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エデン  作者: ko-da
7章 クロウ島編

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斬撃

朝。エデンはゆっくり目を覚ました。柔らかいベッド。静かな部屋。一瞬、自分がどこにいるのか分からなくなる。

「……あ」

クロウ島。旅行中だったことを思い出す。昨日はかなり疲れていたらしい。身体が少し重い。エデンはベッドから起き上がり、窓の外を見た。その時だった。

「……?」

何かがおかしい。外が妙に騒がしい。人の声。叫び声。車の急ブレーキ音のようなものまで聞こえる。エデンは眉をひそめた。

(……怪盗?)

真っ先にシェイド達のことが頭をよぎる。だが。次の瞬間。

「いやああああッ!!」

悲鳴。それも、クローズフェザー号での混乱とは違う。もっと切迫した、本気で命の危険を感じている声だった。エデンの表情が変わる。

「……違う」

胸騒ぎがした。急いで部屋を飛び出す。廊下へ出ると、ちょうど別の部屋からも人が出てきていた。

「エデン!」

ジエル。その後ろから亜爆。さらにドロイも出てくる。全員、外の異変に気付いたらしい。

「なんだこの騒ぎ……!」

ジエルが窓の外を見る。そこでは、人々が慌てて走っていた。観光客。ホテルスタッフ。誰もが恐怖に顔を歪めている。

「下行くぞ!」

エデン達はすぐにホテルを飛び出した。外へ出た瞬間。空気が違った。騒然としている。人々がどこかへ逃げ込んでいた。店のシャッターが閉まり始めている。遠くでは煙も上がっていた。

「なんだよこれ……」

亜爆が息を呑む。エデンも周囲を見る。昨日までの平和なリゾート地とは思えなかった。すると──

「エデン君!!」

聞き覚えのある声。振り向くと、アグレスがこちらへ走ってきていた。だが、その姿は昨日とは違う。顔に焦りが浮かんでいる。警察官達も慌ただしく動いていた。

「アグレスさん!」

エデンが駆け寄る。アグレスは息を切らしながら言った。

「大変だ!」

その声には、明確な緊張があった。

「エイリ星人が「現れた!!」

アグレスが叫ぶ。その声には、昨日までの余裕がまるで無かった。

「君たちも逃げるんだ!」

真剣な表情でエデン達へ言う。

「あれには、多分勝てない!」


「……!」

エデン達の空気が変わる。アグレスがここまで断言する。それだけで異常だと分かった。ジエルが眉をひそめる。

「何が出たんだよ」

その瞬間。遠くで何かが崩落した音が鳴った。地面が僅かに揺れる。ホテル街の向こう側。建物の上半分が地面に落ちていた。建物は斜めに切断されている。

「きゃあああ!!」


「逃げろ!!」

観光客達が悲鳴を上げながら走る。昨日まで賑わっていたリゾート地は、一瞬で地獄のような空気になっていた。エデンはその光景を見ながら、無意識に拳を握る。すると。ドロイが静かに前を見た。

「……来ます」

その視線の先。煙の中から、“何か”が現れる。ゆっくりとした足音。だが、その一歩ごとに妙な圧迫感があった。そして。煙の中から姿が現れた瞬間。エデン達は息を呑んだ。

「……なんだ、あれ」

ジエルが低く呟く。それは人型だった。だが、人ではない。全身が赤い外骨格に覆われている。鎧。まるで武士のような姿だった。肩や腕には硬質な装甲。頭部も兜のような形状になっている。そして右手には――。赤い刀。血のような色をした、異様に長い刀身。その刃を地面へ擦るように歩いていた。ぎりぎりと嫌な音が響く。


「エイリ星人……?」

エデンが呟く。だが、今まで見た個体とは明らかに違う。存在感そのものが異質だった。周囲の空気が張り詰める。すると、そのエイリ星人がゆっくり顔を上げた。赤い外骨格の奥。暗い隙間から、光る瞳が見える。その視線が、エデン達を捉えた。背筋が冷える。


次の瞬間──

エイリ星人が刀を振るった。直後。後方の街灯が斜めに切断される。数秒遅れて街灯が崩れ落ちた。

「斬撃……!?」

エデンが目を見開く。遠距離まで届く斬撃。しかも、ほとんど見えなかった。ドロイの表情が険しくなる。

「危険です……」

ジエルはエイリ星人を睨む。

「好き勝手しやがって.....」

電気が身体から漏れ始める。だが、アグレスが叫ぶ。

「駄目だ!!」

エデン達を見る。その顔には焦りがあった。

「あれは普通のエイリ星人じゃない!ECOに応援を呼んだから君たちは......」

エイリ星人はゆっくり刀を持ち上げる。そして。低い声が響いた。

「……いざ、尋常に.....」

その瞬間。ケイの声がエデンの頭に響く。

『エデン』

鋭い声。

『戦うな....』

短く、だが強い警告。

『こいつは強い』

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