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AIOライト  作者: 栗木下
7章:マイホーム

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399/621

399:72-9

本日は二話更新になります。

こちらは一話目です。

【AIOライト 72日目 07:52 (5/6・雨) 始まりの街・ヒタイ-ヘスペリデス】


「それでは、皆様いってらっしゃいませー」

「おう」

「はい」

 朝食後、俺たちはラードーンに見送られて、ヘスペリデスからヒタイへと移動する。


「で、ゾッタ兄は今日はどうするの?」

「今日はそうだな……」

 さて、予定では遠征は明日の朝、ケイカの入口に集合。

 そこから北上して次の街を探すと言うのが遠征の内容である。

 なので今日は一日準備に当てられるわけだが……


「ケイカ北坑道に行って銀鉱石でも集めてくるか」

「目的は投擲武器の量産ですか?」

「そう言う事だな」

 リジェネミスリルクリスを量産するためにも素材となる銀鉱石を集めてくる。

 これが遠征を考えたら一番いい行動だろう。

 食料についてはラードーンの整備も入るし、もう数日もすればヘスペリデス内で回収する事も可能になるだろうしな。


「そっか、気を付けてね。師匠、シア、ネクタール」

「分かったわ。じゃ、明日の朝に合流しましょう」

「ギニョールとシュヴァリエも気を付けて」

「おう、また明日な」

 と言うわけで、俺たちはグランギニョルたちと別れて、転移装置でドウの地、ケイカへと移動。

 そのままケイカ北坑道へと向かった。



----------



【AIOライト 72日目 10:03 (5/6・雨) ケイカ北坑道】


「さて、時間もないし、とっとと回収できるものだけ回収していくか」

「えーと、灯りはどうするんですか?マスター」

「ん?ああ、そう言えばまだ話してなかったか」

 ケイカ北坑道の入り口に辿り着いた俺は早速坑道内に入ろうとする。

 が、その前にシアから止められてしまった。

 そしてそこで、ニフテリザの存在をまだ話していなかった事に俺は気づく。


「ネクタール。ニフテリザを」

「ーーー」

 俺の言葉に応じる形で、ネクタールがインベントリからニフテリザを取り出そうとする。

 するとネクタールの表面の一部が波打った後、黒いカンテラに入れられた灯りがゆっくりと出て来て、俺たちの周囲をゆっくりと飛行し始める。


「マスター、これは……」

「ニフテリザ。今朝、ラードーンと一緒に作ってな。ネクタールに持たせておいた」

「レア度は……考えるまでもないですよね。すみません」

「まあ、シアの考えている通りだな」

 ニフテリザはアイテムの詳細に書かれている通り、俺たちの邪魔にならないように飛んでくれている。

 動きを阻害しそうな黄金の鎖についても、どうやらネクタール側の位置が固定されていないために、押したら押しただけ動いて、問題にはならないようだった。

 これなら激しい戦闘中でも気にする事はないだろう。


「じゃ、坑道の中に入るぞ」

「分かりました。マスター」

 そうして俺たちはケイカ北坑道の中へと入っていった。



----------



【AIOライト 72日目 13:05 (5/6・雨) ケイカ北坑道】


 昼食を挟みつつ探索すること三時間。

 ケイカ北坑道は今日もミスリルによる戦力向上を目指すプレイヤーの数が多いおかげでモンスターの数が少なく、俺たちはスムーズに探索をして、普通の銀鉱石を集めることが出来ていた。


「マスター」

「そうだな、どっちかが居るようだ」

 と、ここで周囲に居るモンスターあるいはプレイヤーに反応して、ニフテリザの光量が僅かにだが上昇する。

 なので俺たちはその場で動きを止め、何が来てもいいように心構えを付けておく。


「お?プレイヤーがい……ゾッタぁ!?」

「うおっ!?『狂い斧』!?」

「フアアァァァァ!?」

「「「……」」」

 暗闇の向こうから姿を現したのはプレイヤー六人のPT。

 彼らは何故か俺の姿を見ると同時に奇妙な叫び声を上げた。

 まったく、失礼な連中である。


「ど、どうして此処に……」

「どうしてって普通に素材集めだが?」

 まあ、この程度の事で一々イラつく意味はない。

 どうしてかケイカ北坑道内で会ったプレイヤーの大半から似たような反応をされているからな。


「そ、そうか。そうだよな。ゾッタだって……」

「一つ提案があるんだがいいか?」

「な、何でしょうか!?」

 それよりも話を進めるとしよう。


「こちらには普通の魔銀鉱石が一つあるんだが、そちらの普通の銀鉱石幾つかと交換してもらえないか?」

「へ?」

 俺はPTのリーダーっぽさそうなプレイヤーにトレード画面を提示する。

 なお、こちらが提示している普通の魔銀鉱石は採取ポイントから採取した天然物の魔銀鉱石であり、俺が普通の銀鉱石に魔力を注ぎ込んで作った物ではない。


「えーと、まあ、ちょっと待ってくれ」

 プレイヤーたちは俺に背を向けて相談を始める。

 なお、彼らの装備は殆どが鉄製で、見た感じでは最前線組の一つ手前、結界石を手に入れるために装備を整えている段階と言った様子である。

 これならば魔銀鉱石は一つでも欲しいと思うのだが……。


「分かった。銀鉱石10個でどうだ?」

「問題ない」

 うん、無事に交渉成立。

 普通の魔銀鉱石1個が、普通の銀鉱石10個になった。

 ちなみに、この1:10というトレードは、だいたい平均値ぐらいのトレードである。


「しかしその……いいのか?銀鉱石より魔銀鉱石の方が確実に有用だと思うんだが……」

「ん?ああ、それなら問題はない。俺は自家製を作れるからな」

「自家製?」

 で、目の前のプレイヤーの疑問を払拭するべく、俺はインベントリから取り出した銀鉱石を左手で握りしめて魔力を注ぎ込み、魔銀鉱石に変化させてみせる。


「「「……」」」

「普通のミスリルとは性能が違うから、代用品にはならないと言っておくぞ。で、そっちに渡したのは普通のミスリルだ」

「お、おう……」

 俺の行動に目の前のプレイヤーたちは唖然としているが、これもまあ、だいたいいつも通りの反応だ。

 中には妙な言いがかりをつけてくる連中もいるが、そう言う連中も自家製ミスリル製のリジェネミスリルクリスを見せると揃って退いてくれる。

 なんでも、『ごめんなさい、普通のミスリルの方がいいです』だそうだ。


「トレード感謝する。気を付けて探索をしてくれ」

「お、おうー」

 そうして無事にトレードは終わり、俺たちは探索を再開。

 その後錬金術師(アルケミスト)ギルド・ケイカ支部でも同じようにトレードを行い、最終的には200個以上の銀鉱石を手に入れる大収穫となった。

 うん、これならばインゴットにして100個、リジェネミスリルクリスにして500本、およそ5スタック分になる。

 これだけあれば、今回の遠征中に投擲武器が尽きることはないだろう。

 そして俺たちは錬金と休息の為にヘスペリデスへと移動した。

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