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「ビュロッバァ!」
「来るぞ!」
パンプキン種の姿を取った『結界石の守護者』がモデル本来のものとは微妙に異なる鳴き声を上げつつ、俺たちに向かって突撃を仕掛けてくる。
「ネクタール!」
「支援します!『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』『力を和らげよ』!」
「ーーーーー!」
対する俺たちは、ネクタールの力によってヘイトを集めつつ俺が前進。
シアが俺に対して一通りの補助魔法をかける。
当然、特性:バーサークは既に全開状態である。
「ビョロ!ビュロッハ!」
「ふんっ!くっ!」
蔓を束ねた手による攻撃が、左右で一度ずつ行われる。
対する俺は五寸鬼瓦と斧でそれを迎撃。
大きなダメージを受ける事なく捌く。
「シア!ネクタール!」
「『アブソーブ』!」
「ーーーーー!」
そうして攻撃を捌いたところに、シアが『アブソーブ』による魔法攻撃を、ネクタールが槍による物理攻撃を行う。
与えたダメージ量は……シアの『アブソーブ』で多く見積もって最大HPの2~3%、ネクタールの攻撃では減っている様子すら見られないか。
「ビュロットー」
「ちっ」
と、ここで『結界石の守護者』が滑るように暗闇の中に引いて行き、そのまま姿を眩ませる。
「マスター……」
「分かっている。長期戦を前提に動くぞ」
勿論、それを追うような愚策は取らない。
俺はシアと背中合わせになった状態で周囲を警戒する。
「シア、ネクタール。今の内に情報を改めて共有しておくぞ」
「はい、マスター」
「ーーーーー」
そして直ぐには『結界石の守護者』が攻めてこない事を確認すると、今回の『結界石の守護者』のモデル元であるパンプキン種について分かっている情報を、今の状況と合わせつつ話す。
「ビュロロロ~」
まずパンプキン種は目と口の部分がくり抜かれた南瓜の頭に、蔓で出来た体を持つモンスターである。
今回の『結界石の守護者』でも、石と礫によってそれは再現されている。
ステータス面を見た場合には、他のモンスターよりも高めのステータスなのは瞬発力と回復力程度で、他のステータスは生命力が若干低めなのを除けば、だいたい平均的である。
パンプキン種がこちらを感知する方法は推定視覚と聴覚。
逆にこちらがパンプキン種を補足する場合には、高速移動時の風切り音を除けば、鳴き声以外には自身を示す物を殆ど発しないため、他のモンスターよりも見つけづらくなる。
また、空を飛んでいるため、多少の地形ならば無視してくるのも厄介な点である。
「まずはどう攻撃を通すか……ですよね」
「ああ、そうだ」
問題はパンプキン種がそんなどちらかと言えば平凡なステータス面とは関係なしに、極めて高い物理耐性を有している点。
この耐性は本当に異常としか言いようが無く、南瓜部分ならば99%以上、蔦の部分でも95%以上は間違いなく物理属性のダメージを強制的に減算してくる。
しかも物理属性に弱くなるような特性を持っていてもだ。
つまり、パンプキン種にはほぼ物理攻撃は通じず、先程のネクタールの攻撃によるダメージからみても、パンプキン種をモデルにした『結界石の守護者』にも物理攻撃は通じないと見ていい。
「シアは『アブソーブ』を余裕がある範囲で」
「はい」
「ネクタールは攻撃を捌く事を優先」
「ーーーーー」
「マスターは?」
「効率は悪いが……武器に魔力を纏わせる方法でどうにかしてみる」
そして『結界石の守護者』はボスである。
つまり、先ほど述べた各種要素にボスとしての補正が入り……低かったHPなどには特に高い補正が入るだろう。
なにせ高HPと言うのは一種のボス特権のような物だからだ。
「行けますか?」
「たぶんな」
で、一つ留意事項としては、今述べたパンプキン種の情報は、全てレア度:2以下の自動生成ダンジョンで遭遇した場合の話である。
つまり……
「ビュロバアアァァ!」
「っつ!?魔法攻撃!?」
今俺たちの目の前で行われているように……『結界石の守護者』が手の上に複数の火球を生成、それをこちらに向かって散弾のように射出してくる事ぐらいは普通に有り得るという事である。
「シア!」
「はいっ!」
俺はシアを自分の陰に移動させた上で、真正面から火球を受け止め始める。
これまでの俺ならば間違いなくただの自殺行為だが……
「ぐっ、ミスリル装備様々だな」
ミスリル装備によって抗魔力が大きく上がっている現在の俺ならば、ネクタールが幾つかの大型火球を着弾前に突いて迎撃してくれるだけで、問題なく受け止めきれる。
「んで……」
「ビュロ……」
「甘い!」
火球による攻撃に合わせるように横から『結界石の守護者』が殴り掛かってくる。
が、これも斧による防御で難なく受け止める事に成功する。
「おらぁ!」
「『アブソーブ』!」
そして反撃として俺の魔力を乗せた五寸鬼瓦による攻撃と、シアの『アブソーブ』が『結界石の守護者』に命中する。
が、与えたダメージは二人合わせても最大HPの5%に満たない程度だった。
「ビュロロロー」
「なんて硬さだ。おまけに追えないから自然回復も幾らか入るな……」
「これは本当に長期戦になりますね……」
再び『結界石の守護者』は闇の中へと消えていく。
ほんの僅かづつではあるが、自然回復によってHPを回復させつつ。
「まあいい……メンテナンスは明後日だからな。それなら今日一日かけるつもりで挑むだけだ」
「はい、マスター」
まだ『結界石の守護者』特有の能力も見せていない以上、どうやら長期戦になる事は必須のようである。




