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【AIOライト 50日目 20:59 (5/6・晴れ) PD・『狂戦士の砂漠の船』】
『狂戦士の砂漠の船』が消滅するまで残り15分。
状況は逼迫していると言ってよかった。
なにせ、自動生成ダンジョンが消滅した時にダンジョン内にプレイヤーが居たら、そのプレイヤーは強制的に死に戻りさせられるのだから。
「後回しにしたのが完全に裏目に出ましたね……」
「まさかあの通路が繋がっていなかったとは……」
何故こうなってしまったのか。
その理由は分かっている。
マッピングをしつつ探索を進めていた俺は、出来る限り一筆書きで探索を進めるようにしていた。
それ自体は、効率的な探索の進め方としては正しいものだ。
そしてその中で、マップの流れから別方向から回り込めると俺が判断した部屋があったのだ。
「予想外でしたよね……」
「本当に予想外だった……」
が、俺の予想に反して、その部屋に繋がる通路は一つしかなかったのだ。
その為に探索は長引き、戦闘も挟みつつ探索を進める事となった結果が……今の最後の一部屋に向けて、揺れる船内で維持できる限り、速く走るという状況だった。
「まあ、こうなった以上は可能な限り急ぐしかないな」
「残りの時間からしてもう戦闘は出来ませんものね」
なお、『狂戦士の砂漠の船』に突入してから此処までに行った戦闘は五回。
最初のバーサークオーヴ一体、その次のバーサークハーピーにバーサークアーム二体。
その後はバーサークハーピー二体にバーサークアーム一体、バーサークアーム三体、バーサークオーヴ一体と言う流れである。
ドロップ品と経験値は間違いなく美味しかったが……時間も相応に取られている。
で、この五回の戦闘経験から、一回の戦闘につき少なくとも10分は取られる事が分かっている。
残り時間は15分、戦えば……シアの言うとおり間に合わないだろう。
「よし、見えた」
と、ここで俺たちの視界に最後の一部屋に繋がる扉が見えてくる。
だが同時に寒気も飛び込んでくる。
当然だ。
扉の前の通路の壁は崩れていて、冷たい砂漠の月夜の空気が流れ込んできているのだから。
「行く……」
「「キャハハハハッ!!」」
「ちっ」
そしてどうやら最後の部屋に辿り着くのはそう簡単な事ではないらしい。
船の外から二体のバーサークハーピーが船の中に飛び込んでくると、俺たちに向けて笑い声を上げる。
これは……拙いな。
この寒気で俺たちの動きは多少なりとも鈍るし、船の外に落ちたら死に戻りと言う状況で慎重に戦っていたら、10分以上は間違いなくかかる。
「さてどうしたものか……」
「いえ、マスター。案外直ぐに終わるかもしれません」
「ん?あ……」
と、ここでシアが俺に目配せをしつつ話しかけてくる。
それで俺も気づく。
今の状況がどれほどこちらにとって有用なのか。
「マスター頼みます」
「分かった」
「「ウフフフフ……」」
そうと決まれば話は単純だった。
俺はネクタールの力で自身に注意を向けさせつつ、バーサークハーピーに向かって突っ込んでいく。
「ふんっ!」
「フフッ」
「アハッ」
まずは一撃。
俺は横に八尺円棍を振るって攻撃を仕掛けるが、二体のバーサークハーピーは片方は後方に跳び退く事で避け、もう片方は咄嗟に翼で防ぐ事で殆どダメージを受けずに俺の攻撃を防ぐ。
「シアッ!」
「『カースウッドキング・フォースハウル』!」
そしてその間にシアがバーサークハーピーたちの横、外に面していない方に滑り込み、『カースウッドキング・フォースハウル』を発動する。
そう、吹き飛ばし効果のある『カースウッドキング・フォースハウル』をだ。
「「!?」」
シアの周囲の床から大量の根が生み出され、バーサークハーピーたちを叩き、吹き飛ばす。
未だに砂漠の上を高速で移動し続けている船の外へと。
「「ーーーーー!!?」」
シアが与えたダメージは大したことが無かった。
だがバーサークハーピーたちが戻って来る事はもうない。
バーサークハーピーたちはあっという間に船の後方へと流されていってしまった。
倒した事にもならないが……この状況ではこれが最良の解決策だった。
「よしっ!」
「行きましょう!」
俺たちは急いで最後の部屋に飛び込む。
最後の部屋には予想通り、白磁の扉が設置されていた。
そして俺は躊躇う事なく扉に触れた。
【PD・『狂戦士の砂漠の船』をクリアしました。パイライト・ドームに戻ります】
【PD・『狂戦士の砂漠の船』はレア度:3でしたので、残り時間が30分回復します】
残り時間は10分。
間違いなくギリギリと言ってよかった。
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【AIOライト 50日目 21:04 (5/6・晴れ) パイライト・ドーム】
「何とか間に合ったな」
「何とか間に合いましたね」
パイライト・ドームに戻ってきた俺とシアは、直ぐにその場で腰を下ろす。
ギリギリだった。
これでもしも後一部屋有ったり、敵が居たりした日には、間に合っていたかどうかは微妙な所だ。
だが間に合った。
どうにかだが。
「マスター、この後は……」
「流石に今日はもう休もう。休むのに適した場とは言い難いけどな」
「分かりました」
時刻は午後九時を超えている。
心身の疲労もピークに近い。
これからボスに挑むのは無理があるだろう。
そう判断して、俺はもう休むことにした。
とりあえず、この疲れについては、休めるだけ休んで取るだけではなく、明日のボスにぶつけてやることにするとしよう。




