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AIOライト  作者: 栗木下
6章:鉱山街・ケイカ

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295/621

295:59-1

【AIOライト 59日目 07:42 (4/6・晴れ) 鉱山街・ケイカ】


 翌日。

 俺たちは朝一で錬金術師(アルケミスト)ギルド・ケイカ支部へと帰ってきた。

 そして、周囲に敵影が無い事を確認して、中に入ったのだが……


「「「ガヤガヤザワザワ……」」」

「多いな……」

「うわぁ……」

「せ、狭そうですね……」

「ああ、ジャックさんたちだけじゃなくて、私たちからちょっと遅れていた組も辿り着いたのね」

 ケイカ支部の中にはとんでもない数の人とホムンクルスたちが居た。

 間違いなく一昨日の時点の倍以上、百人は超えている。

 そして全身鎧のNPCもプレイヤーの数に合わせるように三人に増えており、とても忙しそうにしていた。


「ああ、ゾッタ君にグランギニョル君、シュヴァリエ君にアンブロシア君か」

「番茶さん」

 と、ここで番茶さんが俺たちに声をかけてくると共に、こちらに来るように手招きもしてくれる。

 なので俺たちは番茶さんの方に向かい、いつの間にか出来ている下り階段を進み、ケイカ支部の地下へと移動する。


「此処は?」

「どうにもケイカ支部には辿り着いたプレイヤーの数に合わせて空間と機能を拡張する仕様があるようでね。昨日の夜ぐらいから出来たんだよ」

 ケイカ支部の地下部分は一階に比べると若干天井が低めだった。

 だがその代わりと言っていいのかは分からないが、衝立が幾つか用意されており、必要に応じて他のプレイヤーの視線を遮る事が出来るようになっていた。


「なんだか、色々と揉めることになりそうな空間ね」

「そうだね。既にどれぐらいのスペースを使うのか、という点で軽い縄張り争いのような物は起きているよ」

「うわぁ……」

「まあ、そこら辺は私が意見の調整役してどうにかしたし、直接的な手出しをすれば制裁用NPCも起動するからね。ゾッタ君たちは特に気にしなくてもいい。ただ、どういう作業や用途でその場を使っているのか、それだけは衝立に出しておいてくれ。それでだいたいの問題は避けられるはずだ」

「なるほど」

 番茶さんは軽く胃のあたりを抑えつつ、俺たちを地下部分の奥の方、衝立に『話し合い用スペース』と書かれた看板が下がっている場所へと案内してくれる。

 他のスペースは……錬金中とか、作戦会議中とか、まあ、色々だな。


「さて、それじゃあ、改めて情報交換といこうか。グランギニョル君」

「そうね。そうしましょうか。番茶さん」

 そうして衝立の向こうに俺たち全員が入ったところで、グランギニョルによるここ二日間の俺たちの行動についての報告が始まった。



----------



【AIOライト 59日目 09:02 (4/6・晴れ) 鉱山街・ケイカ】


「と言う訳よ」

「なるほど……メッセージを聞いた時点で良い情報だと思っていたが、これは想像以上だ。この情報が広がれば、確実にプレイヤーの実力は上がるだろう」

 グランギニョルが話したのは、プレンゴーレムの実力とドロップについての話と、魔銀(ミスリル)鉱石をインゴット化したものがどんな感じなのかという話。

 それを聞いた番茶さんは、とても感心した様子だった。


「ただ問題が無いわけじゃないわ。今までの自動生成ダンジョンと違う固定ダンジョンで、採取またはモンスターからのドロップで入手するんだもの。前者はまだいいけれど、後者は確実にプレイヤー同士の間で軋轢を産むことになるわ」

「まあ、その点については……確実に起きるだろうね。と言うより、GMがそれを狙っているとしか思えないというのが、私としての本音かな」

 プレイヤー同士の軋轢……か。

 GMの狙いは、プレイヤーの間に軋轢を生じさせることで、対抗心を燃え上がらせ、攻略を活発化させる、という所か。

 うーん、それで努力の方向が攻略に向かってくれればいいが、PK方面に向かうプレイヤーが出てきたら厄介だな。

 結界石を手に入れて、自分の拠点を作れるようになったら、街には殆ど帰らなくても済むようになる可能性だってあるのだから。


「対策はあるの?」

「正直なところ、一プレイヤーに過ぎない私にそれをどうにかするのは無理だね。それに、チラリと見た感じだが、此処に居るプレイヤーの中にはゾッタ君の言う所の引退組になりそうなプレイヤーも幾らか混じっている。恐らくだが、攻略の停滞は一時的な物で済むだろう」

「軋轢については?」

「私にも自分の攻略と言う物がある。流石に一から十までは面倒を見れないさ」

 と、番茶さんは言っているが、恐らく仲裁役として駆り出されるんだろうなぁ……まあ、番茶さんには世話になっているし、機会があるなら手助けをしてあげる心づもりではいるとしよう。

 なお、番茶さんからの情報は、送られてきたメッセージの補足が殆どだった。

 尤も、そのおかげでダマスカス鉱石の優先度はちょっと下がったが。


「それで、グランギニョル君たちはこれからどうするつもりだい?」

「そうね……私はいつものPTに合流して、ミスリル集めを再開。かしらね」

「僕は師匠に同行するつもりだけど?」

「俺は……装備つくりだな。必要数には達したわけだし」

「なるほど。では、この場はこれで解散でいいかな。私から君たちに渡せる情報にも特に目新しいものはないしね」

「そうね。じゃあ、そうしましょうか」

「分かった」

「これからもよろしくお願いします。番茶さん」

 そうしてこの場は解散となった。

03/11誤字訂正

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