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AIOライト  作者: 栗木下
6章:鉱山街・ケイカ

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306:60-2-S2

【AIOライト 60日目 10:37 (5/6・晴れ) ケイカ南坑道】


「あっさり出たな」

「あっさり出ましたね」

 ケイカ南坑道の探索を始めて暫く。

 俺たちはプレンゴーレムを見つけ、倒し、そして剥ぎ取りを行った。

 で、その結果としてあっさり目的のアイテムは出た。



△△△△△

普通の木目鉱石

レア度:3

種別:素材

耐久度:100/100

特性:プレン(特別な効果を持たない)


木目鉄(ダマスカス)を多量に含んだ鉱石。

精錬することによって、純度を高める事が出来る。

木目鉄は基本的な性質は鉄と変わらないが、鉄よりも明らかに硬く、しなやかで、物理的性質が優れている。

分類の仕方によっては魔法金属に含まれる事もある。

▽▽▽▽▽



「ふむ、重量なんかは特に鉄鉱石から変わる感じはしないな」

「つまり、そこは説明文通りなんですね」

「そう言う事になるな」

 俺は今手に入れた木目鉱石と、此処に来るまでの道中で回収した普通の鉄鉱石をインベントリから取り出すと、両手で持ち、重量や触った感じを比べてみる。

 が、大きな違いは見られない。

 木目鉱石の方に若干の硬さを感じると共に、僅かであるがダマスカスの特徴である縞模様が見えるぐらいだ。


「しかし、プレンゴーレムってあんな簡単に落とせるものなのか?」

「んー……どうなんでしょう。正直に言うと、北坑道のものよりも魔法に弱かった気がするんですよね」

「ふむ?」

 なお、プレンゴーレムとの戦いは非常にシンプルかつ作業に近い内容だった。

 なにせひたすら俺が敵を惹きつけ、シアが魔法を打ちこむだけである。

 強いて注意点を上げれば、北坑道のものよりも若干高く感じた攻撃力ぐらいだが……まあ、あの程度なら誤差の範囲だな。


「しかし魔法に弱くて物理に少し強いとなると……身体に含まれている鉱石の影響が能力にも出ているという事か?」

「その可能性はあるのかもしれませんね」

 能力の差については、それぞれの坑道で採れる鉱石の差と考えるのが妥当な所だろう。

 他に影響しそうな要因が見当たらないしな。


「まあ、物理あるいは魔法に特化し過ぎたPTでもなければ、集めるのには苦労しないだろうな」

「時間はかかるでしょうけどね」

 具体的に言えば、北坑道のプレンゴーレムは攻守ともに魔法に強く、南坑道のプレンゴーレムは攻守ともに物理に強いという事だ。

 尤も、この性質が問題になるのは攻撃手段を片方に頼っているPTぐらいなものである。

 北坑道のプレンゴーレムが魔法に強いと言っても、プレンゴーレム自身は魔法攻撃手段は持ち合わせていないわけだしな。


「で、マスター。木目鉱石とプレンゴーレムについてはそれでいいんですけど、マスターの周囲を飛んでいるそれについてはどうなんですか?」

「あー、これな……」

 俺はシアの言葉を受けて、それ……自分の周囲をゆっくりと飛び続ける火球に目を向ける。


「そうだな……使い心地はそんなに悪くない」

「使い勝手は、ですか」

 火球の正体は、回復力溢れる灯りの札によって生み出された照明である。

 大きさは俺の顔程で、俺の身体からだいたい1メートルくらい離れた円周上を、人が歩くのよりも遅いくらいのスピードで移動し続けているが、俺たちが移動するときは、こちらの速さに合わせて移動してくれる。

 灯りの範囲としては松明よりも明らかに広く、勝手に飛んでくれているおかげで、手が塞がる事もない。

 効果時間は札一枚につき、おおよそ一時間ほど。


「まあ、問題がないわけじゃないけどな」

 と、ここまでならば非常に有用なアイテムに思えるが、穴が無いわけではない。


「当たり判定ですか?」

「ああ、まさかあるとは思わなかった」

 まずこの火球最大の問題点は当たり判定があるという事。

 具体的に言えば、この火球に敵が触れたりすると、熱によるダメージが発生する。

 それだけなら問題はないのだが……肝心のダメージが非常に些細な物であると同時に、火球が存在している時間が大きく減るのだ。

 しかも、この効果は床や天井に当たっても発揮され、ゆっくり移動している時ならば壁ぐらいは避けてくれるからいいが、少し急ぐと、すぐにあちらこちらにぶつかって消えてしまうのである。

 そのため、既にこの火球は三枚目の札を使って生み出されたものである。


「まあ、両手が空くメリットを考えたら、これぐらいは甘んじて受け入れるべきデメリットなんだろうけどな」

 尤も、そんなデメリットを加味しても、戦闘中に両手が空くメリットは大きいので、使う価値は十分にあると言えるが。


「他に何か問題は?」

「んー……俺の周囲を回っているせいで、照らされる範囲に時々不満が出たりはするな」

「なるほど」

 なお、他の問題点としては、灯りが存在している位置のせいで、時折上手く照らしてほしい物を照らしてくれない事がある事だろうか。

 まあ、この点については俺が立ち位置を上手く調整すればいいだけの話だが。


「ところでマスター、気づいてます?」

「ん?」

「今のマスターはその……傍目に見てかなり恐ろしい外見になってますよ」

「そうなのか?でも、それに何の問題があるんだ?」

「デスヨネー」

 と、唐突にシアが質問し、それに答えたら何処か諦めた様子で口を開いた。

 一体どうしたというのだろうか?

 別に俺の周りを火球が一つ飛んでいるくらい、何の問題もないと思うのだが。


「とりあえずあともう一つは木目鉱石を回収するぞ。製錬してみないと正確な所まではよく分からないからな」

「ソーデスネー。分かりました、気は引き締めていきます」

 さて、回収するべき木目鉱石は後一つ。

 早いところ回収出来てしまえると嬉しいのだが……どうだろうな?

 そんな事を考えつつ、俺たちは坑道の奥に向かって再び移動を始めた。

03/22誤字訂正

03/23誤字訂正

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