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【AIOライト 69日目 18:02 (2/6・晴れ) 『防御する天空の農場』】
「すぅ……はぁ……」
「ふぅ……はぁ……」
「ーーー……ーーー……」
時刻が18:00を過ぎて、日が暮れる。
その頃には俺のHPバーもシアのMPバーも回復し、呼吸も整って来ていた。
「マスター。どうしましょうか?」
「とりあえず今日戦うのは無し。攻略は明日だ」
「それは分かってます」
「で、飯にしよう。食べるものを食べないと、頭も動かない」
「そう……ですね」
俺は携帯錬金炉を取り出すと、シアに適当なパイを作ってもらい、満腹度を回復。
それと同時にパイから感じる甘味によって、頭の回転を幾らか取り戻す。
勿論、この糖分は現実の脳には行き渡っていないが、甘い物を摂ったという気持ちだけでもだいぶ違う物である。
「さて、『防御する幻惑蟲の王』について話し合うか」
「分かりました。マスター」
「ーーー!」
そして、気分も含めて落ち着いて来たところで、俺たちは白い靄の先に居る『防御する幻惑蟲の王』をどう攻略するかを考えることにした。
「まず第一にだ。俺は『防御する幻惑蟲の王』の元の種族……つまりは通常版のモンスターについて全く知らない」
「それは掲示板も含めて、という事ですか?」
「そうだ。つまり今回の相手は、全く未知の相手になる。レア度:3のボスであること含めてな」
「なるほど」
まず『防御する幻惑蟲の王』の種族についてだが、名付けるならばハルキゲニア種となるだろう。
だがハルキゲニアと言う名前のモンスターを掲示板で見かけた事は無かった。
あの特徴的な姿を考えれば、見過ごしているという事もないだろう。
つまり、ハルキゲニアは極端に出現率の低いレアモンスターの一種であり……レアさに相応しいだけの戦闘能力を持ったモンスターであると考えていい。
それこそヒュドラ種やドラゴン種と並べて考えてもいいぐらいかもしれない程に。
「だが、少しとは言えやり合ったおかげで最低限の情報は見えているからな。悲観するほどじゃない」
「はい」
『防御する幻惑蟲の王』の容姿についてはさて置くとして、戦闘能力について考えてみよう。
まず主要な攻撃方法は三つ、長い首を使った噛み付き、脚に付いている鉤爪を使った引っ掻き、そして強力無比かつ回避不可能と言い切ってもいい速さの雷撃だ。
このうち噛み付きと引っ掻きについては、きちんと防げば俺の防御力と回復力なら耐えられる。
雷撃についても、『防御する幻惑蟲の王』と俺との距離が空くまで積極的に使って来なかった辺り、接近戦を挑むならほとんど使われる事はないのではないかと思うし、連打されなければ耐えることも可能と見ていいだろう。
加えて『防御する幻惑蟲の王』のHPと防御力は、ボスとして考えるならばかなり低い部類に入る。
つまり、単純なダメージレースについては何とかなる範疇と言う事だ。
これは相手がレア度:3の自動生成ダンジョンのボスと言う事を考えれば、かなり嬉しい話である。
「となるとやはり問題は状態異常:パニック、ですか」
「そうだな。アレについてはかなり問題だ」
問題は発生原因がまるで分からない状態異常:パニック。
シアに確認したところ、やはりシアは攻撃を受けていない。
それどころか碌に注意も向けられていなかったらしい。
にも関わらず状態異常が発生したとなると……
「うーん、常駐型とでも言えばいいのかフィールド型とでも言えばいいのか……とにかく『防御する幻惑蟲の王』と同じ空間に居るだけで状態異常:パニックが発生する、という事なのかもな」
『防御する幻惑蟲の王』のパッシブスキル、自動発動している何かによる状態異常と言うのが正解だろう。
「それ、かなり厄介じゃありませんか?」
「かなり厄介だ。まあ、他にモンスターが居ないのが幸いだな。こんな能力のボスに取り巻きが居たら、手が付けられない」
「それは……まあ、そうですね」
「それと、状態異常:パニック自体は自分から何か行動を起こそうとしない限りは、特に何も影響が出ない状態異常だからな。状態異常:パニックが発動している間、何もしないか、自分を対象とした行動だけ取っていれば誤射も防げるはずだ」
「えと、それについては……すみませんでした。マスター」
「いや、アレは仕方がないだろ。気にしていないから大丈夫だ」
こうなるともう状態異常:パニックを防ぐこと自体は諦めた方がいい。
幸いにして俺、シア、ネクタールは回復力が高い。
状態異常:パニックになっても、数秒間だけ積極的な行動を控えれば、状況を悪化させる事なく治す事が出来るだろう。
「後の問題は特性:オトガの影響だな」
「マスターが斧で切りつけた後の反撃として撃ってきた雷。たぶんアレがそうですよね」
「そうだな。たぶんアレが『防御する幻惑蟲の王』の自動防御反応だと思う」
『防御する幻惑蟲の王』の特性:オトガの影響はこちらの攻撃に対して行われる雷撃のカウンター、それでほぼ間違いないだろう。
アレはダメージもそれなりにあったが、それ以上に被ダメージ後の硬直が厳しい攻撃だった。
「アレの対策はどうしますか?」
「んー、『防御する幻惑蟲の王』の反撃がどういうシステムに依っているかだが……条件次第じゃ、反撃を受ける頻度は大きく下げられると思う」
「でも防ぐ事は出来ない、と」
「そうだな。反撃を受けたら、その後に一度くらいは攻撃を受けるのを覚悟するべきだと思う」
一応、アレの対策については幾つか思いついている。
素材も此処までの探索でそれなりに集まっているので、『防御する幻惑蟲の王』を倒す分くらいは何とかなるだろう。
で、その事について話した上でこれも言っておく。
「まあ、そう言うわけだから、シアが『防御する幻惑蟲の王』に攻撃するのは無しな。シアが傷つくのが嫌ってのもあるが、シアが動けなくなったら完全に詰む」
「分かりました。何があっても攻撃は控えるようにします」
今回は完全に役割を分け、俺がタンクとアタッカーをし、シアにはヒーラーとバッファーに専念してもらう。
これは状態異常:パニック対策としても有効だろう。
「さて、それじゃあ必要な物を作り始めますかね」
「頑張ってくださいね。マスター」
「おう」
そして俺は『防御する幻惑蟲の王』攻略の為に必要なアイテムを作り始めることにした。
05/20誤字訂正




