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流されて帝国  作者: ギョラニスト
217/221

217話


 ドレナバルの兵士達の士気が一気に湧き立った。


 先程までボロボロな状態でいたのに、生き生きと荷物を青龍様の背中に乗せている。


「せ、青龍様!ちょっとお待ちください!」


 オーナー将軍が声を上げると、一暼して無視をする青龍様


「わ、我が国では番様を最高級におもてなしをすると約束いたします!暖かで豪奢な部屋に美味しい食事、最高級のお召し物、他にも要望があれば何でもご用意いたします!!」


 ……ぷっぷちゃん裸よね。何も食べないし…


 青龍様は何と答えるかしら?


「フン…ぷっぷがそんな物を所望するとでも?」


「も、もちろん存じております。今のはモノの例えでありまして、我々は貴方様のご所望も全て叶えられる完全個室をご用意いたします!」


 なっ!?


 ピクリと青龍様の髭が動き、荷物を乗せている途中なのにしっぽがバタンバタンと振れ出した。


 ま、まずいわ!青龍様が絆されてしまう!


「…ゴホン。我はどちらでも良いが、ぷっぷはそこの小娘と離れる気はないらしい。そこの所はどうする?」


「勿論ナディア様は番様が大切に飼われている大事な方ですから我が国で丁重にもてなしますとも」


 ギラリとオーナー将軍の目が私を捉えた。私が飼われているですって!?冗談ではない!


「フム…よくわかっておるようだ。小娘、どうする?」


「どうするも何も行く訳ないじゃないですか!」


 私はキッパリと言い切った


「何故?」


 何故って敵国になんて行く訳ない!そもそも私が飼われているって何事!?そんなの…


 あら?…丁重にもてなされる?それは牢屋ではなく至れり尽くせりな部屋で、食事も豪華絢爛で身に着ける宝飾品も最高級……


 でもそこにはエアリーやグレタ、アイラさんコニーさんはいなくて。


 ほんの一瞬気持ちが揺れた瞬間大きな手が私の腰を抱き寄せた


「ふざけるな!!このナディアは俺の婚約者でいずれドレナバルの皇太子妃、ゆくゆくは皇后になるんだ!」


「ディラン殿下…」


 どうしましょう…胸がドキドキする。本当はまだ決まっていないのに熱烈な告白に胸の高鳴りが抑えられない


「俺の朝の目覚めにナディアはなくてはならない!」


 うん?


「現に朝ナディアに起こされると気分が良いし、体調も良い!スッキリさっぱりだ!」


 なっ!?


「あらまぁ」


 コニーさんの呟きと共にざわめきが私達を中心に広がっていく


「でででで殿下!?」


 それでは私達が共寝をした事になってしまうではないの!あんな透明の膜に包まれ、出るに出られずに朝を迎えただけなのに


「そうは仰っても、隣にいるナディア様は拳を固め震えているじゃないですか。お可哀想に…そんなデリカシーのない男など捨ててマッサーラで新たに人生やり直すのはどうですか?」


 言っている事は優しそうに正論を言っている風だけれども、目も顔も嘲笑っている…腹立たしい


「参りませんわ。私はドレナバルで成し得たい事がございますの!」


温泉温泉温泉!


 でもぷっぷちゃんはもしかしたらマッサーラにいた方が幸せかもしれない…


「ぷっぷちゃんどうする?私と一緒でいい?」


「ぷ〜ぷっぷぷっ〜ぷ」


 しっぽをブンブン振ってキラキラした目で私を見つめるぷっぷちゃん。


 少し長めの言葉だけど、これは私と一緒いたいっててことで良いのよね?チラリと青龍様を見ると何故か目を大きく見開き口が開いて間抜けな顔をしている。


 え?何?ぷっぷちゃん一体何を言ったの?


 ドシン 


 青龍様は荷物を積みやすように屈んでいたけれど、さらに蹲り顔を隠してしまった


「ぷっぷちゃん?一体何と答えたの?青龍様落ち込んでしまったわよ?」


「ぷ〜ぷっ…ぷぷ〜ぷぷ」


 ダメだわ…ちっとも分からない


「せ、青龍様?あの…ぷっぷちゃんは何と…?」


「………言いたくない」


 えええ 


 周りの皆んなもこのまま荷物を積んでも良いのかと責める様に私を見る。


「青龍様?このまま荷物を積んでしまいますよ〜?」

「……」

 

 無視された


「青龍様〜?」

「……」


一体どうしたら…


「何か揉めているようですな。青龍様、貴方様だけでもこちらにいらっしゃいませんか?」


 追い討ちをかけるようオーナー将軍が言うと青龍様はユラリと首を上げ


「お前があんな事を言うから…」


 青龍様!?まさか…


「ぷっぷが我の事を裏切り者呼ばわりしたんだぞ!!」


 叫ぶと同時に崖の上に向かって火を吹いた


「ウワー!!」


 沢山の悲鳴が上がり唖然としていると


「早く荷物を載せろ!ドレナバルへとっとと行くぞ」


 え?青龍様八つ当たり?


 兵士達はバタバタと荷物を積み込みだした。よくわからないけれど、ぷっぷちゃんそんな事言っちゃったの?


 皆んながバタバタと動き回る中


「なぁナディア、俺はデリカシー無いのか?」


 はい?


「あの、今そのような話しをしている場合では…」


「はぁ…否定しないんだな…」


 目に見えて落ち込んでしまった殿下…方や早く荷物を載せろと怒る青龍様…


 え〜男(の人?)って面倒臭い



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