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エデン  作者: ko-da
7章 クロウ島編

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黒い雷

エイリヤカは静かに刀を引き抜いた。赤い刀身から血が滴る。同時に、ドロイの身体が崩れ落ちた。地面へ倒れたドロイの身体からは、血だけではなく、破損した機械部品も散らばっていた。内部フレーム。千切れたコード。呼吸も不安定になっている。それでもドロイはまだ意識を保っていた。

「……まだ……動け……」

だが、その声は弱い。エイリヤカは血の付いた刀を軽く振った。

「切り捨て候……」

感情が無い。まるで雑草でも刈ったかのような声音だった。その瞬間。エデン達全員が理解する。

――このままでは死ぬ。

誰も口には出さない。だが、本能がそう告げていた。強すぎる。今まで戦ってきたエイリ星人とは次元が違う。亜爆へ向かうエイリヤカ。 ジエルが即座に動いた。

「オラァ!!」

雷撃。バチバチと巨大な電流が走る。エイリヤカは刀を軽く振るい、それだけで電撃が散らされる。

「なっ……!?」

ジエルの顔が歪む。エデンも立ち上がる。リミットナイトを発動。黒い鎧が全身へ広がる。

(逃げるにしても....あの速さだと逃げられない......少しでも時間を稼がないと.....)

真正面から突っ込む。拳を振るう。一撃。確かに腹へ入った。だが、エイリヤカはほとんど揺らがない。逆に、エイリヤカの斬撃が腹部へ直撃した。

「ッ!!」

バキィッとリミットナイトの鎧が砕ける。

「が……ッ!」

その瞬間。さらに首へ追撃。エデンは咄嗟に腕で防御する。だが、腕の鎧まで砕け散った。そして――腹への一突き。

「……ッ!!」

エデンは倒れ込み、咳き込む。呼吸が苦しい。立ち上がれない。ジエルが歯を剥く。

「クソッ!!」

攻撃が通らない。有効打を与えられない。その間にも仲間は倒れていく。だが、それでも。ジエルは止まらなかった。雷を纏い、何度も突っ込む。殴る。蹴る。斬る。だが。エイリヤカは、その全てを捌いていく。そして何故か。エイリヤカは、ジエルへ致命傷を与えない。刀ではなく、柄を使い、ジエルに打撃を与えた。

「がっ……!」

ジエルの身体が吹き飛ぶ。地面を転がる。だが、生きている。エイリヤカはそのまま亜爆へ向かった。

「……ッ」

亜爆の顔が引きつる。爆弾を投げる。エイリヤカは刀で爆弾を上空へ弾いた。直後、空中で爆発する。炎が空へ広がる。それと同時にエイリヤカの姿が消える。

「……!」

亜爆の前に既に立っていた。


一方で、吹き飛ばされたジエルは、地面へ膝をついていた。呼吸が荒い。視界が揺れる。

(このままじゃ……)

亜爆が死ぬ。ドロイも。エデンも。みんな。

(やられちまう……)

拳を握る。悔しい、弱い、守れない、また失うのかという言葉がジエルの頭に響く。

エイリヤカが刀を振り上げる。ジエルは地面を叩く。

(死なせて……たまるか!!)


その瞬間。ジエルのラベジニウムが、強く光った。今までとは違う音。黒い電気。それがジエルの身体から漏れ始める。空気が震える。


「……!?」

エデンが目を見開く。ケイも驚いていた。

『これは……』


振るわれたエイリヤカの刀が、横へ弾かれる。

「……?」

エイリヤカが初めて反応した。その前。ジエルが立っていた。全身から黒い雷を迸らせながら。黒い電流が周囲を走る。地面が焦げる。ジエルの目は、今まで以上に鋭く光っていた。


「これが……進化か……」

エイリヤカが低く呟く。感情のようなものが、その声に混ざっていた。赤い瞳が、黒い雷を纏うジエルを見つめる。ジエルは息を荒げながら立っていた。全身から黒い電気が漏れている。今までの雷とは違う。重く、禍々しい。空気そのものを震わせるような雷だった。

「うるせぇ……!」

ジエルが地面を蹴る。コンクリートが砕ける。一瞬でエイリヤカの懐へ入り込む。拳に黒い雷を纏う。

「らァァ!!」

拳をエイリヤカは刀で受ける。だが──

拳から溢れた黒い電気が、空中で弾けた。衝撃。刀が大きく弾かれる。

「……!」

エイリヤカの身体が僅かに揺らぐ。初めて。明確に押された。ジエルは止まらない。そのまま黒い雷を腕へ集中させる。形が変わる。巨大な雷の刃。黒雷の刃。

「怒雷刃ァァァ!!」

振り下ろす。雷が炸裂する。エイリヤカへ直撃。赤い外骨格が削れる。火花。破片。そして。ついに鎧が砕けた。

「効いた……!」

エデンが目を見開く。初めて。エイリヤカへまともなダメージが入った。エイリヤカも後方へ吹き飛ぶ地面を滑る。その赤い鎧には、確かに亀裂が入っていた。ジエルはさらに踏み込む。

「終わりだァ!!」

追撃。だが。その瞬間だった。

「ッ!?」

ジエルの身体から黒い雷が暴発する。全身の電気が内側で弾けた。

「がぁぁぁッ!!」

衝撃。ジエル自身が吹き飛ぶ。地面へ倒れ込む。身体が痙攣する。黒い電気が暴走していた。

「ジエルさん!!」

亜爆が叫ぶ。だが、ジエルは返事をしない。意識を失っていた。エイリヤカはゆっくり立ち上がる。砕けた鎧が再生する。

「未完成……」

静かな声。そう呟き。エイリヤカは視線を動かす。亜爆。その後ろには、傷だらけのエデン。そして倒れたドロイ。亜爆は二人を抱えながら後退していた。額から汗が流れる。

(まずい……)

勝てない。ジエルがあそこまでやっても止めきれない。エイリヤカが刀を構える。そして。消えた。

「また来る!!」

エデンが焦る。見えない。速すぎる。次の瞬間。亜爆達の目の前。既にエイリヤカがいた。赤い刀が振り下ろされる。終わり。誰もがそう思った。だが──激しい金属音。

「……?」

エイリヤカの刀が止められていた。大きなガントレット。それを両腕に装着した男が、刀を受け止めていた。黒髪。右目には大きな傷跡。胸にはECOの胸章。その男は、ニヤリと笑う。

「派手に暴れとるやないか」

そして、エイリヤカの刀を弾き返した。

「悪いけどなぁ――」

男が一歩前へ出る。圧力が変わる。

「うちの後輩、これ以上好きにはさせへんで」

盤上流鹿。ECOの実力者が、ついに姿を現した。

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