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エデン  作者: ko-da
10章 エイリワス決戦編

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エイリワス決戦⑥

ブウタ地区の市街地。

既に二体の進化個体が神宮寺によって討伐されていた。

だが、神宮寺の呼吸は僅かに乱れている。

最終手段(ラストリゾート)は自身の生命エネルギーを使用する能力。使用すればするほど身体への負担は増していく。それでも彼女の瞳に迷いはなかった。

「残り三体」

神宮寺はそう呟くと、右脚へ集約していた装甲を再び分離させる。四つの装甲が空中を舞い、元の両腕へと装着されていく。次の瞬間、エイリメスの身体が大きく膨張した。

「なら手数で攻めるまで」

無数の腕や眼球が身体から飛び出し、その全てが神宮寺へと襲い掛かる。

神宮寺は静かに右手を前へとかざした。放たれたエネルギー弾がエイリメスの上半身を消し飛ばす。しかし、その瞬間には黒い肉が蠢き始め、身体が再生していく。

「明らかに再生が早い...」

神宮寺は表情一つ変えない。おそらくエイリメスは再生力に特化した進化個体。核を破壊されない限り、肉体が損傷しようとも、その異常な再生能力によって攻撃が通らない。だが。

「ならば――再生が追いつかなくなるまで消し飛ばすだけです」

神宮寺は躊躇なく二発目を放つ。再生する。三発目。四発目。五発目。六発目。

「再生が....」

エイリメスの再生速度が徐々に遅くなっていく。再生する間もなく身体の半分が消し飛び、ようやく再生した部分も次のエネルギー弾によって消滅していく。生命力の塊とも呼べる怪物ですら、この攻撃を受け続ければ限界が訪れる。

「これで終わりです」

最後の一撃が放たれる。巨大な爆発と共にエイリメスの肉体は跡形もなく消滅した。

残るは二体。

その瞬間だった。

「ッ!」

エイリゼクが神宮寺の死角へと回り込む。神宮寺がエイリメスへ意識を向けていた僅かな隙を狙ったのだ。同時にエイリベルも空中へ飛翔する。黒い翼を広げ、その全ての羽を神宮寺へと向けた。

「切り裂く...」


「爆ぜろ……!」

一体は超高速の斬撃。一体は広範囲への爆撃。

二方向からの同時攻撃だった。

エイリゼクの刃が神宮寺の首を切り裂こうとした瞬間――。

神宮寺の左手がエイリゼクの攻撃を受け流した。人間離れした反応速度。そのまま身体を捻り、黒い羽の爆撃を全て回避していく。黒い羽が着弾し、地面を次々と吹き飛ばしていくが、一発たりとも神宮寺には命中しない。

エイリゼクはさらに加速する。

一撃ではない。何十、何百もの斬撃を一瞬で叩き込もうとしていた。

だが――。

「捕まえました」


「!?」

神宮寺はその腕を掴んでいた。逃げる間もなく、その手のひらから膨大なエネルギーが収束していく。

「消し飛ばす!」

ゼロ距離から放たれたエネルギー弾がエイリゼクの身体の一部を消し飛ばした。エイリゼクは悲鳴を上げながら後方へ飛び退く。本能が告げていた。勝てない。この人間は危険だと。エイリゼクは神宮寺との戦闘を放棄する。そのまま凄まじい速度で方向転換し、市街地の別方向へと飛び去ろうとした。

(王の命令は破壊....)

(この人間に執着する必要はない)


そう判断した瞬間だった。

『神宮寺隊長!』

神宮寺の通信機から声が響く。

『市民の避難確認が完了しました!』

神宮寺は目を見開く。そして、小さく微笑んだ。

「そうですか」

「ありがとうございます」

その瞬間。神宮寺の表情から一切の迷いが消えた。

「では――」

「もう遠慮は必要ありませんね」

今まで以上の生命エネルギーが神宮寺の身体から溢れ出す。その場にいたエイリベルですら本能的に危険を察知するほどのエネルギー量だった。神宮寺の目の前に巨大なエネルギー弾が生み出される。

「逃がしません」

巨大なエネルギー弾がエイリゼクへと放たれる。エイリゼクは全力で逃げる。音を置き去りにするほどの速度で空を駆ける。しかし――

「なに!?」

巨大なエネルギー弾は凄まじい速度で追いつき、そのまま周囲数百メートルを飲み込む大爆発を起こした。

光が収まった後、そこにエイリゼクの姿は残っていなかった。


完全なる消滅だった。

そして、最後の一体。エイリベルだけがその場に残っていた。

エイリベルは羽の速度をさらに上昇させる。まるで黒い豪雨のような羽が神宮寺へと襲い掛かった。だが。

神宮寺は目の前へ無数の小さなエネルギー弾を生み出す。一つ一つが黒い羽に対応していた。小さなエネルギー弾が次々と黒い羽を消滅させていく。爆発することすら許さない。全てが空中で消し飛ばされていく。神宮寺は無数のエネルギー弾を一つへと集約させる。そして、それを放った。

エネルギー弾はエイリベルの左翼を消し飛ばす。

「羽の破壊完了」

空中でバランスを崩し、大きくよろめく。その隙を神宮寺は見逃さない。四つの装甲が全て右腕へと集約される。今までにないほどの出力。生命エネルギーが右腕へと流れ込んでいく。地面を砕きながら神宮寺は跳躍した。

「はぁぁぁぁぁ!!」

一瞬でエイリベルとの距離を詰める。そして──

右腕に膨大なエネルギーを纏わせた一撃がエイリベルの胸部へと叩き込まれる。その一撃だけでエイリベルの身体は吹き飛び、遥か上空へと弾き飛ばされた。

神宮寺は右手を空へとかざす。最後のエネルギー弾が生み出される。

「消えてください」

放たれた光がエイリベルを呑み込む。

空を照らす巨大な光の柱。その中でエイリベルの身体は完全に消滅した。静寂が訪れる。神宮寺はその場に立ちながら、小さく息を吐いた。

「終わりましたね……」

五体の進化個体。その全ての討伐に成功したのだった。

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