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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
鎌倉ダンジョンとゴーレム

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182/204

第181話 オーガの集落での戦闘

鎌倉ダンジョンでジャイアントオーガの集落を見つけてから、三日。


岩井剛志たちは、無理に突っ込むことはせず、いったん距離を取った。

その三日を、剛志はほとんど“製造”に注ぎ込んでいた。


「……増えたなぁ」


開けた森の中。

漂う靄の向こうで、手のひらサイズのブロック状ゴーレムが、蜂の群れのように浮かんでいる。


コンポジットブロック――通称、Cゴーレム。

コアブロック、フレームブロック、シールドブロック、マジックブロック。

四種を組み合わせ、魔力結合で形を作り、イチロイドが統率することを前提にした新戦力だ。


『総数、三千体。予定通りです』


イチロイドの念話が、二人の頭に届く。


「三日でそこまで作れるの、剛志って感じだな」


臼杵健司が呆れ混じりに言いながら、浮かぶブロックの密度を見て目を細めた。


三千。

数字だけ聞けば軽いが、視界に収まる“物量”として見ると圧がある。

ただし、問題もあった。


『三千体の同時結合は、現状の処理能力では時間制限が発生します。最大十分が限界です』


「十分……短いけど、勝負を決めるには足りるかもって感じか」


剛志は頷いた。

時間制限があるからこそ、狙いは“短期決戦”になる。


今回は、三千体を一気に一体へ、ではない。

まずは百体単位で三十組。

戦場を分割して、集落全体を削り、最後に“切り札”を切る。

そんな運用になるだろう。


「よし。行こうか。三日分の成果、見せてやろう」


『了解。編成を展開します』


ブロックが波のように分かれ、隊列を組む。

百体一組の標準編成は、次の配分で固定した。


コアブロック×1

フレームブロック×45

シールドブロック×35

マジックブロック×19


コアが中枢、フレームが骨格、シールドが装甲、マジックが砲門。

どれが欠けても“形”が崩れる。


「こういうの見てると、ほんとロボットの組み立てみたいでワクワクするよな」


臼杵が言うと、剛志は肩をすくめた。


「ワクワクしてる場合じゃないけどね。今回は推奨レベル帯が全然違う」


三日前に見たオーガたち。

一般個体が推奨レベル300。

戦士が400。

そして――中心に潜む、推奨650のジャイアントレッドオーガ。


横浜第三ダンジョンの地下60階相当の圧が、群れで襲ってくる。

油断すれば、どれだけ物量があっても削られる。


元々剛志は地下60階層で十分戦えていたが、今回は敵がそもそも巨大だ。巨大だとリーチなども長い為、今回はかなりの強敵と言えるだろう。


ヘキサボードが低空を滑り、巨木の森を抜ける。

靄が薄くなった先に、平らで広い地形が現れ、巨大な柵が見えた。


柵の内側には、巨人サイズの粗末な家が点在している。

外周を巡回するオーガの影。

土煙を上げて戻ってくる戦士らしき集団。


数は多い。

そして、こちらの侵入に気づくのが早い。


「……来るぞ」


臼杵が短く言った瞬間、柵の外側にいた戦士のオーガが吠えた。

地面が揺れる。

十八メートル級の巨体が、槍や棍棒を掲げて駆けてくる。


『第一波、接触。各隊、迎撃開始』


イチロイドの指揮で、三十組のCゴーレムが一斉に形を取った。


百体が結合し、人型を作る。

ただし“密”ではない。

ブロック同士は物理で噛み合わず、魔力結合で引き寄せ合い、配置を保つ。

隙間はあるが、それが逆に可動域と変形の余地を作っていた。


戦場に並ぶ、小柄な“人型”が三十体。

身長は一メートル台――巨人の膝にも届かない。

だが、魔力の圧は軽くない。


最初の衝突は、圧倒ではなかった。


戦士オーガの棍棒が振り下ろされ、シールドブロック主体の腕が受ける。

衝撃で結合が一瞬だけ緩み、ブロックが散る。

だが散ったブロックは、爆ぜるように飛び、次の瞬間には別の位置に再接続していた。


「繋がりが弱いぶん、衝撃を“分散して逃がせる”Cゴーレムの本領発揮だね。これが弱点でもあり、強みでもある」


剛志は短く言って、視線を動かした。


別の隊では、マジックブロックが肩から背中にかけて展開し、砲門のように並ぶ。

一斉に魔導陣が浮かび、集団詠唱が走った。


火球が束になって飛び、オーガの群れを爆ぜさせる。

氷の槍が追い打ちし、足を止める。

魔法の密度が上がるほど、巨体は動きを鈍らせた。


しかし、戦士は伊達ではない。

燃えながらも踏み込み、槍でCゴーレムの胴体を貫こうとする。

フレームブロックの関節が軋み、接続がさらに緩む。


『接続負荷、上昇。分離回避推奨』


イチロイドの判断は速い。

その隊は即座に“分離”した。


胴体が解け、ブロックが蜂の群れのように散って、槍の軌道から外れる。

次の瞬間には別の角度で再結合し、今度は脚を太く、腕を細く、槍の内側へ潜り込む形に変形した。


「……変形で避けるとか、ほんとズルいよな」


臼杵がぼそっと言い、剛志は苦笑する。


「ズルいっていうか、“正解”だね。相手がデカすぎて、正面から受けると不利だから」


戦いは、一進一退。

オーガ側は数と力で押し、Cゴーレムは統率と変形で凌ぎ、削る。

“圧倒”とは言えないが、流れは少しずつ剛志側へ傾いていった。


理由は単純だ。

イチロイドの統率が、集団戦で強すぎる。


各隊は勝手に突っ込まない。

突出した個体がいれば、他の隊が射線を通し、挟撃に回る。

盾役は必要な時だけ密度を上げ、危険になれば散って被害を減らす。


