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エデン  作者: ko-da
7章 クロウ島編

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4人目

一日後。アモリス地区の街並みを、エデンはゆっくり歩いていた。ECOの簡易パトロール。危険度の高い任務ではなく、街の見回りに近い軽い仕事だった。昼下がりの街は比較的平和で、人通りも多い。商店街からは賑やかな声が聞こえ、子供達が走り回っている。そんな景色の中を歩きながら、エデンは別のことを考えていた。

「……あと一人か」

クロウ島への旅行。余っている最後のチケット。誰を誘うべきか、まだ決まっていない。せっかくなら全員楽しめる相手がいい、エデンはそう考えている。だが、ECOの知り合いで旅行へ来そうな人間は意外と少なかった。


「大山さんや時輪さんは忙しそうだし......」

「誰を誘おう....」

そんなことを考えていた時だった。前方に、見覚えのある人影が見える。

「あ」

エデンは足を止めた。

「ドロイさん」

相手もこちらへ気付く。


「おや」

落ち着いた声。ドロイ・アンドだった。

「久しぶりですね、エデンさん」


「久しぶりです」

エデンは軽く笑う。エリア・アスタロス任務以来だった。ドロイは相変わらず整った見た目をしていた。一見すると普通の人間にしか見えない。落ち着いた雰囲気に、知的そうな印象。機械体だと知らなければ、誰も気付かないだろう。エデンは少し気になって聞く。

「ドロイさん、なんでアモリス地区に?」


ドロイは淡々と答えた。

「俺の体をメンテナンスしてくれる人が、こっちにいるんですよ」

軽く自分の肩へ触れる。

「定期的に調整しないと、色々不具合が出るので」


「へぇ……」

エデンは少し感心する。外見からは全く分からないが、ドロイの身体はほとんど機械化されている。維持するだけでも大変なのだろう。するとエデンは、ふと思い出したように口を開いた。

「あ、そうだ」


「?」


「今度、クロウ島に旅行行くんですけど」

ドロイが僅かに目を向ける。

「チケット一枚余ってて。よかったら来ません?」

少しの沈黙。ドロイは特に迷う様子もなく答えた。

「いいですよ」

あっさり承諾した。

「ちょうど休みですから」


「本当ですか」

思ったより早く決まった。エデンは少し笑う。

「じゃあ、二日後にアモリス支部集合で」


「分かりました」

ドロイは静かに頷いた。

「では、その時に」

短いやり取りを終え、二人は別れる。

エデンは歩きながら、少し安心していた。これで全員揃った。久しぶりに、少しくらい平和な時間を過ごせるかもしれないと、そんなことを思っていた。


そして二日後。朝。寮の一室で、エデンは目を覚ました。窓から朝日が差し込んでいる。ぼんやりしたまま身体を起こし、軽く目を擦る。

「……眠」

小さく欠伸をした。しばらくぼーっとしたあと、近くのリモコンを取り、テレビを付ける。画面が光る。

『今日の天気は全国的に――』

朝の情報番組。キャスターが笑顔で天気予報を読み上げている。エデンはぼんやり見つめながら、チャンネルを変えた。別のニュース番組。また別の番組。だが、特に目新しい話題はない。事件も、大きな事故もない。平和だった。それが少しだけ心地いい。

「……よし」

エデンは立ち上がる。服を着替え、軽く身支度を整える。荷物を持ち、玄関へ向かった。そして、そのまま扉を開ける。

「行ってきます」

誰もいない部屋へ、なんとなく呟く。扉が閉まる。静かになった部屋。だが、テレビの電源はまだ消えていなかった。番組はそのまま続いている。


『――次は、最近巷で話題になっている怪盗についてです』

無人になった部屋で、テレビだけが静かに流れ続けていた。

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