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AIOライト  作者: 栗木下
6章:鉱山街・ケイカ

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305:60-1-S1

【AIOライト 60日目 08:45 (5/6・晴れ) 鉱山街・ケイカ】


 興ざめな結果には終わってしまったが、シュヴァリエとの決闘を終えた翌日。

 俺、シア、ネクタールの三人は、木目(ダマスカス)鉱石を手に入れるべく、ケイカ南坑道へと向かっていた。


「マスター。やっぱり昨日のは酷かったと思いますよ」

「そうか?」

 で、現在はケイカ南坑道の前、各坑道に繋がる坂道と作業員小屋がある辺りにまでやって来ていた。

 ここからは、まず作業員小屋を探索し、松明以外の灯りを確保してから先に進むことになる。

 なるのだが……どうやらシアもネクタールも昨日の一件について納得がいっていないらしい。

 シアは明確に抗議の声を上げているし、ネクタールも非戦闘時だけではあるが、抗議をするように俺の腕を軽く叩き続けている。


「そうですよ。シュヴァリエが望んだ決闘をあんな風にするというのは、流石に酷いです」

「と言ってもなぁ……あの状態のシュヴァリエに攻撃を加えるってのは流石の俺でも嫌だぞ」

「いえ、私が言っているのは最後の方じゃないです」

「ん?じゃあ何処だ?」

「シュヴァリエに殺気を放って、選択を強要させたところです」

「ああ、あそこか」

 俺たちは周囲に敵影が無い事を確認し、坂道をゆっくりと登りつつ、話を進める。


「あんな途方もない量の殺気だけを当てて、おまけに進むか退くかは自分で選べだなんて流石に酷いとしか言いようが無かったです」

「んー、そうは言われても、俺としてはアレが一番勝率が高い方法だったんだよなぁ」

「アレがですか?」

 やがて作業員小屋が見えてくる。

 掲示板及び番茶さんからの情報によれば、この作業員小屋の中には坑道の大まかな地図と、使いかけの松明が置かれているらしい。

 と言うわけで、俺たちは木製の扉を開けて、中に入る。


「俺とシュヴァリエがマトモに戦った場合は、決闘の最初のように千日手になる。それはいいな」

「はい」

「ただ、千日手と言っても、本当に何時までも続くわけじゃない。必ずどこかでその流れが崩れる」

「ふむふむ」

「問題は流れが何で崩れるか。それが精神や技術、移動に関係する物なら、たぶんシュヴァリエの方が先に崩れる」

「まあ、精神面でマスターが後れを取る事だけは有り得ないですよね」

「ただ、装備や戦術、戦略、ステータスと言った面で崩れるなら、恐らく先に崩れるのは俺だ。そう言うのは攻め手の方が有利だからな」

「なるほど」

 作業員小屋の中は、北坑道の前に在ったそれと殆ど変わらない。

 採取ポイントになっている木箱に家具が幾つか、それに坑道内の地図が置かれているだけだ。

 と言うわけで、地図についてはカメラで撮影した上で、シアに見てもらい、俺は木箱から採取を行う。


「それじゃあマスターがああいう戦法を取ったのは……」

「マトモにやったら勝てるか怪しいから。シュヴァリエが何かに迷っているのは感じたしな。アレなら精神面を突いた方が、俺に勝ちの目がある。そもそもとして、プレイヤーとしての腕もあっちの方が上だしな」

「……。それ、シュヴァリエに言ってあげたりは?」

「しないな。と言うより、何で言わなきゃいけないんだ?俺からの評価なんて気にする意味がないだろう」

「デスヨネー。マスターならそう言うと思いましたー」

「ーーー……」

「?」

 何故かシアもネクタールも呆れた感じになっている。

 まあ、毎度のことか。

 それよりも錬金の方をしてしまおう。


「さて、始めるか。これが無いと坑道には入れないからな」

「あ、はい。そうですね」

 と言うわけで、俺はまず回復力溢れる松明を8本ほど作成。

 この内の4本はそのまま使う予定だ。

 で、残りの4本は他のアイテムと錬金する。


『1mAsala nAgarA2 0moUnonYa ZotTan1 AKhairUn02xa/』

「ふんふふーん」

 錬金するのはプレンバットの翼と回復力溢れる松明の組み合わせ。

 出来上がるものとしては灯りを放つ札のようなものを目指す。

 そうして出来上がったのがこれだ。



△△△△△

回復力溢れる灯りの札

レア度:3

種別:道具-札

耐久度:100/100

特性:リジェネ(回復力を強化する)


バット種の翼に燈火の紋が描かれた札のような物体。

発動の意思を以って手から離す事によって発動し、暫くの間自身の周囲をゆっくり飛び回る火球を生み出す事が出来る。

※使い捨て

▽▽▽▽▽



「うん、いい感じだな」

 出来上がった回復力溢れる灯りの札は、蝙蝠の翼の形をした材質不明な硬い札に、炎のマークが描かれたものだった。

 で、同様の錬金を四回行った結果、出来上がった回復力溢れる灯りの札の枚数は30枚ほど。

 効果を見る限りでは一度発動すれば暫くの間は勝手に発動し続けてくれるようだし、使い勝手はそれなりにいいのではないかと思う。


「私も持っておいた方がいいですか?」

「そうだな。緊急時に備えて何枚かは持っておいてくれ」

 まあ、実際の効果については、この後に一度試すので、その時に確認すればいい。

 と言うわけで、俺はシアにも札を何枚か渡すと、装備品などの準備に不足が無い事を確認。

 松明を点けて、ケイカ南坑道の中へと入っていった。

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