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本日は二話更新になります。
こちらは一話目です。
「さて、ネクタール。早速始めるぞ」
「ーーー……」
俺の呼びかけに応じる形で、ネクタールは溜め息を思わせるような色合いになりつつも自分の身体を広げ、ミデンがシアの目に触れないようにするためのドームを造り上げる。
そしてネクタールによるドームが出来上がったところで、俺は魔力を放出。
ドーム内を俺の魔力で満たす。
「すぅ……はぁ……よし」
そうして一度深呼吸をしてからミデンをインベントリから取り出し、ドームの中心に置く。
さあ、此処からが勝負である。
「まずは攻め手のメインからだな」
俺は表示されたメニューから、これまでの道中でオトガリザードマンとオトガスライサーから集めた壊れた装備品シリーズを適当に選択。
そして製作するものとして投擲物を選ぶ。
「ぐっ……」
魔力をミデンが望むままに吸わせる。
『t35t t3%T toShiNha g0oDnOyo-dA』
「……」
そしてHPバーを消費しつつ、文字を打ち込んでいく。
するとやはり反応らしい反応もないままに錬金は進んでいき、やがてミデンの中から一つのアイテムが現れる。
△△△△△
バーサークチャクラム
レア度:3
種別:道具-投擲
攻撃力:300
耐久度:100/100
特性:バーサーク(猛り狂う者に祝福を)
カース(傷つけたものを傷つけ返す)
輪っかの外側に刃を付けた投擲用の武器。
取り扱いには注意が必要。
※同名・同レア度・同攻撃力・同特性ならば、99本まで一枠で所有可能。
※使い捨て
▽▽▽▽▽
「よし、まずは一つ」
「ーーー……」
「何を安心している。インベントリの中に在る壊れた装備品をこれから全部チャクラムにするんだぞ。気合を入れろ」
「!?」
出来上がったアイテムの名前はバーサークチャクラム、数は10枚。
攻撃力は心もとないが、今の俺に必要なのはリジェネミスリルクリス以外の遠隔攻撃手段であり、足りない攻撃力は数で補えば問題ない。
と言うわけで、俺は何故か気を抜いているネクタールに気合を入れ直させると、インベントリ内にある壊れた装備品を種別を問わず、全てチャクラムに錬金していく。
「ーーー」
「ん?ああ、スタックは出来ないし、その必要もない。そもそもヒタイに帰ったら売り払うつもりだしな」
なお、錬金したチャクラムの名称はリジェネチャクラム、カースチャクラム、バーサークチャクラム、ハイドチャクラムと分かれている上に、もう一つの特性もバラバラであったため、同時に錬金したもの以外とは一緒にする事は出来なかった。
まあ、アイテムの詳細通りかつ、予定通りの結果なので何も問題はないが。
「これでよし、と。じゃあ次だな」
「ーーー……」
そうしてチャクラムを一通り作り終ったところで、次に俺はオトガリザードマンの鱗とオトガナッツの殻を組み合わせることで薬を作っていく。
勿論、製作後の薬の効果を思い浮かべつつだ。
『aLeha wAr3w0 3na1koTowo elAnDa』
「さて……」
ミデンを使った錬金……HPバーを消費する錬金についても、同じ事を繰り返す事で、だいぶその感覚に慣れてきた。
御せているのかと言われれば微妙な所だが、最初の頃に比べればだいぶマシな感じだ。
で、錬金の結果として出来上がったのがこれである。
△△△△△
オトガリザードマンパウダー
レア度:3
種別:道具-薬
耐久度:100/100
特性:オトガ(自動的に攻撃を防ぐ)
オトガリザードマンの鱗とオトガナッツの殻を一緒にして、粉末状にしたもの。
使用者の防御力を高める働きを持つとされる。
服用、あるいは塗布することによって効果を発揮する。
※使い捨て
▽▽▽▽▽
「よし、いい感じだな」
出来上がったアイテムの名前はオトガリザードマンパウダー。
オトガリザードマンとオトガナッツがやっていたように、被弾に合わせて瞬間的に防御力を高める効果を持つ薬である。
これを利用すれば、状態異常:パニックにかかって防御を失敗したとしても、『防御する幻惑蟲の王』の直接攻撃によるダメージはだいぶ抑えられるだろう。
「さて、これで錬金は完了だな」
錬金するべき物を錬金した所で、俺はミデンをインベントリの奥深くに封印する。
そして、入念に安全を確認してから、ネクタールのサイズを戻す。
「お疲れ様です。マスター、ネクタール。上手くいきましたか?」
「問題なしだ。これで『防御する幻惑蟲の王』との戦いの勝率は多少上がるはずだ」
ネクタールのサイズが元に戻ったところで、シアが声をかけてくる。
その表情は微妙に不安そうな物だ。
まあ、中で何をやっているかシアには分からないし、俺のHPバーが減っていくのは見えていただろうから、『防御する幻惑蟲の王』の件抜きでも不安になるのは当然か。
「多少……ですか」
「多少で問題ない。元々、相手の方が格上だし、勝負に絶対なんてものは無いんだからな」
だからこそ俺は笑う事にする。
マスターである俺が、タンクである俺が不安になってしまっていたら、勝てる戦いにだって勝てないのだから。
不安などこの場で表に出しても意味がないのだから。
それならば笑って、シアたちを安心させた方が遥かにマシと言う物である。
「さ、今日はそろそろ寝るぞ。明日は朝からボス戦だ」
「はい、マスター」
そして俺たちは明日に備えて、普段より少し早目に眠り始めた。
なお、限界値を超えて回復しそうになった魔力については、勿体無いのでインベントリ内のチャクラムに流す事にした。
これで多少は性能も良くなることだろう。




