第6話「反夢境戦線」
「(二人がかりか……)」
次の瞬間、ハゲートの足元が凍り、ハゲートの行動が制限される
「(氷!?)」
動けないハゲートに向かって龍炎が接近する
「ふっ」
ハゲートが不気味に微笑み右手をかざした瞬間、龍炎の進行方向に草木が生え茂り、龍炎の進行を妨害する。
「(なんだ…急に草が伸びて──!?)」
龍炎は右手に持っている槍で前方に生えてきた草木を切り裂くが、その先にいるはずのハゲートの姿は無かった
「消えた…?」
次の瞬間、木の上からハゲートが龍炎に向かって剣を振り下ろしながら落下してくる
「ぐっ!」
ハゲートの剣が当たる寸前で龍炎が槍を両手で持ち、攻撃を防ぎ、その衝撃で二人の距離が離れる
「やるねぇ、龍炎!」
次の瞬間、ハゲートの背後に夢見が回り込む
「はぁぁぁあ!」
夢見は氷で剣を作り出しハゲートに斬りかかり左肩を負傷させる
「うぐっ…!」
龍炎がハゲートに近づきながら話しかける
「さて……反夢境戦線の紅蓮に関する情報を吐いてもらおうか」
「っち!」
次の瞬間、再び地面から草木が生えてきて龍炎の夢見の視界を塞ぐ
龍炎が呟く
「くそっ…!」
夢見が氷の剣で草木を斬り裂く
「ハゲート、逃げるよ」
どこからか聞き覚えのない女の声が聞こえてくる
「助かったぜ……リュネシア!」
次の瞬間には翼の生えたリュネシアがハゲートを抱き抱え、空を飛び逃げようとしていた
「あの女はさっきの──!」
「さっき言っていた二人組の一人なんですか?!どこかに気配を隠して潜んでいたんでしょうか……龍炎さん、追いますか?!」
「いや、追わなくていい。奴らの目的は集落の偽霊たちとレイゼだ。早く集落に戻るぞ」
《◇》二人は集落の広場に戻ってきた
龍炎と夢見が集落でレイゼを探している
「レイゼ!レイゼ!くそ、何処にもいない……」
レイゼを探している二人を見かけた集落の偽霊が話しかけてくる
「レイゼ殿なら2、30分前からどこかに出掛けていますよ」
「どこに行ったか分かるか?」
「さぁ……ただ、しばらくは戻ってこれないだろうと仰っておりました」
「………なるほど、分かりました」
「どうしますか、龍炎さん?」
「行き先も分からないなら闇雲に動くよりも、ここで待っている方が良策だろう」
「後この集落の偽霊、全員に伝えてくれ。ここに危機が迫っているということを」
「危機…ですか?」
「あぁ、反夢境戦線と呼ばれる夢境や偽霊に対し敵意を向けている集団がここに目をつけたそうだ」
「それは真ですか…!?」
「あぁ、だから俺達はしばらくここで護衛をさせてもらいたい」
「なるほど、かしこまりした……。それでは私から集落の皆にその状況を伝えて来ますので、御二人はこちらでお待ちいただけますか?」
「えぇ、分かりました!」
龍炎が一息つき、右を向くとそこには泥遊びをする二人の子供の偽霊の姿があった
「(子供…か)」
// ──龍炎の回想 - 現在から15年前の夕日の沈む現実の病室にて── //
「炎……私はもう長くはない…だから、最後に聞きたいことはない?何でもいいので…あなたに後悔はさせたくないから──」
「母さん……分かったよ。でも少し哲学的質問になってしまうけど…構わない?」
「……ふっ、言ってごらん」
「力、権力や物理的な圧力のことを言っているんだけど、力は結局…自分自身をよりよい方向に導かせるものであって、周りの人達には何の影響も無い…なら、なぜ力は人々に平等に与えられないのだろう?」
「力が…平等に与えられない理由───そうね……」
「もし人々に力が平等に与えられていたとしたら、誰かに支配されることなく、自由に動く人が増えるでしょ?そしたら、社会は回ると思う?」
「……思わない………」
「そう、社会の歯車を回し続けるためには、そうなることは必然なの。でも炎、もしあなたが今後『力』を手に入れた時には…その力は自分の為ではなく、周りにいる自分よりも弱い人達の為に使いなさい」
「そんなことが……本当にできるの?父さんや姉さんが難病で苦しんでいたとき、誰が助けてくれた?医者も結局は見守ることしか出来なかった…!」
「炎、人にはできることに限界があるの。だからもしあなたが『力』の限界に突き当たったら…そのときは──」
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龍炎が赤い指輪を右手で握りしめる
「そのときは──これを…」
「龍炎さん、何ぼーとしてるんですか?」
「いや、何でもない…ただ、昔のことを思い出していただけだ」
「そう…ですか?」
《◇》反夢境戦線の本部
ここは戦線の幹部のみが入室を許されている部屋、主に会議や話し合いに使われ、部屋の中心にはドーナツ状の黒い机とそれを囲む様に4つの椅子が置かれている。床や壁、天井は全て黒に近い色で圧迫感を感じる。
「あら、やっと御出になさったのですね…『紅蓮』」
椅子に座った水色が混じった白髪で黒色のスーツを着た女性が紅蓮に話しかける
「今更お前が来たところで、結果は何も変わらない」
椅子に座った濃い緑色の灰色のインナーの短髪で黒っぽい服を着た男性が、紅蓮に話しかける
紅蓮が二人に向かって話しかける
「勝手に話を進めないでもらいたい、私の焔はいずれ、夢境全域を焦土に変えるでしょう。ハゲートは、私が使わせてもらいます」
緑色の髪の男性が話始める
「理由になっていないぞ紅蓮。ハゲートに眠る『あの力』……僕が使うにふさわしいだろう」
・『反夢境戦線の四大暁・移鳴』
「紅蓮、ハゲートの能力を考えても…最も適しているのは移鳴です。いくらあなたの持つ『焔』の力が強力でも」
・『反夢境戦線の四大暁・雷波』
「お二人さん、一回状況を整理しよう。このまま言い争っても何も解決しない」
「まず、ハゲートの能力は『繁茂。』周囲にある草木を生い茂らせる秘技です……そして移鳴、あなたの能力は『秘剣変幻』。周囲の無機物を剣や銃などの武器へと変える。この2つを組み合わせれば、資源の限られている夢境ではこれ以上ない抑止力となる──」
「ですが、進化をはっきするのは私の『焔』とぶつかったときです。壮大な残虐な焦土をもたらす事を約束しましょう」
「それなら、試してみましょうか。移鳴、あなたの意見は?」
「僕も異論はない、紅蓮がそこまで言うのなら……僕から言えることはないね」
「それでは御二人の了承も得たことですし、始めましょうか。夢境の破滅へのプレリュードを」




