↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIOライト  作者: 栗木下
6章:鉱山街・ケイカ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

299/621

299:59-5

【AIOライト 59日目 13:00 (4/6・晴れ) 鉱山街・ケイカ】


『さて、時間となりましたので、始めさせていただきます』

 闘技場の中央にいつの間にか現れた全身鎧のNPCがこのフロア全体に響くような声で喋り始める。

 あのNPCはきっと他のプレイヤーには闘技場の管理を行う専用のNPCに思えているのだろうが……うん、中身(GM)入りだな。

 挙動と目の色、背後にある何処かへの繋がり、それにこの状況を明らかに楽しんでいる様子から、俺には分かる。

 まあ、変な奴が取り仕切るよりかは遥かにマシだが。


『では、まずは戦士の紹介から。青コーナー!『決闘厨』!シュヴァリエ!!』

「「「ーーーーーーーーー!!」」」

 歓声と共に、俺が居るのとは真逆の位置から、真剣な表情のシュヴァリエが現れる。

 その表情は、俺に決闘を持ちかけた時とはまるで違う、まるでこれからの人生すべてを賭けているかのような表情だった。


『赤コーナー!『狂い斧』!ゾッタアアァァ!!』

「「「ーーーーーーーーー!!」」」

「「「ブウウウウゥゥゥゥ!!」」」

 俺は自分の名前が呼ばれると同時に、闘技場の中に入る。

 出迎えは歓声とブーイングがだいたい半々。

 うーん、今更ながらだが、俺はそこまで他のプレイヤーに嫌われるようなことはしていないと思うんだがな。

 どうしてこんなにブーイングが来るんだ?

 まあ、俺の毛一本すら燃やせないような悪意と邪念など、今更どうでもいいか。


『続きまして解説、実況の紹介です!実況と解説は上でPTメンバーと打ち合わせをしていたグランギニョルさんと同じく上で情報整理をしていた番茶さんにしていただきます!』

『はいはい、GMから有償で実況と解説を依頼されたグランギニョルよ。まったく、遊び過ぎでしょ。このGMは。てか、GMからの依頼なんて断れるわけないじゃない……』

『あー、同じく有償で依頼された番茶だ。まあ、どんなに長くてもせいぜい一時間程度の仕事。割のいいバイトだと思って受けようじゃないか。グランギニョル君』

「「「!?」」」

『はっはっは、こういう状況は楽しんでナンボなのニャー!と言うわけで、以後、このNPCは中身なしの判定用となるので、後はよろしくなのニャー』

 実況と解説は番茶さんとグランギニョルか。

 まあ、二人なら適切な実況は出来るだろう。

 で、二人の言葉に観客は驚いてるが……GM本人の宣言通り、もうNPCの中身にGMはいないから、何を言っても無駄だな。

 二人がGMから貰う報酬は……まあ、お金の類がいいところ。

 俺が気にする必要はないな。

 それよりもだ。


『まあいいわ。仕事は仕事として、十全にこなしてやるわ』

「随分と真剣……と言うか、気合が入った様子だな。シュヴァリエ」

 今はシュヴァリエの方を気にするべきだろう。


『そうだね。仕事として受けた以上、やるべきことはやらせてもらうとしよう。と言うわけで、私が解説で、グランギニョル君が実況で行こうか』

「そりゃあね。師匠との決闘だよ。気合が入らない方がおかしいよ」

「気合が入らない方がおかしい……ねぇ」

 俺の目には今のシュヴァリエは気合が入るを通り越して、生きるか死ぬかの瀬戸際、しかもその瀬戸際で空回っているような状態にあるように見えるんだが……俺がそこまで指摘しても意味はないか。


『そうね、そうしましょうか』

『では、実況はグランギニョル君。解説は私、番茶が送らせてもらう。よろしく頼むよ。グランギニョル君』

『よろしくね、番茶さん』

「まあ、好きにすればいいさ。お前の人生なんだからな。お前の好きなようにすればいい」

 だから俺は左手に五寸鬼瓦を填め、右手にバーサークアームアクスを握り、少しだけ腰を落として、何時でも動けるように構えを取る。


『さて、ルールについてだが、今回はオーソドックスなルールだね。どちらかのHPが最大HPの50%以下になった時点で終了。降参をしても終了。時間制限はなし。死に戻ったら自己責任』

『ホムンクルスはなしで、事前のバフも無し。アイテムの使用は自己責任で。そうね。何か揉め事があって、それを決闘でどうにかする時は、だいたいこんな感じのルールよね』

「師匠ってば、結構な放任主義だよね。僕の師匠呼びは僕が勝手にしている事だけど、逆に言えば、師匠は師匠でそれを止めたりしていないって事だし」

「止める必要も特にないからな」

 シュヴァリエも恐らくはミスリル製であろうレイピアを腰から抜くと、それを右手で持ち、フェンシングに近い構えを取る。

 それと同時に……恐らくこれは俺だけが見えている物だろう。

 シュヴァリエの持つレイピアの剣先、そこから発せられるシュヴァリエの魔力と思しきものが、俺の胸に届いている。

 どうやら、魔力が十分以上に濃く、しかも隠す意図が無いために……いや、隠す余裕がないためにこんな物が見えてしまっているらしい。

 まあ、わざわざ指摘してやる気は無いが。


『では、両選手とも既に準備は出来ているようだし』

『そうね。では……』

「……」

「……!?」

 今はただ、シュヴァリエを倒す事にだけ集中するとしよう。


『始めっ!』

 決闘だろうと、模擬戦だろうと、命の危険が無かろうと、今の俺とシュヴァリエは敵同士なのだから。

03/15誤字訂正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。