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エデン  作者: ko-da
2章 エリア・ベヘモト編

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巨体

廃工場地帯。


割れた窓。

崩れた煙突。

鉄の匂いと、焦げた空気。


エデン、ジエル、天記の三人は慎重に進む。


「反応、近いよ」


天記が端末を見る。


『複数体いる』


ケイの声。


次の瞬間。


影が、蠢いた。


歪んだ人型。


灰色の皮膚。

関節が逆に曲がり、目が赤く光る。


通常個体のエイリ星人。


だが数が多い。


一体、二体、三体……十以上。


ジエルが笑う。


「ウォーミングアップにちょうどいい」


地面を蹴る。


発電機(ジェネレーター)発動。


走る。


動く。


電力が溜まる。


最前列へ一直線。


「らぁ!!」


拳と同時に放電。


一体が爆散。


だが後続が一斉に飛びかかる。


エデンも踏み込む。


リミットフォース発動。


一体の爪を回避。


掌底で喉元を破壊。


回転蹴り。


二体沈黙。


しかし。


「多いな……!」


包囲される。


ジエルは被弾しながらも突っ込む。


肩を裂かれる。


だが止まらない。


動くほど電流が増す。


雷撃が周囲を焼く。


「おらぁ!!」


エデンも打撃を放つ。


「はぁ!」


二人の呼吸が合う。


だが――


後方から一体が高速で接近。


気づくのが遅れる。


爪がエデンの首元へ――


その瞬間。


天記が銃をうつ。


「──止まれ」


憶流の声。


いつもより低い。


エイリ星人の動きが一瞬鈍る。


憶流が素早く接近し、額に触れる。


「あなたは“ここに来ていない”」


静かな言葉。


エイリ星人の目の光が揺らぐ。


記憶操作(メモリーコントロール)


戦闘直前の記憶を消去。


混乱。


動きが止まる。


その隙にエデンが叩き伏せる。


「助かりました!」


「お安い御用だよ。」


だが数はまだいる。


ジエルが叫ぶ。


「まとめて来い!」


突撃。


発電量急上昇。


電流が弧を描く。


複数体を同時に貫く。


エデンも連撃を加える。


破壊。


やがて。


最後の一体が倒れ、静寂が戻る。


荒い呼吸。


焦げた臭い。


ジエルが肩で息をする。


「……弱ぇな」


だが天記は周囲を警戒したまま動かない。


「……妙だ」


「妙?」


エデンが問う。


「通常個体にしては統率があった」


その時。


地面が微かに震える。


遠くで、何かが動く音。


重い。


大きい。


『何かがいる』


ケイの声が低くなる。


天記の表情が強張る。


ジエルが笑う。


「やっと本番か」


そう言うと、足早に音のする方に向かっていった。


エデンと天記もついていく。


大量の瓦礫。


その中から一体のエイリ星人が現れた。


外見は他と変わらない。


灰色の皮膚。

歪んだ関節。

赤い眼。


ジエルが肩を鳴らす。


発電(ジェネレー)....」


踏み込もうとした、その時。


――「マテ」


三人の動きが止まる。


空気が凍る。


今のは。


明らかに、人語だった。


エデンが目を見開く。


「……今、喋った?」


エイリ星人の口元が、ぎこちなく歪む。


――「カンサツ、カンリョウ」


低く、濁った声。


だが確かに言葉。


天記の表情が一変する。


「下がって」


声が鋭い。


「その個体、おそらく....l」


エイリ星人の目が三人を順番に見る。


――「リミット。メモリーコントロール。ジェネレーター。トウバツタイショウ。」


エデンの背筋が冷える。


(能力を知ってる?討伐対象……?)


憶流が叫ぶ。


「二人とも距離を――」


その瞬間。


エイリ星人の身体がぶくりと膨らむ。


内部から何かが膨張するように。


皮膚が裂け、液体状の肉体が広がる。


腕が伸びる。


二本の巨大な腕へと変貌。


地面が軋む。


ジエルが歯を食いしばる。


「今さっきの音はコイツのか……!」


天記が銃を構える。


「撤退も視野に!」


だが遅い。


エイリ星人が一歩踏み出す。


地面が陥没。


次の瞬間。


巨大腕が横薙ぎに振られる。


速い。


想定よりも。


「エデン!!」


衝撃。


エデンの身体が直撃を受ける。


防御姿勢を取る暇もない。


吹き飛ばされる。


瓦礫を突き破り、壁に叩きつけられる。


轟音。


粉塵。


ジエルの瞳が血走る。


「てめぇ……!!」


発電機(ジェネレーター)全開。


床が焦げる。


電流が爆発的に増幅。


だが天記が叫ぶ。


「ジエルくん、待って!」


エイリ星人の目が光る。


――「イカリ。タンジュンナコウゲキ。」


挑発。


理解している。


ジエルがさらに踏み込もうとする。


その時。


瓦礫の奥から、咳き込む音。


エデン。


立ち上がる。


腕が震えている。


(……重い)


肋骨が軋む。


『拡張するか.....』


ケイの声。


(まだ……)


視界の端で、ジエルが暴走寸前なのが見える。


天記も、銃を構えながら判断を迷っている。


エイリ星人がゆっくりと告げる。


――「ジャイアント」


肉体がさらに膨張する。


巨大化。


さっきよりも、明らかに大きい。


天記の声が低くなる。


「……これは、まずい」


その瞬間。


エイリ星人が再び踏み込む。


狙いは――


今度はジエル。


夜のベヘモトに、雷鳴のような轟音が響く。

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