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流されて帝国  作者: ギョラニスト
216/221

216話


 もうね、色々な名前が出てきて覚えられないのよ。これ以上新しい人物の登場は勘弁してほしい。


 チラリとコーデリアさんを見ると嫌そうな顔を隠そうともしないで睨みつけている


「かの御方はアリアステ様の代弁者!この大陸の創造主アリアステ様のお言葉を伝える者であるぞ!」


 え?そうなの?青龍様もご存知なのか聞いてみようかと思い口を開きかけた時、頭上からただならぬ冷気が漂ってきた。


「せせせ、青龍様?寒い、寒いです!」


「ぷ〜」


 ピタリと冷気が止まり


「む、ぷっぷよ、すまなかった。ウッカリ冷気を漏らしてしまった」


 ちょっと!ぷっぷちゃんにだけ謝っていないで私にも一言くらい詫びなさいよ!


「人間の世界はいつだって愚か者が出てくるもの…全くもって情け無い」


 特大のため息と共に青龍様が呟いた。


 あら?今の言葉だとオーナー将軍の言うアリーネ大聖女の話しは嘘かしら?周りの皆んなもこっそり青龍様の言葉を聞いていた様で頷き合っている。


「そんな馬鹿な話は聞いた事ない!この大陸はアリアステ様が唯一の創造神。それを正しく伝えているのはお前らが信じているアリアステ教皇公国が迫害したオルスト神聖国の者達だ!」


 殿下が叫ぶと


「殿下…」


 コーデリアさんが涙目になり何度も頷いた


「これだから無知の国は…もう何百年も前からアリアステ教皇公国では何人もの代弁者が生まれているのに、お前らは知ろうともしない!オルスト神聖国はとうの昔にアリアステ様から見捨てられた者達の集まりなのに!」


 何て酷い事を!コーデリアさんは肩を震わせ俯いている。私は駆け寄り背の小さなコーデリアさんの肩を抱き


「あんなのはでまかせです。気に病む必要なん…」


「…けんな…」


「コーデリアさん?だ、大丈夫ですか?」


 肩の震えがピタリと止まり、コーデリアさんはスゥーっと大きく息を吸い込んだ


「ふざけんな!!テメェらのけーあいしてるアリアステ教皇公国がアタシらにした事何も知らねーくせに偉っそうに御託ならべてんじゃねーよ!!」


 ヒィィ…コーデリアさん?


「さんざっぱらオルストのいる所いる所つけ回して悪事なすりつけといて、さ〜も善人面して助けるとかどこの悪の手先だよ!代弁者だぁ!?笑わせんな!アリアステ様に代弁者なんて必要ない!あの御方は不言実行!行動あるのみ!万が一言いたい事があれば自分でハッキリクッキリ仰るわーー!!


 フーフーと肩で息をしながら一気に叫んだ。


 この人本当にコーデリアさんかしら?恐る恐る肩から手を離し後退りしていると


「あの御方は無駄な悪口なんか言わない!だからこうして聖獣の卵を生む存在とその番の使徒様が私らの近くに現れて巡り合わせせくれたのもわからないのか!?」


 待って!こちらに話しを振らないで!私は頭上から青龍様を取り外し地面に置き、その横にぷっぷちゃんを並べ逃げようと画策した瞬間ガッと腕を掴まれ


「そもそも代弁者なる者がいるとしたら、このナディア嬢以外にはありえない!!」


 ウオオォー 


 コーデリアさんも皆んなもやめてー!!巻き込まれる所か先頭に立たされた!どうしよう…どうしましょう…


「わ、私ではないわ!!だ、だ、代弁者がいるとすれば、それはラッサ将軍しかありえませんわ!」


 ラッサ将軍ごめんなさい。売るつもりはないのです。


 でも私よりぷっぷちゃんの通訳が上手いのは間違いなくラッサ将軍。彼を置いて代弁者だなんて!周りの皆んなもそう言えばと妙に納得し始めた頃


「ラッサ…将軍?」


 頭上から特大の冷気が漂ってきた


「青龍様?」


「将軍と言うからには、よもや男ではあるまいな?」


 ヒェ…もしかして青龍様やきもちを?


「え、ええ。男性ですけれど年齢も私より20才近く年上ですし、男女のどうとかではなくてですね…」


 どうしましょう。このままではラッサ将軍に命の危機が…何とか上手い事言わなけば


「我は1000才近く年上ぞ」


 そんな…単位が違うなんて


「ととと、年上が好きかもしれないですね、ぷっぷちゃん。青龍様う〜んと年上ですし」


 う、上手いわ。私天才かもしれない!


「……よし。相分かった。今すぐドレナバルに行く」


 青龍様はそう言うなり私の頭から飛び立ち少し離れた所に降り立と 


 ズズズズ 


 みるみる内に最初に会った時の大きさになった


「ぷっぷ、こちらに来るがいい」


「ぷぷっぷぷ」


「…なら仕方あるまい。特別に小娘が乗る事を許可しよう」


 何となく理解した。今きっとぷっぷちゃんは私が一緒でなければ行かないとでも言ったに違いないわ。


 ならば


「青龍様、私1人で乗る訳には参りません。皆んな一緒でないと…でも、ぷっぷちゃんとも離れたくない!」


 ぷっぷちゃんのしっぽをギュッと抱きしめる。


「ぷぷ」


 素直なぷっぷちゃんは私の顔を心配そうに覗き込む。どう?青龍様絆されてくれないかしら?


「…小娘…お主やるな…」


 青龍様はそう呟くと更に大きくなり


「全員乗るが良い馬や馬車も」


 やった!これでドレナバルに一気に帰る事ができる!

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