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【AIOライト 44日目 10:12 (1/6・晴れ) 『吸収する岩の神殿』】
「さて、この部屋は……」
アブソーブランサーたちを倒した俺たちは、奴らが潜んでいた岩を彫り抜いた通路を抜けて、二つ目の広場と回廊に移動した。
そして、そこで一つ目の広場と回廊と同じように複数の小部屋を発見したので、探索を開始した。
「当たりみたいですね」
「だな」
で、現在は三つ目の部屋を開けたところであるが、どうやらこの部屋は当たりであるようだ。
採取ポイントが既に三つ確認できている。
「罠は……無さそうだな」
勿論、罠の可能性もある。
なので俺はシアを部屋の外に残し、入口からネクタールの身体を伸ばさせ、軽く探らせる。
だがどうやら罠はないようだ。
今のネクタールは蛍光色を前面に押し出し、非常に目立つ姿を取っているのだが、反応は全くない。
これならば少なくともモンスターが直接襲い掛かってくる類の罠はないだろう。
「それじゃあ採取ですね」
「そうだな」
問題がない事が分かったところで、シアが入室。
どうやらこの部屋は用具室と言うか、倉庫に近い場所であるようで、様々な物品が所狭しと並んでおり、その上に採取ポイントが発生している。
と言うわけで、俺たちは部屋の扉を閉めた上で採取ポイントでの採取を行う。
「採取完了っと」
採取できたアイテムは?
吸収する鉄釘に吸収する麻縄、吸収する石膏。
やはりここは倉庫と言う設定であるらしい。
手に入る素材がそんな感じだ。
で、折角なので吸収する鉄釘、吸収する麻縄、吸収する石膏の詳細を確認してみる。
△△△△△
吸収する鉄釘
レア度:3
種別:素材
耐久度:100/100
特性:アブソーブ(力を奪い己の血肉とする)
鉄製の釘。
一般的には木製建築に用いられる。
長さと太さには様々な種類がある。
▽▽▽▽▽
△△△△△
吸収する麻縄
レア度:3
種別:素材
耐久度:100/100
特性:アブソーブ(力を奪い己の血肉とする)
麻の繊維で作られた縄。
とても丈夫であり、様々な用途に用いられる。
熟練の使い手が用いるならば、特別な仕掛けが無くても大抵の物は縛れるだろう。
▽▽▽▽▽
△△△△△
吸収する石膏
レア度:3
種別:素材
耐久度:100/100
特性:アブソーブ(力を奪い己の血肉とする)
様々な用途に用いる事が出来る鉱石の一種。
適切な加工を施す事によって、型取りから彫刻、生薬まで用いる事が出来る。
▽▽▽▽▽
「ふむ」
「色々と使えそうですね」
「そうだな。色々と使えると思う」
吸収する鉄釘、吸収する麻縄、吸収する石膏、どれもそのまま生かす形でも、錬金術の素材として使う形でも使えるいい素材と言えるだろう。
吸収する石膏などは薬としても使えると書いてあるし、無事に持ち帰れたらギルドショップに登録してもいいかもしれない。
「さて、それじゃあ……」
では、採取も終わったので、次の部屋に向かうとしよう。
そう俺は思いつつ入口の扉の方を向く。
そして、扉に記された紋章のような物を見た時にふと思う。
そう言えば、この世界の宗教はどうなっているのだろうかと。
「マスター?どうしました?」
「ああいや、ちょっと気になる事があってな」
「気になる事。ですか」
「ああ」
まあ、気になってしまった物はしょうがない。
幸いにして時間もあるし、この部屋に敵が湧く気配はない。
俺はこの部屋を安全だと判断すると、今俺が見つけたものと思ったことについてシアたちに話す。
「宗教……ですか。私の知識に情報はないですね。でもどうしてそんな事を?」
「あー、一応此処は神殿だからな。何かしらの神あるいは神に準ずる何かを祀っている場所だろ?だから何かがあると思ったんだよ」
「なるほど。でもこの『AIOライト』の世界で神に相当する存在って……」
「あー……それはそうなんだが……」
そうして話した結果として俺たちの頭の中に浮かんだのはGMであるイヴ・リブラの姿と声だった。
まあ、実際そんなに間違った話ではない。
『AIOライト』の製作者であるイヴ・リブラは、この世界に住んでいる者にとっては生殺与奪の権利どころか生業の全てを握られている強大過ぎる存在なのだから。
もしもイヴ・リブラがその気になれば、今この瞬間に世界を消滅させた上で、プレイヤー全員の記憶あるいは自意識を消去するぐらいは出来るはずなのだから。
「正直あれは悪魔と言うか、仮に神だとしても頭に『悪』とか、『邪』とか、『魔』とか付く神だろ」
「いやあのマスター。流石にそこまではっきり仰るのはどうかと思います」
「そこは大丈夫だろ。ストーカー六兄弟の件もあるし」
「だとしても喧嘩を売るような発言はどうかと思います」
「ーーーーー!」
何故かは分からないが、俺の発言はシアにとって微妙な発言であるようだった。
ああいや、シアだけではなくネクタールもか。
どうしてか警戒色を露わにし、それを強調するように全身を波打たせている。
「んー……まあ、この話についてはこれぐらいにしておこう。今やるべき事はダンジョンの探索だ」
「ソーデスネー」
「……」
まあ、分からない事は気にしてもしょうがない。
と言うわけで、俺たちは探索を進めるべく、部屋の扉を開ける。
そして広場に戻り、次の小部屋の扉を開ける。
「「「ジジジジジ……」」」
「「「……」」」
部屋の中では人の頭ほどある蝿……アブソーブロットイトが三匹、耳障りな羽音を立てながら滞空していた。
しかもこっちの方を向きながら。




