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エデン  作者: ko-da
7章 クロウ島編

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怪盗の仕業

エデン達がそれぞれの部屋で休んでいると――船内に、穏やかな電子音が響いた。

『――ご乗船中のお客様へご案内いたします』

天井のスピーカーから流れる女性の声。静かだった船内に、その放送がゆっくり広がっていく。210号室。エデンはベッドへ腰掛けていたが、その声に顔を上げた。211号室のジエルも、スマホを弄る手を止める。212号室の亜爆は「お?」と呟き、213号室のドロイは静かに耳を傾けた。

『本日午後七時より、第一ホールにて歓迎パーティーを開催いたします』

落ち着いた案内音声。

『お食事や演奏などもご用意しておりますので、ぜひご参加ください』

豪華客船らしいイベントだった。

『また、本船は現在予定通りクロウ島へ向け航行しております』

窓の外では、既に港の灯りが遠ざかり始めている。クローズフェザー号はゆっくりと海を進んでいた。

『皆様、どうぞ快適な船旅をお楽しみください』

そこで放送は終わる。短い静寂。そして。211号室。

「パーティーだってよ」

ジエルが少し笑う。

「マジで金持ちの世界だな」

212号室では亜爆が鏡を見ながら呟いていた。

「これ俺みたいなの行って大丈夫なのか……」

一方、210号室のエデンは窓の外を見ていた。夜の海。どこまでも広がる黒い水面。そこへ、ケイが低く呟く。

『騒がしくなりそうだな』


「……怪盗のこと?」


『それだけではない』

ケイの声はどこか警戒していた。

『この船、妙な空気がする』

エデンは少し眉をひそめる。ちょっと休んだ後、パーティに行こうと210号室の扉を開けると、ちょうど向かいの部屋からも人が出てきていた。

「お、エデン」

ジエルが片手を上げる。亜爆も欠伸をしながら部屋から出てきた。

「皆行くんですね、パーティ」


「せっかくだしな」

ジエルが笑う。その隣では、213号室から出てきたドロイが静かに扉へ鍵を掛けていた。

「少し様子を見る程度ですが」

四人はそのまま二階の廊下を歩き始める。船は既に完全に出港していた。窓の外には暗い海が広がり、遠くに街の灯りが小さく見える。豪華な照明に照らされた廊下を進みながら、エデンは少しだけ不思議な感覚になっていた。平和だった。だが、その平和の裏に妙な緊張感もあった。怪盗ルノンブル。予告状。警備中の警察。それらが頭の片隅に残っている。

そんな時だった。前方から、ワゴンサービスがやってくる。白いクロスがかけられた大型ワゴン。その上には高級そうな皿やグラスが並べられていた。料理を盛り付ける途中なのだろう。

「うわ、すげぇな」

亜爆が思わず目を向ける。

「これ絶対高いやつだ」

ワゴンを押していた職員は軽く会釈し、そのまますれ違っていく。その瞬間。ドロイが僅かにワゴンへ視線を向けた。

「……?」

ほんの一瞬だけ、何か引っかかる。だが。

「どうしました?」

エデンが聞くと、ドロイはすぐ首を横に振った。

「いえ」

ドロイは気のせいかもしれない。そう判断し、そのまま歩き出す。やがて四人はパーティ会場へ到着した。扉が開いた瞬間、眩しい光と賑やかな音が広がる。

「おぉ……」

エデンは思わず声を漏らした。会場はかなり広い。シャンデリア。豪華な装飾。中央では楽団が静かな音楽を演奏している。そして何より、並んでいる料理の量が凄まじかった。高級肉料理。色鮮やかな海鮮。見たこともないデザート。

「これ全部食べ放題か?」

ジエルの目が少し輝く。

「いや最高だろここ」


亜爆は既に皿を持っていた。

「エデンさん、これ絶対うまいですよ」


「早ぇな!?」

ドロイはそんな三人を見ながら、小さく息を吐く。

「少しは落ち着いてください」

とは言いつつ、自分も飲み物を手に取っていた。しばらくの間。四人は久しぶりに、比較的平和な時間を過ごしていた。戦闘もない。任務もない。ただ食事をして話すだけ。それだけなのに、妙に新鮮だった。やがて。

「そろそろ戻るか?」

ジエルが言う。


「食べすぎた……」

亜爆が腹を押さえる。エデンも少し笑った。エデン達は会場から出て帰っていく。すると、奥から、大きな怒鳴り声が響く。


「盗まれた!!」


空気が変わる。周囲の客も一斉にそちらを見る。一人の男が顔を真っ赤にして叫んでいた。高級そうなスーツを着た、中年の男。

「私のお金が盗まれたんだ!!」

ざわめきが広がる。

「怪盗の仕業だ!!」

その言葉を聞いた瞬間。エデン達の表情が変わった。

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