247:50-11-E10
【AIOライト 50日目 19:54 (5/6・晴れ) PD・『狂戦士の砂漠の船』】
残り時間は丁度1時間20分。
俺たちは『狂戦士の砂漠の船』の探索を敢えて慎重に進めていた。
いや、慎重に進めざるを得なかった。
「本当に揺れと傾きが酷いですね」
「まったくだ」
「ーーーーー」
理由は単純明快。
シアが呆れながら言ったように船の揺れと傾きが酷く、長距離を走ったり跳ねたりする事が出来ないからだ。
それでも無理にすれば……まあ、よくて盛大に転び、何処かに転がっていくことになるだろう。
そう言うわけで、俺たちは壁に手を付き、突然の揺れにも対応できるように探索を進めることになっていた。
「この部屋は……ハズレか」
「みたいですね」
さて、探索そのものについてだが。
俺は扉を見つけたので、少しだけ開けて中の様子を窺う。
が、どうやらこの部屋はハズレだったらしい。
白磁の扉は勿論の事、敵も採取ポイントも、他の部屋や通路に繋がる扉すら見当たらなかった。
「次に行こう」
「はい」
なので俺たちは扉を閉めると、次の部屋に向けて移動を始めた。
さて、出来る限り早く白磁の扉が見つかってほしいが……まあ、こればかりは運頼みだな。
----------
【AIOライト 50日目 20:10 (5/6・晴れ) PD・『狂戦士の砂漠の船』】
「……」
「敵ですね」
残り時間1時間と4分。
再び敵と遭遇である。
「「シュインシュイン」」
「ウフフフ……」
敵は三体。
バーサークアームLv.25が2体に、バーサークハーピーLv.27が1体。
バーサークアームは長剣型で、宙で軽く回転しながら、こちらに対して意識を向けて来ている。
バーサークハーピーは狭い船内であるために空を飛ぶことは出来ないようだが、翼になっている腕で口元を隠して微笑みつつ、鳥の脚に力を漲らせ、何時でも蹴りかかれるようにしているのが見て取れた。
「戦うぞ」
「まあ、どう見ても逃げられませんもんね」
機動力は明らかにあちらの方が上で、引いた先のエリアは殆ど探索済み。
となれば倒す以外の選択肢は存在しない。
俺は頭の中でそんな事を考えつつ武器を構え、シアとネクタールも戦闘態勢を取る。
「「「……」」」
そして睨み合いが始まり……
「っつ!?」
「アハハハハハ!」
「「シュイン!」」
船が揺れるのと同時に三体のモンスターが一斉に襲い掛かってくる。
「ソオラァ!」
「ぐっ!?」
「『癒しをもたらせ』!『大地の恩寵をその身に』!」
バーサークハーピーの飛び蹴りを、俺は短剣で受け止め、堪える。
その間にシアが魔法を使い、俺を強化する。
「「シュイン!」」
「ネクタール!」
「ーーーーー!」
間髪入れずにバーサークアームたちが俺の左右から突撃を仕掛けてくる。
対するこちらはネクタールが槍を出し、鍔迫り合いに近い状況に持ち込むことで攻撃を防ぐ。
「うおらあ!」
「グッ!?」
相手の攻撃が止まったタイミングでこちらも動き出す。
右手に持った斧をバーサークハーピーの身体に叩きつけ、ダメージを与えつつ吹き飛ばす。
「すぅおらああぁ!」
「『ブート』」
「「!?」」
そして、そこから続く流れでもって両手で持った武器を振り回し、バーサークアームたちを攻撃。
俺たちから離れたところで、シアが『ブート』を使って追撃。
ダメージを蓄積する。
「さて……」
「問題はここからですね」
俺は吹き飛んだ三体の様子を改めて観察する。
「ウフフフフ……」
バーサークハーピーは既に全身から特性:バーサークを発動している証拠である赤いオーラを放っており、その口は綺麗な赤い三日月を描いている。
受けているダメージはおおよそ10%程。
「「……」」
バーサークアームたちもその身から赤いオーラを放っていて、何時でもこちらに切りかかれるようにその場で回転運動をしている。
受けているダメージはシアの追撃が入った方が20%で、入ってない方が5%程か。
追撃が入った方は先に俺が短剣で殴ったはずなので、どうやらバーサークアームには魔法属性攻撃が良く通るらしい。
「さて……」
まずは相手の数を減らすべき。
そう考えれば、ダメージを受けているバーサークアームを優先するべきだろう。
そして俺が考えた事を実行しようとした瞬間だった。
「すぅ……」
「「!?」」
バーサークハーピーが羽毛に覆われた胸が強調されるような勢いで大きく息を吸う。
と同時に、バーサークアームたちが俺たちとバーサークハーピーの間から慌てて退く。
「耳を塞げ!!」
「はいっ!」
俺にも相手の狙いは分かっていた。
だからシアに耳を塞ぐように命じると同時に、俺自身はネクタールを頭部に巻き付かせることで耳を塞ぎつつ、武器を自身の前に盾のように構えつつ突進する。
「ーーーーーーーーーーー!!」
「!?」
直後。
もはや音ではなく衝撃波と称した方が正しいそれが、バーサークハーピーの口から発せられ、俺の身体はダメージを受けつつ、後方に吹き飛ばされそうになる。
だが、ここで船が傾き、俺の後ろの方が高くなったおかげで、吹き飛ばされる事を防ぐのに成功。
「ぬぐ……おりゃあああぁぁぁ!!」
そして音が止んだ瞬間に接近。
バーサークハーピーの頭に向けて武器を振り下ろす。
当然、当たる直前に斧から八尺円棍へと武器を変えつつだ。
「!?」
自身の攻撃直後に反撃が来るとは思っていなかったのだろう。
八尺円棍は真っ直ぐバーサークハーピーの顔面に向かっていき……その顔面を叩き潰した。




