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エデン  作者: ko-da
7章 クロウ島編

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クローズフェザー号

アモリス支部の教室へ入ると、既に三人が揃っていた。


「お、来たかエデン」


最初に声をかけてきたのはジエルだった。


椅子へ座りながら、足元に置いたバッグを軽く叩く。


「荷物の準備とかは出来たか?」


「もちろん」

エデンも肩に掛けたバッグを軽く持ち上げた。

「着換えを複数日分と、お金にスマホとか……他にも色々あるよ」

旅行用の荷物としては、それなりにしっかり準備したつもりだった。普段任務ばかりの生活をしているせいか、“旅行の荷造り”という行為自体が少し新鮮だった。

「私は財布だけ忘れないよう三回確認しました」

亜爆が真面目な顔で言う。

「それ絶対一回は忘れるタイプだろ」

ジエルが呆れる。そのやり取りを見ながら、ドロイが静かに立ち上がった。

「それじゃあ、行きましょうか」

落ち着いた声。四人はそのまま教室を出る。ECOアモリス支部を後にし、アモリス地区南部へ向かった。途中、公共バスへ乗り込む。窓の外では街並みが流れていく。高層ビル群を抜け、徐々に海沿いの景色へ変わっていく光景は、少しだけ旅行気分を感じさせた。数十分後。目的地へ到着する。ルノアー港。海風が吹き抜ける巨大な港だった。そして――そこに停泊している“それ”を見た瞬間、エデン達は思わず足を止めた。

「……でかい」

エデンが思わず漏らす。目の前には、巨大な豪華客船がそびえ立っていた。《クローズフェザー号》。白を基調とした巨大な船体。何階層にも分かれた構造。ガラス張りのデッキ。遠くから見ても圧倒されるほどの存在感だった。

「思ってたより五倍はでけぇな」

ジエルが目を丸くする。亜爆も思わず見上げていた。

「これもうホテルじゃないですか……」

港には多くの人が集まっている。だが、その乗客達の雰囲気は、エデン達とは明らかに違っていた。高級そうなスーツ。派手なアクセサリー。上品なドレス。一目見ただけで、“金持ち”だと分かるような人達ばかりだった。入口付近には黒服の受付係まで並んでいる。その空気に、エデンは少しだけ肩を縮めた。

「なんか場違い感すごいな……」

小声で呟く。ジエルは気にしていない様子だったが、エデンはこういう空気にあまり慣れていなかった。そんな中。ふと、人混みの向こうに見覚えのある姿を見つける。

「あれ……?」

エデンが目を細めた。

「アグレスさん?」

そこに立っていたのは、一人の女性警察官だった。引き締まった表情。整った制服姿。以前、死神事件で共に行動した警察官――アグレスだった。

「エデン君!」

アグレスも気付き、表情を明るくする。

「久しぶり!」


「本当に久しぶりですね」

エデンが少し笑う。ドロイもそれに気付き、軽く会釈した。

「お久しぶりです、アグレスさん」


「ドロイ君も元気そうだね」


ジエルと亜爆は状況が分からず、エデンを見る。

「誰?」


「前に一緒に事件捜査したことある人」

エデンが説明する。

「死神事件の時に」


「マジかよ……」

ジエルが少し驚く。ドロイは静かにアグレスへ尋ねた。

「ですが、どうしてここに?」


するとアグレスの表情が少し引き締まる。

「警備に当たってるんだよ」


その言葉に、エデン達の空気も変わった。

「警備?」


「うん」

アグレスは周囲を軽く見回す。港には警察関係者らしき人影もちらほら見えていた。

「ここに予告状が来たらしくてね……」


「予告状?」

ジエルとエデンの声が重なる。アグレスは小さく頷いた。

「最近話題になってるでしょ....怪盗がさ....」


どうやら今回の旅行は、ただの休暇では終わらないらしかった。

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