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【AIOライト 61日目 09:42 (満月・晴れ) ケイカ北坑道】
「キキィ……」
「これで終わりっと」
木目鉄を入手するも、リジェネブロッサムピアスと言う失敗作にしてしまった翌日。
俺たちはケイカ北坑道を訪れていた。
目的は『結界石の守護者』の討伐による結界石の入手である。
「やっぱりプレンバットだけなら問題はないですね」
「そうだな。この分なら五匹くらいまでは同時に相手できると思う」
と言うわけで、以前ボス部屋の扉の前から外まで脱出するのに使ったルートを遡る形で、俺たちはケイカ北坑道の中を移動していた。
「五匹ってお前な……普通はプレンバットの超音波のせいで、とてもじゃないがそんな事は言ってられないぞ」
「流石はゾッタさんと言うかなんというか……」
「そんなに驚く事か?」
「いや、そうでもないだろ。ゾッタだし」
なお、ボスまでの最短ルートと言う事で、この道にはトロヘル、ロラ助、マンダリン、クリームブラン等多数のプレイヤーが居て、それぞれのPTで狩りを行っている。
どうして此処で狩りをするのか。
まあ、単純な話で、ここならばボス扉までの道を覚えつつ狩りを行えるというのもそうだが、他にもプレイヤーが居て緊急事態への対応がしやすい、外との行き来が楽、ボスに挑むプレイヤーに協力をしつつ情報収集が出来るなどのメリットがあるからだ。
それと……MPKへの対策にもなっている、一応だが。
勿論、獲物の奪い合いなどのデメリットもあるが……まあ、そこら辺は各自で調整すればいいだけの話である。
「てかお前ら、プレンゴーレムだけじゃなくて、プレンバットも狩れよ。翼と松明で便利な照明が出来るぞ」
「狩りたいのは山々だが槍が追いつけん」
「自分たちは何故か遭遇しないんですよねぇ……」
「遭遇したら狩りはするけどな」
「遭遇しないんじゃなぁ……」
尤も、今俺たちがプレンバットに遭遇した事からも分かるように、狩り組が全てのモンスターを狩れているわけではないので、相応の注意は必要だが。
【ゾッタの戦闘レベルが25に上昇した。戦闘ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】
「と、レベルアップか」
「ボス前にレベルアップとは都合が良いですね」
と、ここでレベルアップのインフォが流れたので、俺は回復力を1上げる。
これで俺の回復力は素の数値で30。
切りが良くなったな。
△△△△△
ゾッタ レベル25/29
戦闘ステータス
肉体-生命力20・攻撃力10・防御力10・持久力9・瞬発力10・体幹力10
精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7+6・回復力30+12・感知力10・精神力11
錬金ステータス
属性-火属性10・水属性10・風属性10・地属性10・光属性7・闇属性10
分類-武器類19・防具類15・装飾品15・助道具15・撃道具15・素材類15
▽▽▽▽▽
「で、ゾッタ。お前、勝算はあるのか?未だに討伐者が出てない事からも分かるように、『結界石の守護者』は厄介だぞ」
「ぶっちゃけて言うと出た所勝負に近いな。持てるだけの回復アイテムに、戦闘を有利にするアイテムは持ってきたが……」
「相手のモデル次第じゃどうなるかが読めない……か」
「まあ、そう言う事だな」
俺、シア、ネクタールはトロヘルたちのPTと一緒にボス扉の前へと向かう。
此処から先の雑魚についてはロラ助たちが先行して始末してくれるとの事なので、その分だけボスに力を割けるようになるだろう。
「当たりは単体物理攻撃に特化したタイプか?」
「どうだろうな。今の俺はミスリルのおかげで抗魔力も上がっているし……まあ、範囲攻撃持ちよりは単体攻撃持ちの方がやり易いのは間違いないだろう」
「そうですね。私もそちらの方がやり易いです」
「ーーーーー」
『結界石の守護者』は戦う度にその姿が変わるボスであり、姿が変われば当然ながら戦い方も変わってくる。
そのため、頭の良さとダメージ無効化能力も厄介だが、一番厄介なのは相手の姿が変わる点で間違いないだろう。
「さて、到着だな」
「頑張れよ。ゾッタ、シア、ネクタール」
「ああ」
「護衛ありがとうございます」
「ーーーーー」
やがて俺たちは以前に目の前まで来て撤退したボス扉の前に着く。
「準備の方は大丈夫だな」
「はい、回復力溢れる灯りの札は十分ありますし、他のアイテムも大丈夫です」
「ーーー」
ボス部屋は既に何人も挑んでいるにも関わらず、太い鎖と錠前で閉ざされたままになっている。
まあ、そう言う仕様と言うか、扉の形をしているだけでその実態は転移装置の類に近いからだろう。
「じゃ、触れるぞ」
いずれにしても準備が整っているならば、後は進むだけ。
そんな事を考えつつ、俺は扉に触れ、光に包まれた。
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【AIOライト 61日目 11:57 (満月・晴れ) ケイカ北坑道】
「さて、何が来る?」
「周囲を警戒します」
「ーーーーー……」
光が止んだ時、俺たちの周囲は事前情報通り、暗闇に包まれていた。
ただ、見える範囲に限って段差の類はなく、綺麗に整地されている。
「……」
「使っておくか」
暗闇の中から何か声のような物が聞こえてくる。
なので俺は念のために回復力溢れる灯りの札を一枚使い、それまでに使っていたものと合わせて二つの火球を自身の周囲に漂わせる。
「ビュロオォ……」
「あの、マスター……私何だか……」
「奇遇だな。シア。俺もだ……」
再び暗闇の中から声のような物が聞こえてくる。
するとなぜか、俺もシアも悪寒の様な物を感じ始める。
まるで、暗闇の中から迫って来ている何かに怯えるように。
「ビュロオオォォ……」
「「……」」
「?」
だがそうして俺たちが悪寒を感じるのも仕方がない事だった。
何故ならば、暗闇の中からゆっくりとその姿を現した『結界石の守護者』のモデルは……
「ビュロオオォォ……」
「最悪だ……」
「うわぁ……」
物理攻撃に対して極めて高い防御特性を有する以上に、俺たちの死に戻りの多くに関わっているパンプキン種だったのだから。




