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【AIOライト 54日目 07:25 (1/6・晴れ) ドウの地・西の荒野】
翌日。
一晩の宿にしたレア度:3の自動生成ダンジョン『武器強化する森の塔』を出発した俺たちは、昨日の予定通り東に向かって移動を始めた。
「ーーーーーーー♪」
「「「……」」」
が、当然ながら楽な移動にはならないようだった。
「マスター、今のって……」
「名前は……プレンジャイアントLv.50になってたな」
ネクタールで隠れた俺たちの傍を地響きを伴いながら通り抜けて行ったのは、プレンジャイアントと言う名前の身長20メートルは確実にある巨人だった。
身に付けているのは身体のサイズに合わせた腰巻に、大木をそのまま加工して作ったような巨大な棍棒、それに装飾品が幾つかあるだけというトロール種に似た装いだったが……まあ、どちらの方が戦闘能力が上なのかについては考えるまでもないだろう。
尤も、そんなサイズ差について考える以前に、現状でレベル50のモンスターと戦うなど有り得ないが。
「何であんなにレベルが高いのが……他のモンスターは高いのでもレベル25程度でしたよね」
勿論、全ての敵が今のプレンジャイアントのような明らかに今戦ってはいけないモンスターではない。
極普通の敵として、プレンウルフやプレンゴート、プレンイーターなどの姿は確認しているが、これらのモンスターのレベルは平均して20。
この先に進めばもう少し強くなるかもしれないが、それでも30は超えそうにない感じだった。
「あー、所謂ワンダリングモンスター的な物なのかもな」
「ワン……何です?」
「ワンダリングモンスター。簡単に言ってしまえば、場違いに凶悪だったり、狂暴だったり、強力だったりするモンスターの事だな」
「なるほど」
となれば異常なのは今のプレンジャイアントの方だろう。
マーカーもノンアクティブのものになっていたし、他のモンスターがだいたい集団行動をとっているのに対してプレンジャイアントは単独行動だった。
つまり、挑みたければ挑んでもいいが、相応の覚悟はするようにと言う意図の下に配されたモンスターと考える方が適当だろう。
「ま、現状では勝てる相手じゃないし、戦う意味もない。見つからないように行こう」
「分かりました。マスター」
と言うわけで、この手のモンスターからは素直に逃げる事にする。
今は安全第一に進むべきだからな。
で、この考えは正しかった。
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【AIOライト 54日目 13:11 (1/6・晴れ) ドウの地・西の荒野】
「グルルルル……」
「フシュルルル……」
「「「……」」」
俺たちの目の前ではとんでもない睨み合いが起きていた。
片方のモンスターの名前はプレンドラゴンLv.50。
その名前から想像出来る通り、全身を強固な鱗に覆われ、背中に翼を、頭に角を、見るからに力強い爪を持ち、口から火の粉を漏らしている。
もう片方のモンスターの名前はプレンティラノLv.50。
その見た目は言ってしまえば、二足歩行する巨大な蜥蜴なのだが、身体の要所要所には羽毛のような物が生えている。
で、そのどちらも体高だけでも20メートル近い巨大モンスターである。
「ボソッ……(気づかれないように、ゆっくりと、静かに離れるぞ)」
「ボソッ……(はい、マスター)」
当たり前だが今の俺たちが戦っていい相手ではない。
と言うか、これから二匹の間で起こるであろう戦いの余波、それだけでも十分致命傷になると思う。
なので俺たちは二匹に気づかれないように、ゆっくりとその場を離れ、先を急ぐ。
「「「ーーーーーーー!!」」」
そうして俺たちが十分に離れた頃。
俺たちの背後からは三つの咆哮が響き渡り、激しい音と震動が周囲一帯に撒かれ始めた。
どうやら、危機一髪であったらしい……。
「何だかああ言う戦いを見ると、いっそダンジョンの中の方が安全に稼げるんじゃないかと思えてきますね」
「実際、安全かもしれないぞ?地上で戦っていたら、ああいう存在に常に気を配らないといけなくなるだろうしな」
俺たちは多少の雑談を交えつつも、東に進み続ける。
「ただまあ、草原ダンジョンだと地上と変わらないかもな」
「逆に言えば草原ダンジョン以外では出現した場所から身動きを取れなくなりそうですよね。サイズ的に」
道中で採取ポイントを見かけたので、インベントリに収まる範囲で採取も行ってみた。
手に入ったのはレア度:3の普通の薬草や普通の鉄鉱石だったので、使うかは微妙な所だが。
「あれ?マスター。アレって……」
「どうやら、東方向で正解だったみたいだな……」
やがて日も多少落ち始めたと感じる頃。
俺たちの進もうとしている方向にとある構造物が見え始める。
「街……で、いいんですよね?」
「たぶんな」
それは東の方向にそびえる巨大な山々が連なる山脈の麓に、山と山の間の谷間を壁で繋ぐように作られた城壁であり、城壁の中からは幾つか尖塔のような物も見えていた。
少なくとも人工物である事は間違いない物体である。
「行ってみるぞ。シア、ネクタール」
「はい、マスター」
「ーーーーー!」
向かうべき場所が見えた。
そう判断した俺は掲示板に書き込みを行ってから、街のような何かに向かい始めた。
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【AIOライト 54日目 17:57 (1/6・晴れ) ドウの地・西の荒野】
「もうすぐ日暮れですけど、街には着けそうですね」
「だな」
俺たちは城壁の手前1キロメートル程の所にまで来ていた。
これで今晩は安全だと確実に言える場所で眠る事が出来る。
頭の隅でそんな事を俺が考えた時だった。
「街に……」
俺以外の世界がモノトーンになった。
世界の流れ方が変わったと感じた。
咄嗟にネクタールを外した俺は直感に従って、斜め前に向かって飛び出していた。
直後、俺が居た場所から何かが激しく叩きつけられる音がした。
「何が……」
俺は音の源の方を見る。
「っつ!?」
「……」
そこには完全に動きを止めているシアとネクタールだけではなく、一言では形容しがたい人型の何かが腕を振り下ろす姿で居た。
それでも敢えて説明するならばだ。
「何だお前は……」
全身真っ白の身長1.8メートル程度な男性モデルのマネキン、それの両手の爪と頭は真紅に染め上げられている。
両耳と腰の後ろの空間を通すように着けられた黒色の輪はゆっくりと回転しており、その輪から青い炎のような物を噴き上げている。
その両足は大地に触れておらず、ほんの僅かにだが浮いている。
そして、今はゆっくりとこちらに向き直っていると言う表現になるだろう。
「我ハ、エファス・フォ・エフィル」
敵を表すマーカーも味方である事を表すマーカーもないそいつ……エファス・フォ・エフィルは、気持ち悪い響きを伴う言葉を紡ぎながら、右手での人差し指で俺の顔を指差す。
そうして理解させてくる。
「安全ヲ奪イニ来タ」
この戦いは決して負けてはいけない戦いであると。




