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エデン  作者: ko-da
7章 クロウ島編

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怪盗探し

数十分後。船内を包んでいた騒ぎは、少しずつ落ち着きを取り戻していた。警察による聞き込みと乗客達への注意喚起。警備員の巡回強化。その結果、少なくとも表面上は平静が戻りつつあった。だが、完全に安心している者はいない。廊下を歩く人間の多くが、自分の荷物を気にしていた。豪華客船だった空間は、どこか落ち着かない空気へ変わっている。一方、エデン達も対策を取っていた。

「じゃあ、荷物全部ここに置いとくか」

ジエルが言う。エデン達はそれぞれの貴重品や荷物を一つの部屋へ集めていた。万が一、怪盗が本当に狙ってきた場合、分散させるより管理しやすい。

「で、誰か一人が見張る」


「俺やりますよ」

亜爆がすぐに手を上げた。

「さっき結構食べたんで、ちょっと休みたいですし」


「本音出てるぞ」

ジエルが呆れる。だが、実際その案が一番安全だった。

「頼めます?」

エデンが聞く。


「任せてください」

亜爆は親指を立てた。こうして亜爆が荷物番を担当し、エデン、ジエル、ドロイの三人は再び船内へ出る。豪華な廊下を歩きながら、三人は自然と警戒を強めていた。さっきまで“旅行”だった空気は、既に薄れている。代わりに漂うのは、任務中に近い緊張感だった。

「怪盗探しか……」

ジエルがぼやく。

「探して見つかるもんなのか?」


「少なくとも、警戒する意味はあります」

ドロイが静かに返した。

「相手は予告状まで出していますからね」

やがて三人は、先程騒ぎが起きていた場所へ戻る。そこには、まだ警察官達が残っていた。そして中央にはアグレスの姿もある。書類を確認しながら指示を飛ばしていたアグレスは、エデン達に気付くと少し驚いた顔をした。

「エデン君?」


「出ましたね、怪盗」

エデンが言う。アグレスは疲れたように息を吐いた。

「あぁ……まさかこんな早く事が起きるなんて思わなかったよ」

その顔には明らかに緊張が見えていた。予告状が来ていたとはいえ、乗船直後に動くとは予想していなかったのだろう。するとドロイが一歩前へ出る。

「俺達に何か出来ることはありませんか?」

その言葉に、アグレスは少し考える。だが、すぐ首を横に振った。

「今回はいいよ」


「……?」


「これは警察の仕事だから」

アグレスは真面目な顔で続ける。

「エイリ星人やラベジニウムが関わってる可能性は、今のところほぼない」

つまり、超常的な事件ではない。普通の犯罪だ。だからこそ、本来ECOが動く案件ではなかった。

「でもよ」

ジエルが口を開く。

「黙ってられねぇよ」

腕を組み、不満そうに言う。

「怪盗がいるって分かってんのに、何もしねぇのは気持ち悪い」

その言葉に、アグレスは少し困ったように笑った。

「……エデン君と似てるね君」

しばらく考え込む。そして、小さく息を吐いた。

「分かった」

ポケットから紙を取り出す。そこへ何かを書き込み、エデンへ渡した。

「じゃあ君達は、不審な人物がいないか見ててくれ」

そこには電話番号が書かれていた。

「もし何か見つけたら、この番号へ連絡」


「了解」

エデンが頷く。その時だった。アグレスが少し真剣な表情になる。

「分かってると思うけど」

視線が三人を順番に見る。

「相手は怪盗とはいえ一般人だ」

空気が少し引き締まる。

「ラベジニウムの能力は使わないようにね」

その言葉には、警察官としての強い警告が込められていた。一般人相手に能力を使えば、能力犯罪として大問題になる。ドロイは静かに頷く。

「はい。気を付けます」

ジエルも不満そうではあったが、否定はしなかった。エデン達は紙を受け取り、その場を後にする。そして再び、怪盗が潜んでいるかもしれない豪華客船の中へ歩き出した。

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