オーガの戦士たちは強い。

だが、“連携”の質で押し負けていく。


「いいね……思ったより押せてる」


剛志が息を吐いた。


『はい。ただし、戦士個体は想定通り、損耗が発生しています。分離で回避できても、再結合時の魔力消費が増えています』


「結局短期決戦になるって事か。でも半数を越えたら、流れは決まるよ」


剛志の言葉通り、戦士が倒れ始めると、隊列が崩れた。

一般オーガが混じり、怒りで突っ込み、さらに被害が増える。

群れは大きいほど、崩れた瞬間に加速度がつく。


そのときだった。


集落の中心。

ひときわ大きな家――というより、砦のような建物の陰から、赤い影が出てきた。


二十メートル級。

肌の色が濃く、筋肉の厚みが別格。

目が、こちらを正確に捉えている。


ジャイアントレッドオーガ。


『推奨レベル、約六五〇相当。高危険個体、出現』


イチロイドの念話が一段低くなる。


「……ついに出てきたか」


臼杵が唾を飲む。

剛志は、目を細めた。


レッドオーガは走った。

巨体のくせに、速い。

一歩で距離を詰め、手にした巨大な棍棒を横薙ぎに振る。


三体のCゴーレムが、まとめて吹き飛んだ。

分離で逃げる暇がない。

衝撃波が、結合そのものを乱す。


「うわ、あいつ、やべえな……!」


臼杵が声を上げる。

剛志は即断した。


「イチロイド、切り札だ。三十組、収束!」


『了解。全隊、集合。十分の制限内で決着を狙います』


魔力の結合が、戦場全体で“方向”を変えた。

散って戦っていたブロックが、次々と空中へ浮き、一本の流れになって集まり始める。


オーガの戦士が、最後の抵抗で追う。

だが、遅い。

Cゴーレムは地上を走らない。

空中移動で、必要な速度だけ確保して移動する。


レッドオーガが吠え、追撃する。

次の一撃で、まとまる前に潰すつもりだ。


「間に合え……!」


剛志が歯を食いしばる。


ブロックが、渦を巻く。

コアが中心へ集まり、フレームが骨格を作り、シールドが外殻を敷き、マジックが砲門として並ぶ。

結合が加速し、ジャイアントたちには及ばないが巨人の“形”が立ち上がる。


問題は、間に合うかどうかだ。


レッドオーガの棍棒が、結合途中の“小さな巨人”に迫る。

空気が裂ける音がした。


その一撃が届く前に。


三千のブロックが、最後の隙間を埋めるように光を帯びた。

巨木の森の奥で、赤い巨人に対抗するための――小さな巨人が、立ち上がる。


「……よし」


剛志が小さく息を吐く。


『結合完了。残り、九分五十秒』


イチロイドの声が、冷静に告げた。


十分、その短い猶予の中で、剛志たちはこの集落の“本命”に挑むことになる。


レッドオーガが、獣のように笑った気がした。

そして、次の瞬間。


巨人と巨人が、真正面から今ぶつかる――



備考-


【ステータス】

名前:

種類:コンポジットブロック・ゴーレム(コア)

スキル:魔力結合・空中移動・負荷分散・制御中枢・魔力循環・即席フレーム

レベル:0

HP:1,800/1,800

MP:2,000/2,000

攻撃力:400

防御力:700

器用:1,300

速さ:600

魔法攻撃力:600

魔法防御力:900


【ステータス】

名前:

種類:コンポジットブロック・ゴーレム(フレーム)

スキル:魔力結合・空中移動・負荷分散・形状変更・高速駆動

レベル:0

HP:800/800

MP:700/700

攻撃力:400

防御力:500

器用:1,300

速さ:900

魔法攻撃力:300

魔法防御力:400


【ステータス】

名前:

種類:コンポジットブロック・ゴーレム(シールド)

スキル:魔力結合・空中移動・負荷分散・硬化・衝撃吸収

レベル:0

HP:2,500/2,500

MP:600/600

攻撃力:300

防御力:1,600

器用:700

速さ:400

魔法攻撃力:100

魔法防御力:1,000


【ステータス】

名前:

種類:コンポジットブロック・ゴーレム(マジック)

スキル:魔力結合・空中移動・負荷分散・多重詠唱・魔力増幅・魔導陣形成

レベル:0

HP:700/700

MP:2,200/2,200

攻撃力:200

防御力:400

器用:1,000

速さ:500

魔法攻撃力:1,600

魔法防御力:900


【ステータス】

名前:

種類:コンポジットブロック・ゴーレム(100体合体)

スキル:魔力結合・空中移動・負荷分散・制御中枢・形状変更・多重詠唱

レベル:0

HP:31,350/31,350

MP:17,400/17,400

攻撃力:9,250

防御力:20,250

器用:29,750

速さ:19,000

魔法攻撃力:10,250

魔法防御力:19,875

編成:コア1/フレーム45/シールド35/マジック19



【ステータス】

名前:

種類:コンポジットブロック・ゴーレム(3000体合体)

スキル:魔力結合・空中移動・負荷分散・制御中枢・形状変更・多重詠唱・魔導陣形成

レベル:0

HP:940,500/940,500

MP:522,000/522,000

攻撃力:277,500

防御力:607,500

器用:892,500

速さ:570,000

魔法攻撃力:307,500

魔法防御力:596,250

編成:コア30/フレーム1350/シールド1050/マジック570

制限:結合維持は現状最大10分

本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

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