる音。
天記が静かに言った。
「……まだ倒れてないね」
煙の中から。
エイリトスがゆっくり立ち上がる。
身体の刃がさらに増えていた。
「痛イ」
「痛イ!」
顔が歪む。
「デも」
狂った笑み。
「楽シイ」
刃の腕を広げる。
「もっと」
「斬殺だァ!!斬殺!!」
ジエルが笑い腕を構える。
「上等!」
電撃が再び走る。
アモリス支部襲撃事件。開始──




