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AIOライト  作者: 栗木下
4章:左角山

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216/621

216:44-3-D3

「フシュラアァ!」

「ふんっ!」

 アブソーブランサーが槍を突き出し、俺が斧でそれを弾く。


「「カカカラッ!」」

「おっと」

 続けてアブソーブスケルトンたちが槍を突き出し、俺は身を捩る事で直撃を避ける。


「おらぁ!」

「ーーー!」

「ガラッ!?」

 そして僅かに生じた隙を突くように俺とネクタールはアブソーブスケルトンの片方に向けて攻撃。

 そのHPを多少ではあるが削り取る。


「フシュラアァァ!」

「カカカカラアァッ!」

「喰らうかよ」

 俺の追撃を防ぐべく、アブソーブランサーとアブソーブスケルトンが攻撃を仕掛けてくる。

 なので俺は後方に跳躍することで攻撃を回避。

 十分な距離を取る。


「さて、だいぶ削れてきたな」

「そうですね。そろそろ狙ってもいいと思います」

 俺たちとアブソーブランサーたちとの戦いは長引いていた。

 こうして距離を取ってお互いに体勢を整える時間が生じるのも、既に数度目である。

 だが当然と言えば当然の話だ。

 アブソーブランサーたちはいずれもこちらより格上。

 おまけに特性:アブソーブによって、攻撃を成功させるたびに自身のHPを微量ではあるが回復する事が出来るのだから。

 むしろ今のように少しずつとは言え、相手のHPを減らせている状況こそが最良の状況に近い。


「そうだな。いい加減、決着を付けたい。構えておけ」

「はい」

 ただ、何時までも今の状況を維持出来て、削り切れるとは考えない方がいい。

 此処は自動生成ダンジョン『吸収する岩の神殿』の中で、何時不測の事態が起きてもおかしくはないのだから。

 と言うわけで、俺は広場の中央に居るシアに指示を出しつつ、自分の残りHPを確認。

 大丈夫だと判断出来る量がある事が分かったところで、武器を構える。


「うおらああぁぁ!」

 そして既に体勢を整え切っているスケルトンランサーたちに向かって突進する。


「フシュラアァァ!」

「「カカカラアアァァ!!」」

 スケルトンランサーたちが今までに何度も見せてきた動きで槍を突き出してくる。

 対する俺は……


「ネクタール」

「……」

「「「!?」」」

 ネクタールの能力によって姿を眩ませつつ、槍の下に潜り込む。

 そうして突然目標を見失って困惑しているアブソーブスケルトンの身体の各部にネクタールを巻き付け、俺自身も腰のあたりを掴む。


「『ブート』!」

「ガッ……」

 シアの『ブート』が俺が掴んだアブソーブスケルトンの頭部に直撃し、体勢が僅かに崩れる。


「うおらりゃあぁぁ!」

「ラアアァァ!?」

 場を動かすチャンスだった。

 だから俺は迷わずに全力で、アブソーブスケルトンの身体を押す。

 シアが居る場所……日光が降り注いでいる広場へと。


「ガ……ガラララアッ!?」

 日光が当たった瞬間、アブソーブスケルトンの身体から煙のような物が上がり、HPが減り始める。

 そして、抵抗する力も明らかに弱くなっていた。


「うおらあぁぁ!」

「『ブート』」

「ーーーーーー!」

 だから俺たちは迷わず攻撃を仕掛け、これまでのやりとりで十分に少なくなっていたアブソーブスケルトンのHPを削り切る。


「フシュラッ!」

「おっと」

 と、此処で槍が突き出され、俺はそれを体に掠らせつつも、串刺しにされるのは免れる。

 どうやらアブソーブランサーがアブソーブスケルトンを助けるべく、隊列を乱して攻撃を仕掛けてきたらしい。

 だがそれは失策だ。


「シア!」

「『ブート』!」

「ガラアァッ!?」

 日陰で一人になったアブソーブスケルトンにシアの攻撃が当たる。

 そして攻撃に伴う爆音に合わせて俺は姿を眩ませ、アブソーブランサーの横を通り抜けて怯んだアブソーブスケルトンを先程と同じように、広場の中へと投げ込んでやる。


「フシュ……」

「させるかよ!」

 こうなればもうアブソーブスケルトンはシアに任せていい。

 ひたすら遠くから『ブート』を打ちこんで、身動きを取らせないだけだ。

 だから俺はアブソーブランサーの前に現れると、一気に存在感を大きくする。


「さあ、楽しもうぜ……」

「フシュラアアァァ!」

 その後の戦いは一方的ではなかったが、落ち着いて対処すれば何と言う事のない戦いになった。

 当然だ。

 あちらは一人で、こちらは三人。

 HP吸収能力があっても、それで吸えるのはこちらの攻撃のダメージを全てなかった事に出来る量ではない。

 時間をかけて、丁寧に戦闘を進めるだけだった。


「これで終わり!」

「ガッ……ブジュラ……」

 と言うわけで、戦闘は無事に終わった。


「流石に時間はかかりましたね」

「まあ、格上相手ではあるからな」

 戦闘終了後。

 俺は全員のステータスに問題がない事を確かめると、早速剥ぎ取りを行う。

 その結果、アブソーブスケルトンからはアブソーブスケルトンの骨とアブソーブスケルトンの珠を、アブソーブランサーからは壊れた装備品(槍)を入手した。


「レベルアップは……ないみたいだな」

「流石に一戦じゃ駄目みたいですね」

「ま、その内上がるだろ」

 レベルアップは無いようなので、俺は名前だけではよく分からなかったアブソーブスケルトンの珠の詳細を見てみる。



△△△△△

アブソーブスケルトンの珠

レア度:3

種別:素材

耐久度:100/100

特性:アブソーブ(力を奪い己の血肉とする)


アブソーブスケルトンの身体から何処からともなく現れる紅い球体。

一説にはアブソーブスケルトンの魂あるいは核ともされているが、詳細は不明。

魔力を良く通す性質を持つ。

▽▽▽▽▽



「ふむ」

 何となくだが、杖の素材などにいい感じだろうか?

 まあ、そうでなくともレア度:3の素材、腐る事はないだろうな。


「よし、それじゃ行くか」

「はい、マスター」

 うん、これで戦後処理は終わりだな。

 俺はそう判断すると、ダンジョンの奥に向かって移動を始めた。

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