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エデン  作者: ko-da
7章 クロウ島編

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赤い斬撃

白黒の軍勢が、エイリヤカへ殺到する。ナイトが跳ぶ。ビショップの光弾が斜めに走る。無数のポーンが壁となり、ルークが一直線に突撃する。盤面全体が揺れていた。

「行けぇ!!」

流鹿が拳を振るう。その号令に合わせるように、駒達が一斉に襲いかかる。エイリヤカは赤い刀を構えた。そして、消える。盤面を飛び越えるように位置が変わる。ナイトの槍を回避。ビショップの斬撃を潜り抜ける。だが。流鹿の軍勢は止まらない。前から、横から、後方から。逃げ場を潰すように駒が迫る。

「チェックメイトや!!」

流鹿自身も突撃する。ガントレットによる拳撃。エイリヤカが刀で防ぐ。その瞬間。後方からルークが激突した。エイリヤカの身体が吹き飛ぶ。さらに。クイーンの巨大な刃が振り下ろされる。赤い外骨格が砕ける。盤面に亀裂。エイリヤカは膝をついた。流鹿が息を吐く。

「終わりや……!」

次の瞬間。ナイトが槍を振り下ろす。そして。エイリヤカの赤い刀が砕けた。刀身が宙に舞う。流鹿の目が見開く。

「取った……!」

エイリヤカは武器を失った。盤面全体が流鹿側へ傾く。だが。その時だった。エイリヤカが、近くにいたポーンへ手を触れた。


「……?」


次の瞬間。

ポーンが細切れになった。何かに斬られたように。だが。刀はない。エイリヤカは素手だ。流鹿の顔から笑みが消える。

「……は?」

さらに。エイリヤカがルークへ触れる。瞬間。巨大な駒が、一瞬で切り刻まれた。断面が滑らかに崩れ落ちる。流鹿が目を見開く。

(こいつの能力は……移動の省略やないんか!?)

違う。一つではない。エイリヤカは静かに立ち上がる。砕けた刀を捨てた。赤い外骨格が少しずつ再生していく。流鹿は息を荒げながら距離を取った。周囲には、切り刻まれた駒の残骸。クイーンも、ナイトも、ビショップも。全て破壊されていた。

「なんや……その能力……!」

流鹿が低く唸る。エイリヤカは静かに構えを取った。刀はもう無い。だが。その指先には、赤い光が集まっていた。次の瞬間。空間を裂くように、赤い斬撃が飛ぶ。ルークが真っ二つになる。流鹿の目が見開かれる。

(飛ぶ斬撃……!?)

エイリヤカは再び消えた。移動を省略し、一瞬で位置を変える。そして現れた瞬間には、赤い斬撃を放つ。斬って飛ばす。その動作があまりにも速い。移動能力と合わさることで、まるで視界のどこからでも即座に斬撃が飛んでくるようだった。ポーン達が前へ出る。壁となる。だが。赤い斬撃が乱れ飛ぶ。ポーンが次々と切断される。流鹿は即座に召喚。

「ポーン! ナイト! ルーク!」

白マスと黒マスが発光し、大量の駒が再び現れる。しかし、エイリヤカの猛攻は止まらない。消えては現れ、斬撃を飛ばしまた消える。盤面そのものを跳び回りながら、斬撃の嵐を放っていた。クイーンの上半身が吹き飛ぶ。ビショップの頭部が砕ける。ナイトの槍が切断される。流鹿は舌打ちした。

「くそっ……!」

防ぎきれない。盤面を制圧していたはずの駒達が、逆に狩られていく。エイリヤカは完全に対応していた。

「省略……だけではござらん」

低い声。エイリヤカの手元に、赤い光が収束する。そして。無数の斬撃が一斉に放たれた。盤面を埋め尽くす赤い線。駒達が一瞬で切り裂かれる。光の粒となって消滅。流鹿はガントレットを構えて防ぐ。だが。斬撃の一つが肩を裂いた。

「……ッ!」

血が飛ぶ。エイリヤカが前へ出る。移動を省略。一瞬でキングの目前へ。

「な――」

流鹿が走る。ポーン達が壁になる。だが。赤い斬撃が一直線に走る。ポーンごと切断。キングへの道が開く。流鹿が叫ぶ。

「待て!!」

拳を振るう。しかし。エイリヤカは振り返りもせず、片手を払った。飛ぶ斬撃。ガントレットが砕ける。

「ぐっ……!」

その隙。エイリヤカがキングへ手を伸ばす。そして。赤い斬撃が、至近距離から放たれた。キングが両断される。瞬間。盤面全体に巨大な亀裂が走った。白と黒の世界が崩壊を始めた──

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