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「ギシャアアァァ!」
プレンブロッサムが蔓の一本を俺に向かって勢いよく振るってくる。
「『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』!」
「ーーーーー!」
対するこちらはシアの支援とネクタールのヘイトコントロールを開始。
これで、準備は整った。
「ふんっ!」
「キシャ!?」
と言うわけで、とりあえず左手の五寸鬼瓦でプレンブロッサムの蔓を迎撃。
蔓に裏拳を打ちこむような形でもって、脚を殆ど止める事なく攻撃を防ぐ。
「ギシャア!」
「ーーー!」
プレンブロッサムの二撃目。
だが、俺の身体に触れるよりも速くネクタールが槍を突き出して蔓を迎撃。
弾き飛ばす事に成功する。
「うおらぁ!」
「!?」
そうして十分に接近できたところで、俺はプレンブロッサムの胴である茎に斧を叩きつける。
攻撃した感触は……どうにも形容しがたいな。
木材よりは柔らかいが、肉よりは硬い。
そんな微妙な感触だ。
「キキューイフェキャファ!」
「行くぞネクタール!」
「ーーーーー!!」
プレンブロッサムが複数本ある棘付きの蔦を自由自在に動かし、俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。
対するこちらは相手の攻撃を捌きつつ、隙を見て反撃。
巨体故にかHPも多いようで、プレンブロッサムのHPバーの減りは遅い。
が、少しずつプレンブロッサムにダメージを与えていく。
「ギギギ……ブローサアアァァム!!」
「っつ!?」
と、ここでプレンブロッサムが顔の中心にある口から、見るからに花粉ですと言った様子の黄色い粉が吐き出され、周囲に立ちこめる。
花粉に触れて表示された状態異常はポイズン。
なるほど、毒性のある花粉と言う事か。
「なら問題ないな!」
「ギキュ!?」
かかる状態異常が毒だけならば何も問題はない。
俺の回復力ならばダメージはほぼ相殺できる。
俺はそう判断すると、花粉を吐き終えて少し安心した様子を見せていたプレンブロッサムに攻撃を仕掛け、ダメージを更に積み重ねてやる。
「キシャアアァァ!」
当然、プレンブロッサムも俺に反撃をしてくるが……うん、やはり問題ないな。
状態異常:ポイズンの効果は俺の自然回復を相殺する程度。
毒の花粉そのものも既にだいぶ薄れてきている。
毒のダメージにプレンブロッサムの攻撃によるダメージも加わるが、今のペースならば花粉が無くなるまで俺のHPバーが危険域に入る事もなく、花粉が無くなれば直に回復するだろう。
「ギシャ!?」
「ん?」
と、プレンブロッサムを五寸鬼瓦で殴ったところで、俺の左腕に一つの違和感が生じる。
それは左手に持つ五寸鬼瓦から何かしらの力が俺の中に流れ込み、その力が左腕から心臓へ、心臓から全身へと広がっていく。
「へぇ……」
俺は相手の攻撃を捌きつつ、自分のステータスを確認してみる。
するとかけてもらった覚えのない生命力強化と回復力強化が俺にかかっていた。
「コイツはいいな」
うん、何があったのかは考えるまでもないな。
五寸鬼瓦の効果が発動し、プレンブロッサムが何処かで自らに対して使っていた生命力強化と回復力強化を奪い取ったのだ。
「ギシャアアァァ!」
「マスター!敵残りHP10%を切りました!」
「おうっ!」
状態異常:ポイズンは既に解除されている。
生命力と回復力双方が上がった事により、最大HPの量と回復力、それに精神状態によって変わる自然回復のスピードも大きく上がっており、プレンブロッサムの攻撃よりも回復の方が早くなっている。
ならば後は一気に攻めるのみ。
「はははははっ!行くぞ!」
「ギシャアアァァ!?」
そうしてプレンブロッサムのHPバーはあっけなく底を突いた。
「さて、特に問題もなく倒せたな」
「ですね」
プレンブロッサムを倒した俺たちは剥ぎ取りを素早く終えると、自分のステータスに問題がない事を確かめると、直ぐに移動を再開する。
「何が剥ぎ取れましたか?」
「えーと、プレンブロッサムの花弁だな」
俺は手に入れたアイテムの詳細を確認する。
△△△△△
プレンブロッサムの花弁
レア度:2
種別:素材
耐久度:100/100
特性:プレン(特別な効果を持たない)
人の身長ほどあるプレンブロッサムの花。
その花を構成する花びらの一枚。
花弁とは思えない程に肉厚で丈夫。
▽▽▽▽▽
「んー、まあ、使い道はないかもな」
「レア度:2……今更感がありますね」
プレンブロッサムの花弁には残念ながら使い道がなさそうな感じである。
まあ、仕方がないな。
特性:プレンの上にレア度:2。
レア度:3の装備品を使っている俺たちの装備に使うには今更過ぎるだろう。
「それにしても随分とあっさりでしたよね」
「まあ、俺たちもそれだけ成長しているって事だろうな。五寸鬼瓦の効果を確認できたならそれで十分だ」
戦闘については特に問題点はない。
実際、格下相手だったし、苦戦する方がおかしいと言えばおかしいが。
むしろ問題は……見つかった事か。
「とりあえず、もう少し慎重に行かないとな。そう、何度も戦っているわけにはいかない」
「そうですね。やっぱり戦闘は避けた方がいいと思います」
相手が唐突に現れたから、と言うのは、ただの言い訳だしな。
うん、気をつけよう。
格上だって中にはいるかもしれないのだから。
そうして少し緊張感を高めつつ、俺たちは首架け橋を進んだ。




