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【AIOライト 68日目 07:22 (1/6・晴れ) 『防御する天空の農場』】
「さて、第三階層だな」
「ですね」
翌朝。
俺たちは第三階層に降りた。
『防御する天空の農場』は全五階層で、第五階層はボスだけだと思われるので、これで道程については半分消化したと考えていいだろう。
「マスター。分かっていると思いますが……」
「分かってる。今日はもう新月じゃないからな。見つかれば戦闘だ」
尤も、此処から先の探索は昨日までの探索よりも厳しいものになるだろう。
新月でないから敵が普通に襲い掛かってくるというのもそうだが、今までの自動生成ダンジョンの傾向からして、深い階層ほど敵も罠も構造も厄介になっていくからだ。
「とりあえず戦闘については周囲に他の敵が居ない場合に限定するつもりで行くぞ」
「分かりました」
「ーーー」
だから俺たちは第二階層に続く階段がある農機具小屋から出ようとする時点から、十分な警戒を以って外に出た。
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【AIOライト 68日目 10:42 (1/6・晴れ) 『防御する天空の農場』】
「やっぱり敵が厄介ですね」
「そうだな。新顔こそ居ないが、確実に厄介になってる」
探索開始から約三時間。
俺たちは三回ほど戦闘をこなしつつ、探索を進めていた。
戦闘の内容としては、オトガスライサー、オトガナッツ、オトガリザードマンの混成部隊を、俺がヘイトを集めた上で弱い順から確実に片付けていくと言う手法を取っているおかげで、そこまで苦戦はしていない。
が、オトガリザードマンの背後にオトガナッツが隠れていたり、オトガスライサーが嫌な所で警戒と牽制を要求してきたりと、敵の厄介さは確実に上がっていた。
「む……」
「採取ポイントですけど……」
と、ここで俺たちの視界に採取ポイントの光が入ってくる。
その採取ポイントは地面から生えた一輪の花の先端に付いている。
周囲には大きな岩は在っても、敵モンスターの影はない。
今ならば、何の心配もなく採取が出来るだろう。
「どっちですか?」
「……。敵の方だ」
採取ポイントと大きな岩の間に繋がりが無ければ、だが。
「またオトガアングラーですか」
「はぁ、昨日の内にオトガアングラーの存在に気づけていて、本当に良かったと思うな」
「ですね」
そう、目の前の花はオトガアングラーの疑似餌。
プレイヤーを釣るための罠である。
「で、戦いますか?先手は確実に取れますよ」
「そうだな……」
俺は昨日の間に掲示板で調べたアングラー種の特徴を思い出す。
アングラー種の特徴は、まず第一に採取ポイントによく似た疑似餌を持っていて、自らは近くで岩などに擬態、迂闊に近づいたプレイヤーを不意討ちしてくる。
第二にその見た目から想像出来るような高い体力、それに不意討ち時に限定した異様な瞬発力と攻撃力。
特に牙による攻撃は不意討ちだと、タンク専門のプレイヤーでも一撃で落ちかねないらしい。
だが、その見た目に反して防御力はそれほど高いわけではなく、不意討ちさえさせなければそこまで脅威度は高くないらしい。
なお、掲示板で書かれていたのはレベル20以下の個体についての話であるため、疑似餌以外の特殊能力の有無については不明である。
「挑むなら今の内か」
俺は周囲を見渡して、敵影は勿論の事、敵の気配や不審な岩、罠の類が無い事を確認する。
こうして警戒をするのは、先述したとおり、不意討ち時にはアングラー種の攻撃力が大幅に上昇するからだ。
では、不意討ちとは?
正確な所は検証班でも分かってはいない。
だが、意識していない方向からの攻撃と言うのは不意討ちと判定されやすいらしく、事前に来ると分かっていれば背後からの攻撃でも不意討ちとは判断されない事が多いそうだ。
ちなみに、掲示板には俺の八尺円棍の攻撃力の高さには、この不意討ち判定も関わっているのではないかと言う報告が上がっていた。
もしそうなら、嬉しい話である。
「シア」
「はい、マスター」
話を戻そう。
不意討ちを防ぐためには、周囲に、そして敵意に敏感になっておく必要がある。
攻撃を受ける前に気付ければ、それだけで不意討ち判定になる可能性は低いのだから。
だから俺たちは周囲に目の前のオトガアングラー以外のモンスターや罠が無い事を確認する。
その上で、武器を構える。
「「「……」」」
シアはまだ魔法を唱えていない。
だが、オトガアングラーは既にこちらの存在に気づいていて、おまけに自身の存在がバレている可能性についても察しているのだろう。
意識をこちらに向けている感じがしている。
つまりお互いに不意討ちは出来ないという事だ。
「『癒しをもたらせ』!」
シアが魔法を使い、俺の回復力を高める。
「アグラアアァァ!」
それを敵対行動と判断したのだろう。
擬態を解除したオトガアングラーLv.27が、その岩の様な見た目からは想像もつかないような速さで口を開けつつ、俺に向かって飛びかかってくる。
「ネクタール!」
「ーーーーー!」
「『大地の恩寵をその身に』!」
「アグッ」
対する俺とネクタールは武器を構え、刃物の様に生え揃った牙を用いた攻撃を正面から受け止める。
そしてシアの二つ目の魔法がかかったことを認識すると、オトガアングラーを弾き、多少の距離を取らせる。
「アグラアアァァ……」
「『力を和らげよ』」
「さて、戦闘開始だな」
「ーーー……」
さて、オトガアングラーの初撃は防いだ。
ここからは普通で、いつも通りで、そして未知の戦いである。




