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AIOライト  作者: 栗木下
7章:マイホーム

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358/621

358:67-8-D7

「おらぁ!」

「シャア!」

 俺の斧とオトガリザードマンの盾がぶつかり合う。


「シャッ!」

「ふんっ!」

 オトガリザードマンが突き出した槍を、俺は五寸鬼瓦で横から叩く事で防ぐ。


「リザアァ!」

「ーーーーー!」

 もう一体のオトガリザードマンの攻撃をネクタールは二本の槍を使う事で器用に防いでいる。


「『ブート』!」

「ジャジャア!」

 オトガリザードマンの背後からシアの魔法が飛び、オトガリザードマンは鱗を硬くすることでそれを受ける。


「ははっ、ははははは!」

「ーーーーー!」

「シャアアァァ!」

「リザアアァァ!」

 オトガスライサーが倒れてから、少しずつ戦いは俺たちの側に傾いている。

 その証拠として、俺のHPバーの減るスピードは大きく落ちているのに対して、オトガリザードマンたちのHPバーは30%程のものと70%程のもので、大きく減っている。

 そして戦いの流れがこちらに来ている証拠はそれだけではない。


「ネクタール!」

「ー!」

 オトガリザードマンたちの攻撃を捌き、こちらの攻撃を防がせている中で、俺はネクタールの一部を細長く伸ばすと、オトガリザードマンの盾の内側に潜り込ませる。


「やれっ!」

「ーーー!」

「ギシャ!?」

 盾の内側から、オトガリザードマンの鱗の無い腹に向けて勢いよく槍が突き出され、オトガリザードマンは防御する事も出来ずに吹き飛ばされる。

 それはネクタールの能力……自分の表皮上の何処からでも、インベントリ内に存在しているアイテムを取り出す事が出来ると言う力を攻撃に転用したものである。

 そして、これまではオトガスライサーたちに手数を消費していた為に出来なかった攻撃である。


「シア!」

「はいっ!『アブソーブ』!」

「!?」

 オトガスライサーが居なくなった恩恵はそれだけではない。

 大きな隙が作れるようになった。

 その証拠としてシアの『アブソーブ』が飛び、吹き飛んだオトガリザードマンに追撃が行われる。

 ダメージ自体は特性:オトガの防御能力によってかなり抑えられているが、その代償として一瞬ではあるが、身動きが取れなくなる。

 それは俺たちが生み出した致命的な隙。


「おらあっ!」

「ギ……ジャ……!?」

 当然俺はその隙を突いた。

 八尺円棍が振り下ろされ、オトガリザードマンのHPバーが一気に減り、底を突く。


「リ、リザァ!」

「これで残り1!」

 俺は八尺円棍を斧に戻すと、ネクタールの槍で牽制され、足止めされ続けていたオトガリザードマンに駆け寄る。

 オトガリザードマンは今までの状況ですら、大きく不利な状況だった。

 では、これからの状況は?

 一言で言ってしまえば消化試合だ。



----------



【AIOライト 67日目 13:52 (新月・雨) 『防御する天空の農場』】


「ふぅ、倒したな」

「一時はどうなるかと思いましたけど、大丈夫でしたね」

「ーーー」

 最後のオトガリザードマンも倒し終わった俺たちは早速剥ぎ取りを行う。

 その結果、オトガスライサーからはオトガスライサーの髷と壊れた装備品(胴)が手に入った。

 オトガリザードマンからはオトガリザードマンの鱗と壊れた装備品(盾)が手に入った。


「ふうむ……」

 オトガスライサーの髷は……本当にどうすればいいんだろうな。

 二個目だが、使い道がまるで思いつかない。

 オトガリザードマンの鱗については……もう一個手に入ったらまた粉末にするか。

 特性:オトガが邪魔する可能性もあるが、防御力の上昇効果が得られるはずだ。


「HPバーもMPバーも大丈夫ですね」

「そうだな。じゃ、探索を再開するか」

 まあ、オトガスライサーの髷についてはその内適当にどうにかしよう。

 今は探索の方を優先するべきだ。

 そう言うわけで、俺たちは第二階層の探索を再開する。



----------



【AIOライト 67日目 14:22 (新月・雨) 『防御する天空の農場』】


「また、面倒そうなのが居るな……」

「今日は新月だから無視してもいいんですよね」

「まあな」

 見覚えのある敵とは戦わずに探索すること暫く。

 俺たちはオトガワーム、オトガスライサー、オトガナッツ、オトガリザードマンに続く五種類目の敵モンスターを見つける。


「アンコー」

 恐らくだが、普段ならそいつは周囲の風景と同化するべく、岩に擬態しているのだろう。

 そいつの表皮は岩のようにゴツゴツとしており、見るからに堅そうだった。


「しかしこうなると明日以降が怖いな……」

「そうですね。かなり怖いと思います」

 体高は1メートル半ほどで、体長は3メートル近いだろうか。

 ノンアクティブ状態だからとだらしなく開けられた口からは鋭い牙が何本も生えており、額から生えた触覚の先端には採取ポイントのように見える灯りが灯っている。

 もしもアクティブ状態であるならば……まあ、きちんと口は閉じ、岩に同化し、採取ポイントに惹かれてやってきたプレイヤーに不意討ちの形で襲い掛かってくるのだろう。

 うん、実に恐ろしいな。


「オトガアングラーか。今日の探索が終わったら、掲示板で情報を探しておこう」

「お願いしますね。マスター」

 そんなモンスターの名前はオトガアングラーLv.27。

 モチーフになったのは魚類の鮟鱇だろう。

 なお、何故魚が陸に居るのかという点については気にしない事にする。

 フィッシュ種やシャーク種が陸で宙を泳いでいる『AIOライト』では今更だ。


「じゃ、近寄らないでおくぞ」

「はい、マスター」

 その後、日暮れ直前の頃になって、俺たちは第三階層の入り口を発見。

 翌日に備えて、第三階層に移動するための階段がある農機具小屋で休むことにした。

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